受験生へのメッセージ
私は大学卒業後、日本語教師としてハンガリーに派遣されたことをきっかけに、ハンガリー語研究および外国語教育研究に携わるようになりました。研究活動を続けながら、日本語教師としてUAEやバングラデシュにも赴任した経験から、「世界には唯一の正解はない」という事実を、実感として学びました。ことばや宗教、生活習慣の違いを越えて、人と本音で向き合い、時にはぶつかり合いながら想いを共有してきた時間は、何ものにも代えがたい私の財産です。
今、私の目の前には、18歳の頃の自分には想像もできなかったほど果てしない世界が広がっています。みなさんは今、人生最大の岐路を前に、期待と不安が入り混じった毎日を送っているかもしれません。
しかし、はっきり言えることがあります。自分と自分の将来は自分でどのようにでも変えることができます。
ことばと一歩踏み出す勇気を携えて、世界へ羽ばたこうとするみなさんと、学びの場を共有できることを楽しみにしています。
研究活動の紹介
私の研究の関心の中心は、一貫して「アスペクト」にあります。アスペクトとは、「出来事がいつ始まり、どのように進み、どこで終わるのか」を、ことばがどのように表しているかを指す考え方です。たとえば、「走った」と「走っていた」では、同じ動作でも、見ている時間の切り取り方が異なります。
特にハンガリー語では、動詞の前につく小さな要素(動詞接頭辞)の有無や語順によって、「動きがどこまで進んだのか」「結果に到達したのか」といった意味を細かく表します。私は、この仕組みを詳しく調べ、さまざまな事象がどのように言語化されているのかを分析してきました。さらに、この特徴を日本語や他の言語と比べることで、人間が世界の出来事をどう切り取って理解しているのかを探っています。
また、こうした研究は理論だけにとどまりません。外国語を学ぶ人が、母語とは異なるアスペクトの捉え方にどのようにつまずき、どのように身につけていくのかを調べ、外国語教育への応用にも取り組んでいます。
- 研究分野
- 言語学(語彙意味論)/ 外国語教育(ハンガリー語、日本語)/ 第二言語習得研究
- 研究キーワード
- ハンガリー語 / 語彙意味論 / 類型論 / 第二言語習得 / 日本語教育
- 代表的著作、論文等
- 1. 著書『移動表現の類型論と第二言語習得 : 日本語・英語・ハンガリー語学習の多元的比較』くろしお出版、2020年(吉成祐子、眞野美穂、松本曜との共著)
2. 研究論文 "Chapter 10. Path coding in Hungarian: Focus on preverbs" In Volume 1 Case Studies of Linguistic Representations of Motion edited by Yo Matsumoto, 359-394. Berlin, Boston: De Gruyter Mouton, 2025. https://doi.org/10.1515/9783110690866-010
3. 研究論文 "Chapter 2. Patterns of deictic expressions in Hungarian motion event descriptions" In Broader Perspectives on Motion Event Descriptions edited by Yo Matsumoto and Kazuhiro Kawachi, 41-62. Amsterdam, Netherlands: John Benjamins Publishing Company https://doi.org/10.1075/hcp.69 - 所属学会、その他の
研究活動等 - 【所属学会】日本言語学会 / 関西言語学会 / 日本語文法学会 / 日本ウラル学会 / 第二言語習得学会 / ヨーロッパ日本語教師会
【その他】 国立国語研究所 共同研究員
