アラビア語専攻

南スーダン・ジュバのダンス

モロッコ・フェズ旧市街

 アラビア語が公用語や日常語として使用されている地域は地球の陸地面積の約一割(東西に約8000km)、母語話者人口は4億を超えるともいわれます。アラビア語は約26の国と地域、そして国連など複数の国際機関の公用語であるだけでなく、現在20億人に迫る信徒を擁するイスラームの「聖典の言語」でもあります。全てのムスリムが日常語として話すわけではありませんが、アラビア語がムスリムにとって大切な、あるいは憧れの言語である、という点は見過ごせません。そんな世界有数の大言語だけに、アラビア語を学び始めると、それを知ってはじめて見えてくる世界の多様性がある、ということにも気づくはずです。
 日本に生まれ育った多くの人にとって、これまでアラビア語世界(やその周囲に広がる世界)はあまり身近なものとは感じられなかいかもしれません。しかし、世界の各地域が緊密に結びつきつつある今日、その複雑で豊かな歴史や文化、また日本を含む東アジアとの知られざる関係などはあらためてその重要性を認識する必要が高まっていると言えるでしょう。アラビア語を学ぶことは、この世界に対する新たな視点を獲得することにもなります。また、机の上の勉強だけでなく、時には喧嘩したり、料理に舌鼓を打ったり、ともに笑ったりしながら、この世界を体験的に理解してみましょう。

専攻語紹介

教育・カリキュラム

 「現代標準アラビア語」(Modern Standard Arabic)とよばれる、アラブ世界で共通の書き言葉として使用されているアラビア語を主として学びます。書き言葉とはいっても、メディアや高等教育の現場等ではオーラル・コミュニケーションにも用いられるので、本専攻では「読む・書く・話す・聴く」の四技能を総合的に学びます。
 1・2年次は現代的な使用に重点を置きつつ基礎を固め、3・4年次では古典文学から口語諸方言まで、より多様かつ高度なアラビア語能力を養成します。アラビア語のほか、中東・ヨーロッパ・アフリカ地域で話されている「親戚」にあたる言語(セム諸語やその他のアフロアジア諸語)を学ぶこともできます。4年次には本専攻の学びの集大成として、自らテーマを設定し、卒業論文を執筆します。

到達度目標はこちら

日本語も含めた世界の言葉に限りない関心を寄せ、言葉が織り成すあらゆる現象を理解するためにあくなき探求心を燃やし、異文化への遥かな道のりを自分の足でたゆまず歩んでいける人を希望します。

理解すること

専攻語科目(1年実習) 専攻語科目(2年実習) 専攻語科目(演習)
聞くこと
  • 基本的な慣用日常挨拶表現を理解できる。
  • 明瞭でゆっくりと話されれば、授業の課題や説明を理解できる。
  • 基本語彙 (必ずしも生活語彙とは限らない) を使って、「AはBだ」構文が明瞭に話されれば、理解できる。
  • 基本語彙 (必ずしも生活語彙とは限らない) を使って、「~に~がある (いる)」構文が明瞭に話されれば、理解できる。
  • すでに起こった事実に関する具体的で平易な説明がゆっくり明瞭に話されれば、理解できる。

相当レベル CEFR/A1

  • 多様な慣用日常挨拶表現を理解できる。
  • 明瞭に話されれば、授業の課題や説明を理解できる。
  • 基本語彙 (必ずしも生活語彙とは限らない) を使って、すでに起こった過去の事実、現在起こっている、あるいは習慣的に起こっている現在の事象、将来起こるだろう未来の事象に関する内容や、命令・禁止の表現などを含む内容がゆっくり明瞭に話されれば、理解できる。

相当レベル CEFR/A2~B1

  • ネイティブの教員などの教養をそなえた話者が様々な話題について文語アラビア語で話したとき、その話題の概要を理解できる。
  • 標準速度の文語アラビア語で放送されるテレビ・ラジオの時事ニュースを聞き、キーワードを聞き逃さずにその要点を把握できる。
  • 口語アラビア語のどれか (たとえば現在、授業が開設されているエジプト口語アラビア語) で話しかけられたとき、挨拶表現などを含む基礎的表現を聞いて理解できる。

相当レベル CEFR/B2

読むこと
  • 教科書用に編集され、原則的にすでに起こった事実を平易に述べるテキストなら、辞書を使って理解できる。
  • 生のテキストでも、原則的にすでに起こった事実を簡潔に平易に述べるテキスト (必ずしも日常的テーマを扱うとは限らない) なら、辞書を使って理解できる。

相当レベル CEFR/A1~A2

  • 原則的にすでに起こった事実を平易に述べるテキストなら、ほとんど辞書を使わず、その場で理解できる。
  • 過去・現在・未来に関する言及や、命令・禁止の表現などを含むやや複雑な内容のテキストも辞書を使って十分な時間をかければ理解できる。

相当レベル CEFR/A2~B1

  • できるだけ辞書の助けを借りずに、アラビア語新聞・雑誌の見出しを素早く理解できる。
  • 現代標準文語アラビア語で書かれたある程度専門的なアラビア語テキスト (たとえば論説、評論、随筆など) も、十分時間をかけて丁寧に辞書を引くことによって正確に内容を把握できる。
  • 必要に応じてアラビア語/アラビア語辞書を使って調べ、そこに書かれたアラビア語での解説の概略を理解できる。

相当レベル CEFR/B2~C1

表出

専攻語科目(1年実習) 専攻語科目(2年実習) 専攻語科目(演習)
話すこと やりとり会話への参加
  • 原則的にすでに起こった事実についてゆっくり明瞭に、繰り返しや言いかえを交えて話されれば、やりとりをすることができる。

相当レベル CEFR/A1

  • 教員の適切なリードがあれば、過去・現在・未来に言及する平易なテーマ (必ずしも日常的なテーマとは限らない) や、テキストの内容に関して、一定時間、会話を続けることができる。

相当レベル CEFR/A2

  • 限られた語彙を有効に活用して表現の幅を広げ、分からない語句や表現があれば、即座に適切に質問するなどして自発的積極的に語彙を開発することができる。
  • ネイティブの教員などの教養をそなえた話者が基本的に文語アラビア語で行う会話の中で、専門性に偏らない一般的な話題について文語アラビア語で質疑応答したり、文語アラビア語で簡潔に自分の意見を述べたりすることができる。
  • 口語アラビア語のどれか (たとえば現在、授業が開設されているエジプト口語アラビア語) で挨拶を交わしたり、日常性生活の簡単な用事を足したりすることができる。

相当レベル CEFR/B1~B2

表現一人で行う
報告など
  • 自己紹介や家族の紹介など、平易なテーマ (必ずしも日常的テーマとは限らない) に関してなら、「AはBだ」「~に~がある (いる)」などの簡単な構文を使って説明することができる。
  • 上記の平易なテーマや、原則的にすでに起こった事実に関して、時間をかければ小規模だがまとまったプレゼンテーションをすることもできる。

相当レベル CEFR/A1

  • 平易なテーマ (必ずしも日常的テーマとは限らない) については、過去・現在・未来に言及しながら、基本構文を使って説明することができる。
  • 十分な準備時間をかければ、特定のテーマについて、内容的にまとまったプレゼンテーションをすることができる。

相当レベル CEFR/A2

  • 基本的に文語アラビア語を使ってメモなどを見ずに、自分の卒業論文テーマを簡潔に要領よく論理的に説明できる。
  • 十分な準備のための時間が与えられればあまり専門性の高くない一般的な話題について、書面に要点を書きとめた上で、基本的に文語アラビア語を使ってまとまった内容のプレゼンテーションを行うことができる。
  • 理解が十分に及ばない語句や表現があった場合、相手に聞き返したり、どういう意味なのか的確に質問したり、ポイントを変えて様々な角度から質問したり、またパラフレーズして相手に意味を確認したりすることができる。

相当レベル CEFR/B1~B2

書くこと
  • 原則的にすでに起こった事実を述べる平易なテーマ (必ずしも日常的テーマとは限らない) について、十分な時間をかければ、文法的に完全ではなくとも、「AはBだ」「~に~がある (いる)」などの簡単な構文を使って、簡単な説明文や報告文を書くことができる。

相当レベル CEFR/A1

  • 平易な内容なら、文法的誤りや構文上の不適切さはあるにせよ、その場で簡単な報告を書くことができる。
  • 一定時間内にテキストの内容要約を書くことができる。

相当レベル  CEFR/A2

  • 文語アラビア語を使ってA4用紙1枚程度の分量で、出身・家族・趣味・専門分野などに関する自己紹介文を書くことができる。
  • 辞書などの助けを借り、文語アラビア語を使ってA4半分程度の分量で、与えられた一般的テーマについて要約を書くことができる。
  • 辞書などを活用し、文語アラビア語を使ってA4用紙3~4枚程度の分量で、自分の卒業論文の要約を書くことができる。

相当レベル CEFR/B1~B2

その他

1・2年次
目標言語圏又は日本で実施されている公式語学検定試験についての概要
3・4年次
言語の応用力及び地域文化の専門的知識の習得
専攻語科目(演習)
1・2年次
3・4年次
  • アラビア語圏、非アラビア語圏を問わず海外にアラビア語検定試験制度は存在するが、どの検定試験制度もどの程度国際的に認知され、世界標準たり得ているか明らかではない。
  • 本学 (当時大阪外国語大学) 専攻語アラビア語は平成17年度科学技術研究費補助金 (研究代表者:竹田新) を獲得し、アラビア語検定試験制度を最終目的に据えてアラビア語学習到達度評価システム確立のための基礎研究を行い、平成19年3月、「アラビア語学習到達度評価システム開発の基礎研究 (課題番号17652062)」と題する研究成果報告書を提出した。
  • 日本国内では平成19年3月、NPO法人日本アラビア語検定協会が設立され、同年10月、同協会によって第1回アラビア語検定試験が実施された。
  • アラブ文化と中東地域の文化について言語・文学・社会・政治・経済・歴史などの多様な側面から、包括的で偏らない知識を習得する。
  • 1・2年次で修得した基礎的語学力を活用し、アラブ文化と中東地域の文化について、また自分の母文化について、あるいは両者を比較して適切に発信できる能力を身につける。
  • アラブ文化と中東地域の文化の多様な現象のどれかに焦点を定め、種々の参考文献・参考資料を分析しながら卒業論文を作成することができる。

到達度評価制度とは

外国語学部では、専攻語教育に関して、2007年度より「到達度評価制度」を取り入れています。
25専攻語毎に1年次、2年次、3・4年次に分けて提示しています。
その特徴は、以下のとおりです。

  • ・言語学習の「聞き、話し、読み、書く」の4技能のうち、「話す」は「やりとり(対話)」と「表現(独話、発表等)」に分けて考え、計5項目として記述してあります。
  • ・各専攻語の提供する専攻語教育において、何が目指されているのかを示してあります。
  • ・目標の記載は、否定形を使わず「0できる」という能力表現(Can-do Statements)で記述してあります。
  • ・ここに記載されているのは、基本的に本学の専攻語プログラムをきちんと履修すれば長期留学をしなくても
    6割以上の受講生が到達できる目標と考えられています。

この到達度目標の枠組みは、欧州評議会が2001年に発表したCEFR(Common European Framework of Reference for Languages ヨーロッパ言語共通参照枠)を参照して2007年に作成され、2013年に本学外国語学部がめざす教育目標、枠組みに沿った形で全面改定を行い、内容をさらに充実させたものです。
自分の専攻語の目標を見定めて、自分の言語能力を技能別に把握しましょう。卒業時点での目標はもちろん、生涯にわたる自分の専攻語の到達目標を考えて、各段階で自分自身の納得する到達目標を立てましょう。そのような生涯学習の中の位置づけに基づき、学習目標や方法を主体的に考えて「自律的学習者autonomous learner」になりましょう。そのために上の表を活用してください。

学生生活

オマーン・マスカト旧市街の店

エジプト・カイロのアイスクリーム屋

 1・2年次には、全学共通授業に加え、アラビア語を1週間に5コマ学びます。2年生が主体となり、1年生の積極的な参加のもと、年に一度アラビア語劇も開催しています。外国語学部ならではの、学生生活の目玉になっています。
 3年次以後は、1ヶ月~1年間にわたる留学や現地渡航に挑戦する学生も珍しくありません。先輩からは、留学などについて最新の情報に基づくアドバイスがもらえるでしょう。3・4年次にもアラビア語の必修授業があり、卒業時までアラビア語能力を磨いていきます。

教員紹介

卒業後の進路

 大部分の学生は一般企業職や公務員職(学校教員や外務省などを含む)につきます。メディア関係の仕事につく学生もいます。アラビア語自体を仕事上のスキルとする職種は多くありませんが、アラビア語・アラブ世界での経験をとおして培われた知見は、卒業後も各自の公私にわたる生活を深く豊かにしてくれるでしょう。アラビア語のプロを目指して、あるいは最先端の人文学的研究を志して大学院に進学する学生も一定数います。