ドイツ語専攻

夕暮れのベルリン中心部

ベルリンの壁(1990年3月)

 ドイツ語はヨーロッパ大陸の中心部に約1億3千万人の母語話者を擁する言語です。また、長い間ドイツ語圏で培われてきた学問の蓄積は、医学や数学、物理学、化学、あるいは哲学、文学、歴史学など多岐に渡り、ソフト・パワーの観点からみても世界的に大きな影響を与え続けてきた言語であることは間違いありません。当然日本も近代化に際しその多大なる影響を受け、それは現在の私たちが暮らす日本社会の基盤の一部となっています。また、最近では自動車産業に代表されるものづくり立国としてのドイツ、日本人選手も数多く活躍するようになったサッカーをはじめとしたスポーツ先進国としての姿、はたまた脱原発を実現した環境保護先進国としてドイツをイメージする方も少なくないでしょう。ドイツ語専攻での学びは、このように歴史的に培われてきた学術資源にアクセスすることを容易にし、政治、経済、社会全ての領域において世界のトップランナーであり続けるドイツの姿をよりよく知ることができるようになります。このような学びは、学生のみなさんが卒業後の自らのキャリアを形成していくにあたり大きな助けとなるでしょう。
 また、大阪大学外国語学部は1921年に創設された大阪外国語学校がそのはじまりですが、ドイツ語専攻は学校設立当初より設置されている伝統ある専攻で、多くの卒業生が社会の各方面で活躍をしています。

専攻語紹介

教育・カリキュラム

ドイツ語専攻では日本人5名、ドイツ人1名の専任教員が、経験豊富な兼任講師とともに多様な授業を提供しています。ドイツ語専攻の学生は、入学後の2年間で集中的に「読む、聞く、書く、話す」4分野全てをカバーするバランスの取れた授業を履修し、ドイツ語運用能力の基礎をつくりあげます。また、語学運用能力の涵養と並行して、ドイツ語圏の言語・文化・社会に関する知識を修得し、ドイツ語圏文化研究の土台構築に努めます。3、4年生になると学生各人がゼミナールに所属し、それまでに得たドイツ語運用能力を活用して卒業研究を行います。卒業研究以外にもさらに高度なドイツ語運用能力を身につけるドイツ語専攻語演習、ドイツ語を活用して専門知識を学ぶ言語・文学・文化・思想・歴史に関する演習科目を履修し、「ドイツ語圏のスペシャリスト」としての研鑽を積み、社会に巣立っていきます。

到達度目標はこちら

ドイツ語を本格的に学びたい人、ドイツの歴史や文化を学ぶことをとおして社会や世界への通路を開きたいと思う人、ドイツやヨーロッパに興味のある人、そこで生活したり働きたいと思う人を求めます。

理解すること

専攻語科目(1年実習) 専攻語科目(2年実習) 専攻語科目(演習)
聞くこと
  • 明瞭にゆっくり話されれば、教員による課題の指示・説明を理解できる。
  • 話し方が明瞭でゆっくりしており、よく使われる簡単な語句や表現による説明であれば、概略を理解できる。
  • たとえば公共交通機関など、身の回りの領域に特に頻出する語彙や簡単な表現を理解できる。

相当レベル CEFR/A1~A2

  • 日常生活の基本的な事柄の範囲で、視覚資料などがあれば、教員の説明や他の学生の発話を理解できる。
  • 社会や文化に関して、明瞭な標準語であれば、基本的事柄の範囲で、課題についての指示や説明を理解できる。
  • たとえば自分や家族、買い物、近所、仕事など身近な領域について、明瞭な標準語であれば、要点を理解できる。

相当レベル CEFR/A2~B1

  • あらかじめ丁寧な解説があれば、講義や長い会話の要点を理解できる。
  • あらかじめ丁寧な解説があれば、テレビのニュース番組や時事問題の番組を聞いて要点を理解できる。
  • あらかじめ丁寧な解説があれば、標準語の映画やドラマの大筋を理解できる。

相当レベル CEFR/B1~C1

読むこと
  • 教科書用に編集された文章や、日常的テーマを持つ平易な表現、未習語彙の少ない文章であれば、辞書を用いて読解できる。
  • やや抽象性の高いテクストは、辞書を用いて時間をかければ読解できる。
  • たとえば標識やポスター、カタログなどに書かれ、よく知られた語彙や平易な表現であれば読解できる。

相当レベル CEFR/A1~A2

  • 一般的な文章や、日常的テーマを持つ平易で短く具体的なテクストであれば、その場で読解できる。
  • 構文がやや複雑で抽象性の高いテクストは、辞書を用いて時間をかければ読解できる。
  • たとえば広告、パンフレット、メニューなど具体的で視覚的なものは、その場で必要な情報を読解できる。
  • 相当レベル CEFR/A2~B1

  • 筆者の立場や意見が表明されているエッセイや雑誌・新聞記事について、辞書を用いながら読解できる。
  • 散文による文学作品などのテクストについて、辞書を用いながら読解できる。
  • 複雑で高度な内容を持つテクストについて、辞書を用いながら読解できる。

相当レベル CEFR/B1~C1

表出

専攻語科目(1年実習) 専攻語科目(2年実習) 専攻語科目(演習)
話すこと やりとり会話への参加
  • 教員による手助けがあれば、教科書の内容や日常生活の話題、必要性の高い現在の事柄について、簡単なやり取りができる。
  • 学生同士のペア練習で相手となんとかやり取りできる。
  • 定型的なミニダイアログに基づいたやり取りができる。

相当レベル CEFR/A1~A2

  • 教員による手助けがあれば、教科書の内容や身近な話題、必要性の高い過去や未来の事柄について、やり取りできる。
  • 学生同士のペア練習で相手とある程度やり取りできる。
  • 相手のリードがあれば、日常生活の具体的なテーマや状況について、やり取りを続けることができる。

相当レベル CEFR/A2~B1

  • 身近な話題の議論について、積極的に参加し自分の意見を述べ、主張することができる。
  • 授業やネイティブ教員との会話の際にやり取りを続けることができる。
  • ネイティブとの日常会話でやりとりを続けることができる。

相当レベル CEFR/B1~C1

表現一人で行う
報告など
  • 時間をかけて準備すれば、関心のあるテーマについて、ごく短い発表を行うことができる。
  • 自分の大学生活や日常生活の現在の事柄について、大筋を表現することができる。
  • たとえば自分のこと、自分の町、周囲の人たちについて、簡単な語彙や表現を使って説明できる。

相当レベル CEFR/A1~A2

  • 一定の準備時間があれば、写真や図表などの視覚材料を用いて、数分程度の発表を行うことができる。
  • 自分の大学生活や日常生活の事柄について、過去と未来のことも含めて、大筋を表現することができる。
  • たとえば家族、周囲の人々、住居の事情、学業、職業などについて、豊かな語彙・イディオム・自然な言い回しを使って表現できる。

相当レベル CEFR/A2~B1

  • 関心を持つテーマについて、的確な説明がある程度できる。
  • 大学生活や社会一般の事柄について、異なる立場や考え方を挙げて、的確な説明ができる。
  • たとえば時事問題について、場面に合った語彙や表現を使って的確な説明ができる。

相当レベル CEFR/B1~C1

書くこと
  • 時間をかけて準備すれば、教科書やビデオのテクストの要約を書くことができる。
  • 身近な日常生活のテーマについて、文法的誤りが多少あっても、理解可能な文を書くことができる。
  • 教科書の課題の文章を書くことができる。

相当レベル CEFR/A1~A2

  • 一定の準備時間があれば、自分の趣味・関心事、余暇の過ごし方など身近なテーマに関して、短い説明文や報告文を書くことができる。
  • 身近な社会・文化的テーマについて、文法的誤りの少なく整ったテクストを書くことができる。
  • 簡単な事柄についてのメモやメッセージ、手紙やEメールなどを書くことができる。

相当レベル CEFR/A2~B1

  • 関心を持つテーマについて、幅広く客観的な説明文を書くことができる。
  • いくつかの視点から、賛成や反対の理由を含めて、報告文などとして書くことができる。
  • 卒業論文について、専門用語を用いながら、その要旨を書くことができる。

相当レベル CEFR/B1~C1

その他

1・2年次
目標言語圏又は日本で実施されている公式語学検定試験についての概要
3・4年次
言語の応用力及び地域文化の専門的知識の習得
専攻語科目(演習)
1・2年次
3・4年次

日本で受検可能なドイツ語検定試験は以下の通り:
①日本の公益財団法人ドイツ語学文学振興会主催のドイツ語技能検定試験 (独検、5級から1級までの6段階)
②ドイツの ゲーテ・インスティトゥートが実施する各種ドイツ語検定試験 (Goethe-Zertifikat、初級から上級まで各種あり)
③ドイツのテスト・ダフ・インスティトゥートが実施するドイツ語能力検定試験 (TestDaF、Test Deutsch als Fremdsprache、中級から上級までの3段階)
④オーストリア政府公認のドイツ語能力検定試験 (ÖSD、Österreichisches Sprachdiplom Deutsch、初級から上級までの6段階)
上記検定試験は年2~5回実施される。日程や開催場所については各サイト上の最新情報を参照すること。

  • ゼミ発表やプレゼンテーションのために、関連文献や資料を検索し、読解した上で利用することができる。
  • 自分の専門とするドイツ語圏のテーマ領域について、問題点を挙げながら相手に伝えることができる。
  • ドイツ語圏の言語や文化、社会についての背景的知識をふまえ、日本の言語や文化、社会との相関性を把握して、対照的観点から論述できる。
  • 卒業論文のためにドイツ語の関連文献や資料を収集し、評価を加えつつ論述に組み込むことができる。また口頭試問の際に、ドイツ語や母語の資料を用いながら論述することができる。

到達度評価制度とは

外国語学部では、専攻語教育に関して、2007年度より「到達度評価制度」を取り入れています。
25専攻語毎に1年次、2年次、3・4年次に分けて提示しています。
その特徴は、以下のとおりです。

  • ・言語学習の「聞き、話し、読み、書く」の4技能のうち、「話す」は「やりとり(対話)」と「表現(独話、発表等)」に分けて考え、計5項目として記述してあります。
  • ・各専攻語の提供する専攻語教育において、何が目指されているのかを示してあります。
  • ・目標の記載は、否定形を使わず「0できる」という能力表現(Can-do Statements)で記述してあります。
  • ・ここに記載されているのは、基本的に本学の専攻語プログラムをきちんと履修すれば長期留学をしなくても
    6割以上の受講生が到達できる目標と考えられています。

この到達度目標の枠組みは、欧州評議会が2001年に発表したCEFR(Common European Framework of Reference for Languages ヨーロッパ言語共通参照枠)を参照して2007年に作成され、2013年に本学外国語学部がめざす教育目標、枠組みに沿った形で全面改定を行い、内容をさらに充実させたものです。
自分の専攻語の目標を見定めて、自分の言語能力を技能別に把握しましょう。卒業時点での目標はもちろん、生涯にわたる自分の専攻語の到達目標を考えて、各段階で自分自身の納得する到達目標を立てましょう。そのような生涯学習の中の位置づけに基づき、学習目標や方法を主体的に考えて「自律的学習者autonomous learner」になりましょう。そのために上の表を活用してください。

学生生活

 グローバル化が進展する現在、外国語学部生にとって留学は自らの学びを深化させる大事なプロセスの一つです。大阪大学はドイツの17大学、オーストリアのウィーン大学と大学間交流協定を締結しており、外国語学部が協定を締結しているスイスの3大学を加えると、交換留学制度にはさまざまな選択肢があります。特にドイツの交流協定校の中には14世紀に創設されたドイツ最古のハイデルベルク大学や、過去40名を超えるノーベル賞受賞者を輩出し、「ゲッティンゲンの奇跡」と呼ばれるゲッティンゲン大学をはじめ、世界ランキングでも上位に位置する大学が名前を連ねます。さらに、私費留学という形で大学提携校以外の大学にチャレンジする学生も多くおります。

教員紹介

卒業後の進路

 ドイツ語の学習を介して身につけた高いコミュニケーション能力や、多彩な授業により得られる幅広い知識は、企業における採用担当者からも高く評価されていると感じられます。就職先としては主要金融機関、旅行会社、大手メーカー、物流企業、電力や通信などの公共インフラ企業、官公庁、教員、国立大学法人や地方公共団体の事務職員、外務省職員などが挙げられます。大学院に進学し、研究者への道を志す人もいます。最近はドイツの大学院進学志望者が増加しているのが特徴です。