蛙が大海に出た4ヶ月間  田中 絵美 (留学時3年生)

 
【留学先学校名】
 Højskolen på Kalø  (2012年8月~2012年12月)

 私は2012年4月から大学を1年間休学し、私費でカナダに5ヶ月間、デンマークに4ヶ月間留学しました。ここではデンマーク留学体験談を、学校での生活を中心にいくつかの項目に分けて皆さんにお伝えしたいと思います。

<Højskolen på Kaløについて>
 Højskolen på Kaløは、ユラン半島に位置するデンマーク第二の都市オーフスからバスで30分程のところにあるフォルケホイスコーレ(国民高等学校)で、語学コース(デンマーク語、スペイン語、英語)と農業コースの2つから成ります。他のフォルケホイスコーレに比べると比較的小規模で、先生と生徒、また生徒同士の距離が近いアットホームな雰囲気が特徴的です。生徒のほとんどが外国人で、非常に国籍豊かな点もまた特徴の一つです。隣には森、正面にはKalø 湾という自然に囲まれた学校で、季節による景色の変化が楽しめます。

      

<授業について>
 私は語学コースの中でも、外国人のためのデンマーク語を選択していました。生徒の多くは移民としてデンマークにやって来ており、留学生という立場はめずらしがられたことを覚えています。クラスはレベルに応じて初級と中・上級の2つに分けられ、私は(一応)中・上級コースでした。授業は読む・書く・聞く・話すをバランス良く身に付けられるように工夫されており、いずれも積極的な参加が求められました。中でもディベートの授業が印象的で、「安楽死」や「死刑」といったこれまで私が考えたこともなかったようなテーマについてとても活発な議論が交わされる一方で、それを傍観するしかなかったのはチクリと痛い思い出です。その他にも、学校の小さなホールでデンマークの映画を観賞する授業や、森を散歩したりカヤックで競争したりするアウトドアに特化した授業など、自ら体験して学ぶことが多かったです。

<授業以外の時間について>
 Kaløの授業は遅くても15時には終わるので、なんと言ってもフリータイムが多かったです。もちろん部屋でリラックスするのもありですが、私は友人と寮の共有スペースで映画を観たり、最寄りのスーパーまで森の中を30分かけて歩いたり、何かと動いていたように思います。カポエラに精通したエクアドル人や、卓越した卓球技術を持つシリア人に特訓を受けたりもしました。休日には学校が何かしらのイベントを企画してくれたのでそれに参加したり、デンマーク人の友人宅に招かれ、夜通しトランプをしたりと、出不精の私にしては本当にアクティブな生活をしていたと思います。ただ、アクティブながらもどこかゆったりと時間が過ぎていくのがデンマーククオリティと言いますか、日本とはまた違った過ごし方をしていました。土曜日の朝、はりきってバスに乗り第二の都市オーフスに出たものの、ほとんどのお店が閉まっているというデンマークの洗礼もきっちりと受けました。

 

  あれから2年経った今でも鮮明に思い出すことができるデンマーク留学は私にとって初めてのことばかりで、だからこそ刺激的で印象的でした。井の中の蛙大海を知らずと言いますが、それを身を持って理解したように思います。留学は大海を知れると同時に、井の良さも再認識できます。皆さんもぜひ、勇気を持って飛び出してみてください。