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外国語学部について

外国語学部長からのご挨拶

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外国語学部長 筒井 佐代

外国語学部のルーツは、「大阪に国際人を育てる学校を」と思い描いた大阪の実業家、林蝶子氏による寄付を資金に1921年(大正10年)に上本町8丁目に創設された官立の大阪外國語学校にあります。同校は当初、学年定員200名、専攻言語は9言語(中国語、モンゴル語、マレー語、インド語、英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語)という規模でしたが、その後、大阪外事専門学校を経て国立大阪外国語大学へと発展を遂げました。1979年には大阪市内から箕面市粟生間谷へと移転して組織を拡充し、2007年10月に大阪大学と統合して現在の大阪大学外国語学部の姿になりました。
現在の学年定員は580名、専攻語として25言語(中国語、朝鮮語、モンゴル語、インドネシア語、フィリピン語、タイ語、ベトナム語、ビルマ語、ヒンディー語、ウルドゥー語、アラビア語、ペルシア語、トルコ語、スワヒリ語、ロシア語、ハンガリー語、デンマーク語、スウェーデン語、ドイツ語、英語、フランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、日本語)を教授しています。本学部は大阪大学の文系学部で最大規模を誇っています。また、全国の国立大学法人の中で外国語学部を有するのは大阪大学のみであることから、本学部の存在が大阪大学の大きな特徴となっていると言えます。
本学部の教育理念は下記の通りです。

外国の言語およびそれを基底とする文化一般について理論と実際にわたって教授研究し、国際的な活動をするために必要な広い知識と高い教養を与え、言語を通じて外国に関する深い理解を有する有為な人材を養成すること

つまり、教授される言語を単なるコミュニケーションのためのツールとして学ぶのではなく、言語とそれが話される地域の文化や社会について多角的な視野から総合的に理解することを目的としているのです。外国語学部の「学び」は、言語研究と人文社会学的地域研究の成果を融合させたマルチディシプリナリな学問、言わば「言語地域学」あるいは「語圏学」であると言えます。
また本学部では、大学間および部局間の学術交流協定に基づく交換留学などの公費留学のみならず、様々な私費留学制度の情報を収集・提供することで、学生の海外留学を応援しています。実際に、毎年400名近くの学生が、授業を通して習得した高度な外国語運用能力と外国に関する幅広い知識、異文化理解力をさらに向上させるべく、世界の各地で海外留学を経験しています。海外留学の経験は、学んだ知識と個人的体験とを若い感性で有機的に結びつける絶好の機会であり、そうして得られた個々人の国際感覚こそが異文化理解にとって重要であると考えています。

2021年は、大阪外國語学校の創設から100周年という記念すべき年でしたが、これまで積み重ねてきた100年の歴史を糧に、「他言語でのコミュニケーション能力を持ち、その言語が話されている国・地域の文化社会を理解した真の国際人を育てる」という心意気を継承してまいります。これからの100年を見据えて、今後も引き続き、教育・研究・社会貢献活動に尽力していく所存です。

また、2021年4月に、箕面キャンパスは箕面市船場東地区へ移転しました。大阪市内からのアクセスもよくなり、吹田キャンパスと豊中キャンパスのちょうど中間に位置することから、学内ハブ的な存在としてますますグローバルな視点での活動を積極的に行っていきたいと考えています。加えて、近隣の企業、住民の皆さんとも、イベントや講演会等を通じて、良好な関係を構築していく所存です。

大学に求められるグローバル人材の育成は、とりもなおさず大阪外國語学校創設以来のミッションです。大阪外国語大学時代を通じて蓄積された教育の経験と実績は、現在の大阪大学においても十分に活用できると自負しています。今後も、大阪大学におけるグローバル人材育成の旗手たる学部でありたいと思います。

2024年(令和6年)4月1日