文字サイズ

教員紹介

池田 一人 准教授

池田 一人 准教授
  • 研究者名(フリガナ) 池田 一人(イケダ カズト)
  • 職 名准教授
  • 専攻語ビルマ語

■ 外国語学部を目指す受験生の皆さんに

 受験生の皆さん、こんにちは、ビルマ語専攻の池田一人です。ビルマ(ミャンマー)の歴史研究をしています。カレンやラカイン、ロヒンギャというビルマ世界の少数者の歴史を題材に、多数者の歴史と歴史観を相対化する研究を行ってきました。世の人が常識、学者が定説と思っていた歴史事象が、立場を変えて眺めるとまったく異なって見えてきます。ビルマ世界の知られていない歴史を明らかにして説得的な論をつくり、そして定説や常識に挑んでいくのは研究の醍醐味です。
 さて、ビルマ語専攻でも卒業論文という論をつくることが、ビルマ語の習得とともに勉強の柱になっています。外国語学部は語学学校ではありませんから、言葉を学ぶのみならずそれを使って大学で学ぶべきことーそれはいろいろに語られ得ますーを学び、そしてそれを卒業論文という形に具体化します。卒論が外国語学部で言葉とともに学ぶべきことです。煎じ詰めれば文を書く能力を育てる場所が大学だと思います。その能力はみなさんのこれからの人生の基礎になります。良い文を書ける人は良い人生を歩めるでしょう。
 ビルマはいま困難な時期にあります。振り返ってみれば独立後、ほとんどの時期が軍政下にあったので歴史的常態に戻ってしまったと言えなくもありません。それがゆえにビルマ語でご飯を食べるのはしばし難しいかもしれませんが、ビルマを通してわれわれは実に多くのことを学ぶことができます。みなさんの受験をお待ちしています!

研究分野 ビルマ史、東南アジア史
キーワード ビルマ、カレン、ラカイン、ロヒンギャ、歴史観
研究テーマ

 ビルマ世界におけるカレンという人々の政治史、民族形成史をながらくの研究テーマにしてきました。具体的には、おもに19世紀の植民地期初期・中期から20世紀半ばの日本占領期・独立交渉期ころまでの時期について、キリスト教徒カレン知識の形成史、1930年代の民族史出版の背景、日本占領期冒頭に起こった民族衝突事件、独立交渉期の民族政治などに取り組んできました。
 現在は、西部ラカイン地方の仏教徒とイスラーム教徒の歴史に取り組んでいます。ラカインは西方ベンガル世界と東方エーヤワディ流域のビルマ世界の境域にあり、インド洋交易で栄えた仏教王朝が18世紀末まで350年にわたって存続しました。王朝期からイスラーム教徒と仏教教徒が共存する土地柄でありましたが、現代に至ってロヒンギャ問題の舞台ともなっています。ラカイン人の民族形成史、そしてビルマ世界におけるロヒンギャ問題の歴史的経緯の解明などがいまの研究テーマです。

代表的著作、論文等

『日本占領期ビルマにおけるカレン=タキン関係―ミャウンミャ事件と抗日蜂起をめぐって』上智大学アジア文化研究所モノグラフシリーズ No.11、 2012年12月

"Two Versions of Buddhist Karen History of the Late British Colonial Period in Burma; Kayin Chronicle (1929) and Kuyin Great Chronicle (1931)." Southeast Asian Studies. Vol.1, No.3, pp.431-460. 2012年12月

「泰緬鉄道建設をめぐる戦争記憶の比較史―日本人将兵、イギリス人捕虜、ビルマ人労務者―」秋田茂・桃木至朗編著『グローバルヒストリーから考える新しい大学歴史教育』大阪大学出版会 2020年3月

所属学会、その他の研究活動等 東南アジア学会
担当授業 ●学部 「東南アジア社会概論」
●研究科目 「グローバル地域社会論」
●全学共通科目 「アジアの文化と社会を知るA」