タイ語専攻

バンコク市内の様子

タイ北部の寺院内の仏像

 タイと日本との結びつきは古く、14世紀の琉球王朝とシャムとの商船交易の時代から数えると600年以上、日本人がアユタヤに日本人町を作った16世紀初頭から数えても500年、近代国家として両国が外交関係を結んでから120年という長い歴史があります。一般的にタイは「微笑みの国」「スパイシーな料理」「仏教」というイメージがあります が、1980年代から目覚しい経済成長を遂げてきており、タイにおける日系企業の数は1000社を超え、経済的にも日本はタイと密接な関係にあります。このような官・民のレベルの関係に加え、市民レベルでも交流が盛んで、年間100万人の日本人観光客がタイを訪れており、さらに、短期の旅行者を除いた長期滞在者の日本人が常時5~6万人タイに暮らしているといわれます。
 このようなタイ日関係の中で、大阪大学外国語学部のタイ語専攻は1949年の開設(旧大阪外国語大学タイ語学科)以来70年以上にわたり、タイ日間の交流の基礎となるタイ語教育・タイ地域研究の拠点としての役割を果たしてきました。800名以上の卒業生を社会に送り出し、その中にはタイと日本の架け橋となる仕事をしている人も多数います。

専攻語紹介

教育・カリキュラム

日本語との比較から見たタイ語の特徴とは、声調があること、性・数・格・時相による語形変化がないこと、子音・母音の数が多いこと、独自の文字をもつことの4点でしょう。1・2年次の専攻語実習では声調をふくむタイ語の発音、文法をふまえたタイ語表現、文字と発音の対応関係といったタイ語の基礎から、タイ語による日常会話・作文・プレゼンテーション技法を段階的に学んでいきます。2年次を終えた時点で、基礎的な語学力・日常的なコミュニケーション能力が付くような内容となっています。3・4年次では、専任教員(3名)、特任教員(タイ人1名)、学外の非常勤講師によるタイの言語(語学)、文学、経済の授業があり、1・2年次で習得したタイ語運用能力を駆使して、より専門的にタイについて学びます。さらに、タイのことだけでなく、東南アジア地域全体について学べる東南アジア共通の授業もあり、幅広い内容を学ぶことができるカリキュラムとなっています。

到達度目標はこちら

タイ語による実践的コミュニケーションの能力を向上させ、かつそれを基礎にタイの社会的文化的ダイナミズムに対する深い洞察力を身に付けたいと考える人を求めます。

理解すること

専攻語科目(1年実習) 専攻語科目(2年実習) 専攻語科目(演習)
聞くこと
  • タイ語独自の音声に慣れ、有気音/無気音や声調の違いを区別して聞き取ることができる。
  • 教員が明瞭にゆっくりと話す簡単な指示内容や説明を理解できる。
  • タイでの生活では、日常生活を送るうえで身近な人からの簡単な指示や呼びかけを理解できる。公共の場での簡単なアナウンスやテレビやラジオの短い広告などを聞きとることができる。
  • 日常の出来事、身の回りの出来事について、語彙や表現で分からないところが多少はあっても、ネイティブの教員がほぼ平常のスピードで話した場合、主たる情報を把握することができる。
  • タイでの生活では、テレビやラジオの平易な内容のニュース、また公共の場でのアナウンスなど、まとまりのあるメッセージのおおよその内容を理解することができる。
  • ネイティブの教員の平常のスピードでの講義を聞き取り、要点を理解できる。
  • テレビ・ラジオのニュースや時事問題の番組を聞き取り、おおよその内容が理解できる。
読むこと
  • タイ語の文字・符号の形態と構成方法を覚え、規則的な表記であれば、タイ文字で書かれた語や短い文を正しく発音できる。
  • 学習した文字知識によって、タイ語辞書を引いて、新しい語彙を学習することができる。
  • 教材用に作成された簡単な内容の文章を読解できる。
  • タイでの生活では、道路標識・街中の簡単な案内掲示や看板、注意書き等を読んで、理解することができる。
  • 短くて簡単なテキストは、多少分からない語句や表現があっても、主な内容を理解することができる。
  • やや長い文や少し複雑な文章でも辞書を引きながら時間をかければ、また教員の説明や助けがあれば、その内容を理解することができる。
  • タイでの生活では、簡単で短い個人的な手紙、観光パンフレットや商品の注意事項等に書かれている説明文を読んで理解することができる。
  • 新聞や雑誌の記事、エッセイや小説などの一般的な文章であれば、辞書を用いずにある程度内容を理解することができる。
  • 辞書を用いれば、専門的な研究書・論文の内容を正確に把握することができる。
  • 自らの研究テーマにとって適切な図書、学術論文、エッセイ・小説、新聞記事、インターネット上の情報などを探し出し、その読解を通して必要な情報を把握し、理解することができる。

表出

専攻語科目(1年実習) 専攻語科目(2年実習) 専攻語科目(演習)
話すこと やりとり会話への参加
  • 相手が簡単な表現で明瞭にゆっくりと話す場合に、また一度で理解できないときには、相手が繰り返したり、別の表現を使ったりする場合に、日常的で身近な出来事やことがらについて簡単な会話をすることが出来る。
  • タイでの生活では、日用品などの買い物をする、公共交通機関の利用方法を尋ねる、初対面の人に簡単な自己紹介を行う、また相手のことについて尋ねることができる。
  • 日常生活における身近な出来事について、表現が多少不自然であっても、具体的なことであれば、会話のやりとりをすることが出来る。
  • タイでの生活場面では、買い物での値段交渉、ホテルや公共交通機関のトラブルの対処やリクエストを、応対者との会話を通して行える。友人と食事をするときに、身の回りの出来事や趣味などの話題で一定の会話をすることができる。
  • 授業内で与えられたテーマについて自分の意見を述べ、教員との質疑応答などのやり取りを行うことができる。
  • 一般的な話題に関することがらであれば、会話の流れに沿って主な内容を把握し、相手との関係に配慮した適切な応答で会話を継続することができる。
  • タイ語話者との会話を通し、自分が必要とする情報、あるいは相手の要望や要求を把握し、情報の提供や手助けをすることができる。例えば、来日タイ人に対するタイ語での案内ができること。
表現一人で行う
報告など
  • 簡単な語句や文を使って、自分のこと、家族のこと、身近なことを説明することができ、また単純な意思を伝えることが出来る。
  • 日常的な出来事、趣味、身の回りの出来事、等については、簡単な語句、文を使ってその場で説明することができる。また十分に準備の時間が与えられれば、関心を持っているテーマについて短いプレゼンテーションを行うことが出来る。
  • 事前に準備すれば、与えられたテーマや自分が興味を有する話題について、自分の考えを明確に述べ、詳細な説明をするプレゼンテーションを行うことができる。
書くこと
  • 簡単な基本語句や日常的に使用頻度の高い語句を辞書や教材を見ずに書くことが出来る。
  • 多少の誤りはあっても、タイ語の独自の語順に配慮しながら、基礎的な表現を使って、具体的で簡単な日常の出来事・事柄について作文を書くことが出来る。
  • 平易な内容については、辞書を引きながらその場で簡単なレポートを書くことができる。
  • 十分な時間を与えられれば、日常の出来事等のような簡単な事柄、個人の手紙について、多少表現が不適切または不自然であっても、書くことができ、また日本語をタイ語に翻訳することができる。
  • 日常的なテーマについて、適切な表現を用いて、まとまりのある内容のエッセイや手紙・電子メールなどの文章を書くことができる。
  • 専門的なテーマについては、辞書等の助けを借りれば、論理的な構成をもつ一定量の文章を書くことができる(例えば卒業論文の概要など)。

その他

1・2年次
目標言語圏又は日本で実施されている公式語学検定試験についての概要
3・4年次
言語の応用力及び地域文化の専門的知識の習得
専攻語科目(演習)
1・2年次
3・4年次
  • 研究遂行面においては、タイの言語・社会・文化についての興味関心を広げ、問題意識を高め、そのなかから卒業論文のテーマを設定して、タイ語の資料・情報を駆使した研究を推進することができる。
  • 言語を基盤とした文化・社会の理解に基づき、自文化・自己の所属する社会(主として日本文化・日本社会を念頭においている)のことがらをタイ語話者に説明することができる、またタイ文化・タイ社会のことがらを日本語話者・日本社会に紹介し、説明することができる。

到達度評価制度とは

外国語学部では、専攻語教育に関して、2007年度より「到達度評価制度」を取り入れています。
25専攻語毎に1年次、2年次、3・4年次に分けて提示しています。
その特徴は、以下のとおりです。

  • ・言語学習の「聞き、話し、読み、書く」の4技能のうち、「話す」は「やりとり(対話)」と「表現(独話、発表等)」に分けて考え、計5項目として記述してあります。
  • ・各専攻語の提供する専攻語教育において、何が目指されているのかを示してあります。
  • ・目標の記載は、否定形を使わず「0できる」という能力表現(Can-do Statements)で記述してあります。
  • ・ここに記載されているのは、基本的に本学の専攻語プログラムをきちんと履修すれば長期留学をしなくても
    6割以上の受講生が到達できる目標と考えられています。

この到達度目標の枠組みは、欧州評議会が2001年に発表したCEFR(Common European Framework of Reference for Languages ヨーロッパ言語共通参照枠)を参照して2007年に作成され、2013年に本学外国語学部がめざす教育目標、枠組みに沿った形で全面改定を行い、内容をさらに充実させたものです。
自分の専攻語の目標を見定めて、自分の言語能力を技能別に把握しましょう。卒業時点での目標はもちろん、生涯にわたる自分の専攻語の到達目標を考えて、各段階で自分自身の納得する到達目標を立てましょう。そのような生涯学習の中の位置づけに基づき、学習目標や方法を主体的に考えて「自律的学習者autonomous learner」になりましょう。そのために上の表を活用してください。

学生生活

バンコク市内の戦勝記念等

タイ北部の仏塔

 大阪大学では多くのタイ人留学生が学んでいるので、タイ語専攻の学生はタイ人留学生と交流する機会が多いようです。タイ語専攻の授業にも、日本人学生とタイ人留学生がキャンパス内で互いの言語学習を手伝ったり、一緒に作業をすることで意見交換を行なったりする風景が日常的に見られます。 タイ語専攻のもう一つの特徴は、タイの大学に留学する学生が多いことです。タイには大阪大学の大学間、部局間学術交流協定校が合わせて9校あり、毎年10名前後の学生がタイの大学に1年間勉強しに行きます。留学による語学能力の向上は当然ですが、タイの人々と一緒に生活して、その文化や価値観を直接経験すること は、学生の視野を広げ、人格的にも大きく成長をさせるようです。

教員紹介

卒業後の進路

 卒業生は、金融業、流通業、製造業、サービス業、マスコミ、運輸、教員・公務員など幅広い分野に就職しています。このなかで、タイと直接関係のある仕事に就いた人の多くは、就職して数年後にタイに赴任する人が多いようです。最近ではタイ語ができる学生を求める企業も増えてきています。ただし、卒業生全員がタイと直接関係する仕事につくとは限りません。仕事はタイとは関係ないけれど、タイとの結びつきを個人的なものとして大切にしている卒業生も数多くいます。それだけ、日本とタイとの関係が成熟してきたということでしょうか。