トルコ語専攻

トルコの食卓の一例

帝国時代の軍楽隊メフテルルコ人の歴史を

 トルコ語専攻では、トルコの文化や歴史、文学や言語への好奇心を絶やすことなく四年間、学びつづけることのできる学生を歓迎します。本科で学ぶトルコ語、そしてトルコ地域についての専門知識を足がかりに、あるいはトルコ研究に従事し、あるいは外交や経済分野において活躍し、総じて日本国そして国際社会への貢献を担う有為の人として社会へと羽ばたいてください。

 ボスポラス、ダーダネルスの両海峡をはさんでアジア、ヨーロッパという二つの大陸、地中海、黒海という二つの海にまたがる国トルコは、イスラーム教とキリスト教という世界宗教が交わり、また同時にトルコ人のルーツがある中央ユーラシアの遊牧文化圏との文化的繋がりをも維持する、まさに歴史の十字路に位置します。トルコ共和国(1923‐)はこうした東西の文物が行きかう地域にあってこの100年間、地域大国としての地位を維持してきた民主主義国家です。

割礼式を控えた少年

 日本の2倍強の面積を持つこの国に暮らす8500万人(2025年時点)ほどの国民が用いる言葉がトルコ語です。入学後に皆さんが学ぶこの言葉は、トルコ共和国で話されるのは勿論ですが、バルカン半島諸国に暮らすトルコ系の人々や、ドイツなどの西ヨーロッパの移民社会でも用いられています。またトルコ語にはたくさんの兄弟がいることでも知られます。お隣のアゼルバイジャン語(アゼルバイジャン、イラン)、トルクメン語(トルクメニスタン)、ウズベク語(ウズベキスタン)、カザフ語(カザフスタン)、キルギス語(クルグズ、旧キルギスタン)など、コーカサスや中央ユーラシアの独立国家の公用語や、タタール語やサハ語(ロシア連邦内)、ウイグル語(中華人民共和国内)など、各国で話される言語の数々が「テュルク諸語」と総称され、語彙や文法の点でトルコ語と多くの共通点を有します。トルコ語が分かるようになればいま挙げたような言葉が理解できるようになるーーというわけではありませんが、こうした言葉の緩やかな繋がりが、全ユーラシアを繋いだ遊牧の民トルコ人の歴史をいまに伝えているわけです。
 現在のトルコ共和国のトルコ人の直接のご先祖さまはカスピ海の沿岸に住んでいたオグズ族と呼ばれる人々でした。9世紀頃からイスラーム諸王朝の勢力が中央ユーラシアへと伸長すると、オグズ族の人々ははじめは軍事奴隷としてイランやイラク、シリア、エジプトなどへと連行され、のちには自ら改宗して南下し、優れた弓馬の術に恃んですぐにもイスラーム世界の大半の地域を征服し、カラハン朝やガズナ朝、セルジューク朝など、数多くのトルコ系のイスラーム王朝を西ユーラシアに築きました。そうした帝国の中で最大かつもっとも長命であったのがオスマン帝国(1299-1922)です。現在のトルコ最大の都市イスタンブールを都とし、バルカン半島、黒海沿岸、中東、アフリカ、東地中海からインド洋、黒海、紅海に至るまでの広大な領土を500年にわたり支配し、東西文化の混交する壮麗なオスマン文化が花開きました。その影響力は絶大で、現代のトルコ語もオスマン帝国で公用語として用いられたオスマン・トルコ語と、イスタンブール方言を基に整備されました。帝国末期から進められた言語の簡素化や、共和国になってから実施されたアラビア文字からラテン文字への移行のおかげで、現在のトルコ語はほぼ完全な言文一致を実現しています。つまり書かれたとおりに読み、話されたとおりに書けば、それが正しいトルコ語となるわけです。またとくに言葉の語順や日本語の助詞(てにをは)によく似た各接尾辞を用いる点などを勘案すれば、日本語話者にとって世界でも有数の「とっつきやすい言語」であると言えるでしょう。

専攻語紹介

教育・カリキュラム

2年生までは週5コマの必修のトルコ語の授業が設けられています。3年生以降は専門知識の涵養を目的とする授業が主となります。

 1年生:トルコ語の基礎
 語学の授業が基本となる学年です。教科書に即して文法、会話、聴解などを学びつつ、トルコ語の基本的な運用を行えるようにします。

 2年生:トルコ語の実践
 語学のみならず、講義やディスカッションが授業のラインナップに加わる学年です。
 各授業ではトルコ語の小説や論文、新聞・雑誌記事、TV番組のような実際にトルコで受容されている生きたテクストを取り上げ、それらの講読と翻訳を通じて上級水準のトルコ語能力を修得すると同時に、それ らのテクストを通じてトルコに関連するさまざまな分野の専門知識にも触れながら、学生各人の研究テーマを見つけていきます。

 3-4年生:トルコ研究
 各人がゼミ(言語、歴史、文学の3つ)に所属し、各々の研究を通じて自分の個性と実力を発揮してもらう学年になります。歴史学、文学、言語学、中央アジア地域研究などの諸分野についての実践的なアプローチを通じて、トルコとその周辺地域について自分のテーマに沿った研究を進めつつ、学位論文の執筆を行います。

到達度目標はこちら

本トルコ語専攻では、トルコ共和国の言語・文化や社会に強い関心を抱き、その母語であるトルコ語の修得への強い意欲を持ち、高い目標を実現すべく努力を怠らない人を望みます。また将来的にトルコ語を用いてトルコ系諸国の言語や文化、さらには社会について深く学びたい人、さらには自らの考えや思いをトルコ語で発信したいと思う人を求めます。

理解すること

専攻語科目(1年実習) 専攻語科目(2年実習) 専攻語科目(演習)
聞くこと
  • はっきりとゆっくりと話してもらえば、具体的なものに関する聞きなれた語や表現を聞き取れる。
  • 直接自分につながりのある具体的な内容のものを理解することができる。
  • ときどき聞き返すことによってネイティブの教員のトルコ語による授業のあらましを理解することができる。
  • 何回か繰り返して聞けば天気予報の内容を理解できる。
  • ゆっくり再生したものを繰り返して聞くことによりラジオニュースの流れをつかむことができる。
読むこと
  • 具体的な内容であれば、ある程度の長さのテキストが理解できる。
  • 単文であれば、動詞述語文、名詞/形容詞述語文を読みこなすことができる。
  • よく用いられる日常的な表現で書かれていれば比較的長いテキストを理解することができる。
  • -dik形や-me形を用いた複文を読みこなすことができる。
  • 新聞や雑誌、また標準トルコ語でリライトされた昔話や説話などの内容が辞書を使用しないでおおよそ把握することができる。
  • 親しい相手からの比較的短い通信文やメールであれば、読みながら即座に正しく理解できる。また、身近で日常的な器具の使用マニュアルなどは、複数回読めば正しく使用できるレベルで理解ができる。

表出

専攻語科目(1年実習) 専攻語科目(2年実習) 専攻語科目(演習)
話すこと やりとり会話への参加
  • 相手がゆっくり話し、繰り返したり、言い換えたりしてもらえれば、道を尋ねる等直接必要なことやごく身近な話題についてのやりとりができる。
  • 通常は会話を続けていくだけの理解力はないが、短い社交的なやりとりをすることができる。
  • 店頭でチケットやホテルの予約をすることができる。
  • 日々の社会生活における平凡な事情や事象に関する会話に積極的に参加して、主な内容を正確に理解し、相手の発言に適切に反応することができる。加えて、その様な会話の口火を切ることができる。
表現一人で行う
報告など
  • 自己紹介などを簡単な語句や文を使って表現できる。
  • 簡単な方法(-ip形や-erek形)で語句をつないで自分の考えを述べることができる。
  • 決まりきった日常の活動や一般的な事態について、個人的な意見や断言を比較的敏速に述べることができる。卒業論文等のある程度の専門知識を要する題目について、事前に準備すれば、その題目に合った文体で書面資料を作成し口頭でプレゼンテーションすることができる。
書くこと
  • 具体的な内容の簡単な文章を書くことができる。
  • 人称を間違えずに文章を書くことができる。
  • 具体的な内容の文章を長めのセンテンスを組み合わせて書くことができる。
  • -dik形、-me形を用いた複文を自由に書くことができる。
  • 日々の社会生活における平凡な事情や事象に関して、簡単なメモや私信などの文章を書くことができる。専門知識を要する題目について、十分な準備時間をとり、辞書や参考書などの助けにより、卒業論文の概要などのような一定量の文章を書くことができる。

その他

1・2年次
目標言語圏又は日本で実施されている公式語学検定試験についての概要
3・4年次
言語の応用力及び地域文化の専門的知識の習得
専攻語科目(演習)
1・2年次
3・4年次
  • アンカラ大学付属トルコ語教育センターの卒業証書(各級あり)が事実上の語学検定証として認められる。
  • トルコ大使館文化部「ユヌス・エムレ トルコ文化センター」がC1レベルのトルコ語能力試験を実施している(現在のところC1レベルのみ)。
  • トルコ語で書かれた資料や文献を適切に使いこなす能力を身につける。
  • トルコ共和国をはじめとするユーラシア諸地域のトルコ系諸民族の言語・文化・歴史・文学や社会などについて幅広い基礎的な知識を習得する。その上で自らが関心のある諸問題について、情報を自主的に調査・整理して理解することができる。

到達度評価制度とは

外国語学部では、専攻語教育に関して、2007年度より「到達度評価制度」を取り入れています。
25専攻語毎に1年次、2年次、3・4年次に分けて提示しています。
その特徴は、以下のとおりです。

  • ・言語学習の「聞き、話し、読み、書く」の4技能のうち、「話す」は「やりとり(対話)」と「表現(独話、発表等)」に分けて考え、計5項目として記述してあります。
  • ・各専攻語の提供する専攻語教育において、何が目指されているのかを示してあります。
  • ・目標の記載は、否定形を使わず「0できる」という能力表現(Can-do Statements)で記述してあります。
  • ・ここに記載されているのは、基本的に本学の専攻語プログラムをきちんと履修すれば長期留学をしなくても
    6割以上の受講生が到達できる目標と考えられています。

この到達度目標の枠組みは、欧州評議会が2001年に発表したCEFR(Common European Framework of Reference for Languages ヨーロッパ言語共通参照枠)を参照して2007年に作成され、2013年に本学外国語学部がめざす教育目標、枠組みに沿った形で全面改定を行い、内容をさらに充実させたものです。
自分の専攻語の目標を見定めて、自分の言語能力を技能別に把握しましょう。卒業時点での目標はもちろん、生涯にわたる自分の専攻語の到達目標を考えて、各段階で自分自身の納得する到達目標を立てましょう。そのような生涯学習の中の位置づけに基づき、学習目標や方法を主体的に考えて「自律的学習者autonomous learner」になりましょう。そのために上の表を活用してください。

学生生活

どこにでもいる猫たち

小径からスレイマニイェ・モスク(イスタンブール)を見上げる

 学生生活については上記のカリキュラムに記した通りですが、付言すれば留学をしたい学生は3年生の半ばから1年間、長期留学を行うのが通例です。相手先はトルコ共和国イスタンブールのボアズィチ大学、およびウズベキスタン共和国サマルカンドのサマルカンド大学が協定校になっています。
 また、このほか夏季や春季休暇の折に、トルコの語学学校へ短期留学を実施する学生も多くいます。

教員紹介

卒業後の進路

大学院進学、観光業、貿易業、製造業など