留学体験談  「コペンハーゲン大学留学記」  竹島 莉沙(留学時3年生)

 

【留学先学校名】
・コペンハーゲン大学 (2017年8月~2018年6月)

 私は、学部3年生の後期から約1年間大阪大学の交換留学制度を利用してデンマークのコペンハーゲン大学に留学しました。

―大学生活について
 コペンハーゲン大学が夏休みに提供している外国人学生向けの3週間のデンマーク語の授業を受講するために8月から留学を開始しました。7月31日に大阪大学の試験を終え8月2日に渡航するというハードスケジュールでしたが受講して良かったです。デンマーク語を学んだことがある人向けのクラスにはアジア人が私一人しかいなかったため最初は心細かったのですが、20人程度のクラスでアットホームな雰囲気のなか、のびのび学べ、友だちもできました。9月からの秋学期では、デンマーク語を学ぶ外国人留学生のためのデンマーク語の授業や英語でのアカデミックプレゼンテーションスキルを学ぶ授業を受講しました。2月からの春学期では、社会科学部の授業を主に受講し、デンマーク社会や世界各国の福祉制度について学びました。

 コペンハーゲン大学では留学生向けの英語の授業がたくさんあります。しかし、留学生向けのデンマーク語の授業はそれほど多くありませんでした。そのため、秋学期にデンマーク語の授業を受講できたのは、とても良い経験でした。また、このクラスもアジア人は私だけで、他の人は皆ヨーロッパから来ていたので、とてもレベルが高く刺激になりました。

 大学内には美味しいカフェもあり、2時間から4時間ある授業の休憩時間にカフェで飲み物を買ってリフレッシュできました。また、コーヒー片手に授業を聞いたり、討論したりすることも日常茶飯事で、のびのびした雰囲気の中で真剣に学ぶことができました。



―課外活動について
 留学中にコペンハーゲンの高齢者福祉施設と高校(gymnasium)に見学に行きました。
デンマークは福祉が充実していてすばらしいとよく取り上げられていますが、実際はどうなのかこの目で確かめたいと思いお話を伺いに行きました。高齢者福祉施設は本当に施設がきれいで驚きました。生活を充実させることを目標とされていて、そこで暮らしておられる老人の方々も自分でできることは自分で行いながら、またペット(金魚、インコ、犬、猫)も飼ったりしながら生活されていてすごいと思いました。ですが、デンマークでも高齢化が進んでいるため、人気のある施設は入居が10年待ちなどの問題があることもわかりました。

 デンマークは教育費が無料で、高校ももちろんその対象です。行政からお金が出るため、高校間で生徒数を確保するための競争がないのかと思われますが、生徒数に対してお金が支払われるので、人気のある高校にするための工夫や努力をされていました。また生徒の学力の差をなくすために、先生や年上の生徒もサポートする制度を取り入れながら尽力されていました。みんなパソコンを持っていて、成績の管理もネット上で行われ、授業も筆記ではなくワードで行われていてデジタル化が進んでいるなと感じました。

 北欧研究所でインターンも経験させていただきました。デンマークについて研究、調査、執筆を経験させていただくとともに、いろいろな働き方があるということを学ばせていただきました。

―デンマークで生活して
 デンマークに留学して一番考えさせられたのは、時間の使い方や働き方についてです。正規生ではなく留学生だからかもしれませんが、日本にいたときとは比べ物にならないくらい時間に余裕がありました。街では18時ごろになると自転車で帰宅する人が多くなり、バーやカフェに繰り出しビールを陽気に飲む姿が見られました。当たり前のことですが、仕事もプライベートな時間もどちらも重要であるということに気づかされました。

 デンマークでは、授業中に生徒と教授が議論することが多いです。他のヨーロッパ諸国から来た留学生もこのデンマークスタイルに驚いたと言っていました。そのようなオープンな議論の文化があるデンマークにおいて、私自身も多くのことを考え、話した1年だったと思います。コペンハーゲン大学の日本語専攻のデンマーク人をはじめ、他の国から来た留学生や日本人の交換留学生とも、感じたことや経験したことを共有し、たくさん話せたことは私にとってかけがえのない経験になりました。

―おわりに
 わたしは、幼い頃にメキシコで生活したことがあり、大学生になったら海外の大学で学びたいと思っていました。デンマークを留学先として選んだ理由は、デンマークの小さくて豊かな国という点に魅力を感じ、どうしてそのような発展を遂げることができたのか、現在の社会を創り出した土地柄に触れることによって、より理解を深めることができると思ったからです。また、メキシコはとても貧富の差が激しい国だったので、デンマークのように貧富の差が小さい国はどのような社会なのか知りたいと思ったからです。

 留学してよかったことは、自分の今までの生活スタイルとは異なる生活スタイルを送ることで、新たな考え方を知ることができたことです。
 また実際に生活してみると、デンマークにも移民問題やそれに伴う差別、人種問題があるということを知ることができました。
 海外で大学生活を経験できたおかげで日本での生活の違いを感じることもできましたし、なによりも今後の人生において参考になる新たな物の見方を得ることができました。