このページでは、大阪外国語大学外国語学部地域文化学科南アジア地域文化専攻(ウルドゥー語)の学生が、2005年10月8日に発生した、パキスタン北部地震に関し、現地の報道などを中心に最新情報を翻訳、提供しています。内容は随時更新しています。

10/21 大阪市住之江区内で開催された、パキスタン地震支援フォーラムに参加した報告を追加しました。みなさまからの募金を在京パキスタン大使に託しました。ご協力ありがとうございました。
10/20 ウルドゥー語会話集および基本情報を更新しました。基本情報には、パキスタン人がよく見せる仕草や、間投詞などを追加しました。
10/19 ウルドゥー語専攻の学生が、被災地への支援を行うNGOに協力し、パキスタンの支援団体との交渉を行いました。
10/18 ウルドゥー語専攻の学生有志が大阪外国語大学内で地震への募金活動を始めました。募金活動は昼休みを利用して3日間続け、金曜日に在京パキスタン大使館員に手渡す予定です。
10/17 基本情報・用語集のページにカシュミール地方の詳細図、主要な被災地域の市街図を追加
10/13 デザインをリニューアル
10/12 救援者のためのウルドゥー語会話集を追加
10/12 報道に登場する地名説明を追加
10/11 特設ページを開設

最新ニュース
◇現地報道(ウルドゥー語紙、英字紙など)を日本語訳し、補足解説を付け加えています。また、現地の情報源を通じた独自情報もあります。

基本情報・用語集
◇報道に登場する地名など日本ではわかりにくいと思われる情報をまとめてこちらに掲載しています。

救援者のためのウルドゥー語会話集
◇パキスタンの国語・ウルドゥー語の救援者向け会話集。日本語との対照表になっています。

地震関連活動報告
◇大阪外国語大学構内での募金活動に関する報告

関連リンク
◇パキスタン地震関連・ウルドゥー語関連のリンク集です。


大阪外国語大学
ウルドゥー語専攻のページ
は、こちらへ。
主たる情報源:ジャング、ナワーエ・ワクト(ともにパキスタンのウルドゥー語全国紙(日刊))、The News International、DAWN(ともに英語全国紙(日刊))、BBC Urdu.com (http://www.bbc.co.uk/urdu/)
時間は、パキスタン標準時。日本との時差は4時間(日本の正午がパキスタンでは午前8時)
日付け別ジャンプ・ 10/3110/3010/2910/2810/2710/2610/2510/2410/2310/2210/2110/2010/1910/1810/1710/1610/1510/1410/1310/1210/1110/1010/0910/08独自取材

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パキスタン北部地震:10月分の情報とりまとめ
1.地震発生および被害状況

・ 日時、規模
 10月8日午前8時55分(日本時間午後0時55分)ごろパキスタン北部を震源とする強い地震が発生した。震源はイスラーマーバードから約95キロ北北東に位置している。地震の規模をしめすマグニチュードは7.7。
・ 余震
 余震は10月27日までに970回以上発生している。
・ 地域
 パキスタンではアーザード・ジャンムー・カシュミール、北西辺境州を中心に甚大な被害が発生している。インド、アフガニスタンにも被害は及んでいる。
・ 被災者数
 パキスタン政府は11月2日までに7万3276人が死亡し、6万9260人が負傷したと発表した。またパキスタンでは約330万人が家を無くした。
 インド内務省はインド側カシュミールで1400人が死亡したと発表した。500軒の民家や建物が地震により被害を受けている。


2.復旧活動
・パキスタン政府の対応

 10月8日首相府には救援本部が設置され、救援基金も開設された。10日、ショウカト・アズィーズ首相は政府が犠牲者の家族には10万ルピー、負傷者には5万ルピーの補償金を支払うと発表した。そして連邦政府、関係省庁、州政府が一体となってアーザード・カシュミールおよび北部辺境州での救援活動を行う方針を述べた。14日、首相は内閣も建築法や制限を見直しそれらの建物に住む住人の安全を確保すると決定したと語った。情報省は公衆電話や他の移動通信網を提供し、被害者が国内に住む知人や親戚に連絡が取れるようにした。またショウカト・スルターン三軍統合広報局長が、外国メディアとの記者会見で国内の核施設については、今回の地震による被害は出ていないと、公式に発言。
 16日、政府は、政府が保護している震災孤児に対する養子縁組を認めない方針を固めた。政府はすで少なくとも数百の震災孤児を保護できる特別施設を設置することを決めた。
 18日、政府はインドのヘリコプター供給の申し出に対し、パイロット無しでヘリだけを供給してもらいたいとの意向を伝え断った。
 26日、首相は震災で被害の出た山岳地域に居住している住民に対し、本格的な冬が到来する前に、谷へ降りるよう要請した。


・復興
 10月16日アズィーズ首相は、壊滅的な状況にあるアーザード・ジャンムー・カシュミールや北西辺境州の復興には50億ドルが必要になるとの見込みを表明した。また復興には5年程度かかるのではとの見とおしも語ったパキスタン政府は、地震復興再生機構(Earthquake Reconstruction and Rehabilitation Authority: ERRA)を設置し、地方政府の機能が完全に麻痺しているアーザード・ジャンムー・カシュミールや北西辺境州の復興には約50億ドルが必要になるとの見通しを表明した。
 17日、アズィーズ首相が被災地域の復興に関し12項目からなる計画を発表した。その中で同首相は、今回の被害を国家の発展・開発につなげるべきであるとする政府の立場を明らかにした。12項目の計画のうち主なものは以下のとおり。
1.生存者を安全な場所に避難させる。
2.救援物資をまんべんなく行き渡らせる。
3.ケガ、精神的なダメージを早急に治療する。
4.孤児となった子どもたちの生活を確保する。
5.学校、病院などの公共施設の復旧を優先する。
 政府はアーザード・カシュミールと北西辺境州の復興に120億ドルを使うことを計画している。公式情報によると政府は計画の45%に当たる約50億ドルを政府が用意する意向である。
 10月26日、ジュネーブでパキスタン地震復興支援国会合が開催され、5億8000万ドルの新たな資金供与が約束された。


3.各国の対応
 国連の人道問題調整事務所が10月9日イスラーマーバードに入り、各国・各支援団体の調整を行っている。

・ 日本
 国際緊急援助隊の救助チーム(49名)は、地震発生から4日後の10月11日から18日まで震源地に近い北西辺境州バトグラムで活動を行った。12日からは医療チームが活動を続けている。
 11日には、約2500万円相当の緊急支援物資(毛布、テントなど)が届けられた。
 谷川外務副大臣は10月12日にイスラーマーバードを訪問し、アズィーズ首相と会談した。その中で2000万ドル(約23億円)の支援と自衛隊ヘリコプターの派遣を申し出た。1200万ドルはパキスタン政府へ、800万ドルは国連・国際機関に拠出される。
 140人の自衛隊員と6機のヘリコプターが援助物資の輸送などを行っている。
 NGO(非政府組織)も活発に活動している。


・インド
 10月8日、マンモーハン・シン印首相が議長を勤めた緊急会議で10万ルピー(220万ドル)の援助をパキスタン側カシュミール政府に拠出することを決定した。10月10日(航空便)、14日(鉄道便)、18日(航空便)にテント、毛布、薬品などの緊急支援物資が届けられた。
 20日インド政府が、インド側とパキスタン側に分かれているカシュミール間の電話回線を15年ぶりに開放し、ウリ、ジャンムー、スリナガルなどの街に無料の公衆電話を設置した。
 30日、印パ両国が11月7日から実効支配線に沿った5カ所で開放に合意した。開放に関する期限は定められておらず、必要に応じて両国が再度協議を行う予定で、カシュミール住民を第一に考えた結果であるとしている。共同声明によると、ノウセリー・ティートワール、チャコーティー・ウリ、ハージープール・ウリ、ラーワラーコート・プーンチ、タッターパーニー・メーンダルの5区間で開放することで両国が合意した。実効支配線は徒歩でのみ通行可能としており、ムザッファラーバード・スリーナガル間のバスによる相互通行の方式に則った様式とすることで両国が合意した。救援物資の供給は両方向で可能としており、物資受け取りは公的機関に限るとしている。
 これまでにインド政府は2500万ドルの支援を表明している。


・アメリカ
 アメリカからは24機のヘリが搬送されている。

・その他
 トルコ、スイス、イギリス、アゼルバイジャン、中国、ドイツ、フランス、スペイン、ハンガリー、バングラデーシュ、アフガニスタンなどの国々が物資や救助隊を派遣している。

4.今後の課題
 被災地では冬の寒さをしのぐテント、毛布が依然不足している。山間部の村落には降雪が観測されているが、41の村落への道路が未だに寸断されたままである。(11月2日現在)
 また、震災後の煤塵や瓦礫のために肺炎などの呼吸器疾患、皮膚病、破傷風が広まり始めている。清潔な水やワクチンを被災者のもとへ迅速に届けなければ、二次災害による更なる被害の拡大が危惧される。近親者や友人の死による精神的ショックをどうケアするかが今後の課題である。日本も含め国際的な関心が低くなってきているが、復興には継続的な支援が必要である。


31日付
○アラーイー渓谷で起こる奇妙な現象:自然現象ではない
(バンナー・アラーイー) 煙を上げる山、乾燥してしまった川、流れている白濁した水、あちこちから聞かれる汚染された水の情報、頻繁に起きる余震。村人は、アッラーの神が何かを伝えようとしているのだと考えている。現地を訪問した地質学者も、状況を見てその原因を説明できなかった。ここはカラーコルム・ハイウェーから29km入った場所にある、バンナー・アラーイー地区である。10月8日の地震でもっとも被害を受けた地区であると同時に、到達がもっとも困難な場所でもある。
 パキスタン政府は、村に対し避難を要請しており、同地区を訪問した軍関係者も、非常に危険な地域だと指摘している。余震も多く、病人がベッドから落ちるほど揺れることもあるという。そんな状況だが、一番の問題は、アラーイー渓谷の人々自身が、どこに行けばいいのかわからないと言うことである。居場所を変えても扱いはアフガニスタン難民以下だという被災者もおり、政府に対する不満が募る。被災地からヘリで救援されたが、どこに連れて行かれたかわからず、被災した親類を捜し続けているものもいる。
 アラーイー渓谷の人々の時間との戦いは続く。被災者の人々にとって、自然はますます厳しくなっている。(31日付The News International紙電子版)


30日付
○実効支配線を11月7日から開放へ
(イスラマバード) 印パ両国が11月7日から、実効支配線に沿った5カ所で開放に合意した。史上初めての合意である。開放に関する期限は定められておらず、必要に応じて両国が再度協議を行う予定で、カシュミール住民を第一に考えた結果であるとしている。共同声明によると、ノウセリー・ティートワール、チャコーティー・ウリ、ハージープール・ウリ、ラーワラーコート・プーンチ、タッターパーニー・メーンダルの5区間で開放することで両国が合意した。実効支配線は徒歩でのみ通行可能としており、ムザッファラーバード・スリーナガル間のバスによる相互通行の方式に則った様式とすることで両国が合意した。救援物資の供給は両方向で可能としており、物資受け取りは公的機関に限るとしている。(30日付The News International紙電子版)

○ニーラム渓谷への道路復旧には4カ月程度かかる見込み
(イスラマバード) パキスタン政府当局は、ニーラム渓谷への道路復旧には4カ月程度かかる見込みであるとの認識を表明した。同地域では、30kmにわたって土砂崩れが発生しており、現在は完全に寸断された状態にある。冬期の道路修復は一層困難となり、支援団体とっては、犠牲者が一層増えるのではとの不安が広がっている。現状ではヘリによる救援物資輸送しか手段が無く、ヘリによる輸送量には限りがある。また、インド側から同地域へ入るには橋の修復が必要となる。しかし、橋が修復されたとしても、被災者の一部にしか救援物資が届かない見込みで、道路修復が急務となり、時間との戦いが続く。(30日付The News International紙電子版)

○軍や支援団体、救援活動を急ぐ
(イスラマバード)パキスタン軍や他の支援団体が救助活動を急速に進めているとの情報が伝えられた。救援の手を少しでも遠くへ広げるため、軍は土曜日にチャリアーナとチャコーティーに新たな救援施設を設けた。ムザッファラーバード郊外では、トラック44台分の物資が被災者に供給され、また50トンの物資がニーラム谷やジェヘルム谷へ向けて搬送された。トルコ支援団体はムザッファラーバードに、100のテントを収容する居住地を作ったという。パキスタン空軍のヘリコプターは救助と支援を行うため何百という離陸を繰り返している。
このような大災害が起こり、パキスタン国民をはじめ、政府、各国の救助隊、非政府組織や非営利団体は、救助活動において前例のない献身を見せている。地震から24時間以内にイランやトルコ、そして各国の医療チームが被災地に到着し、負傷者の治療や瓦礫からの救出にあたった。そして時間の経過とともに救助活動は広がり、何千人という負傷者がイスラマバードやラーワルピンディー、他の都市の病院に運ばれ治療を受けることができた。(30日付The News International電子版)


○カーズィー・フサイン代表が、断食明けの礼拝をムザッファラーバードで実施へ
(イスラマバード) イスラーム党(Jamaat-i-Islami)のプレスリリースによると、同党代表のカーズィー・フサイン代表が、イードゥル・フィトルに合わせてムザッファラーバードに入り、午前9時に断食明けの礼拝を行う。また救援キャンプなども訪問し、支援活動を行うとしている。(30日付The News International紙電子版

29日付
○印パ両国が実効支配線開放に関し協議
(ムザッファラーバード) 被災者救援のため、実効支配線に沿った地域の開放に向けた協議のため、インド政府代表団がイスラマバードに到着した。インドはパキスタンに対し2500万ドルの支援を表明しており、実効支配線を通じての支援が最も有効であるとの意向を表明している。パキスタンが5カ所で開放するとの提案を提示したのに対し、インドは3カ所での開放を計画し、救援キャンプ設置に向けた工事を開始する意向を伝えていた。また、国連も被災者救援には実効支配線開放は非常に重要であるとの認識を表明した。11月18日にはアナン国連事務総長がパキスタンを訪問し、支援表明を行うとの情報も出ている。(29日付The News International紙電子版)

28日付
○サングラー地区、未だ救援届かず
(ぺシャーワル)サングラー地区のチャキーサルでは、多数の村に未だ救援物資が到達しておらず、大勢の被災者が屋根もなく寒い夜を過ごしている。コータナイー、ハーダング、サイダーノー・デーライー、マリアル、ダーダム、グナンガル、ジャトコールなど、ターコートとチャキーサルの間に位置する村々では、住民たちが、政府や非営利団体の救助を今も待ち続けている。
電話での医師の話によると、多くの負傷者がベシャームや他の地域の病院に来る途中に亡くなったということだ。病院までの道路が塞がっている上に、他の負傷者を担いで来なければならず、彼らの多くが途中で命を落としたという。(28日付The News International紙電子版)


27日付
○5億8000万ドルの新たな支援
 迫りくる危機警報に対して国際社会は南アジア地震の被災者救援に5億8000万ドルの新たな資金供与を約束した
国連は山岳地域で食料や避難所の不足のために苦しんでいる300万人の人々を救うためにはより多くの物資が必要であると発表した。アナン国連事務総長は「『悲惨な冬』が迫りつつある」と言った。
 救助部隊のメンバーはパキスタン側のカシュミールにいる何十万という被災者のための避難所と食料を確保し、救出することは時間との戦いであると述べている。国連関係者によると、全ての人道支援団体は、行動の鍵はこれからやってくる厳しい冬への対応だと認識している。
 水曜日には悪天候によってイスラマバードの空軍基地を飛び立とうとする救助ヘリコプターの飛行中止された。余震により震災地域での地滑りの危険性も高まっている。8日の震災から970回以上の余震が起こっている。
 支援国会合が開催される以前は、国連の当初の目標であった3億1200万ドルのうちの30%に満たない資金しか確保されていなかった。しかし、国連の権限にとらわれない援助が7億ドルに達した。国連関係者は「多くの資金援助の確約が得られたのはいいことである、しかし国連の緊急声明に答えて確約されたものが少ないと言うことは残念である」と述べている。新たな資金の半分はイスラーム諸国からの提供である。
 アナン事務総長はジュネーブでの会議で「食料、水や避難所の不足による極限の寒さと病気によって引き起こされる死と絶望の波を食い止める時間は残っている」と発言した。一方、ムシャッラフ大統領は地震による財政的被害は50億ドルを越えるだろうと話した。
 会議に先立ってオックスファム(Oxfam)は、西欧諸国の中には国連の声明に見合わない額の援助しか拠出していない国もあると指摘した。しかし、国連を通しての援助を行っていない国々も赤十字などを通して別の形での援助を行っている。たとえば、フランスでは赤十字や北大西洋条約機構の復興活動に900万ドルを拠出している。(27日付BBC Urdu.com)


○インドからの救援物資を歓迎:パキスタン外務省
(イスラマバード) 医療、救援物資を必要としている被災者のために、パキスタン政府は実効支配線(LoC)からのインドからの救援物資を歓迎すると述べた。マンモーハン・シン印首相がアーザード・カシュミールの被災者のための救援キャンプ設置が遅れていることに関し、インドが責められることはないとの発言を受けて、パキスタン外務省報道官が述べたもので、パキスタンが非難される謂われはないとの態度を表明した。
 23日にインドはアーザード・カシュミールの被災者のために、実効支配線に沿ったティートワール、カマン、チャカン・ダー・バーグの3地域に救援キャンプを設置したいと申し入れていたが、パキスタンは、同国側では救援活動が非常に活発に行われているとして、キャンプ設置は不要との意向を表明していた。
 実効支配線を超えて被災者が救援物資を得ることは、現状では困難だが、イスラマバードで両国関係者が物資受け入れに関する話し合いを行うことになっており、そこで方針が示されれば、進展する可能性もある。こうした状況を受け、インド軍はキャンプ設置作業を中断している。パキスタン軍は、インド軍兵士が公的な痛感証明を所持しておらず、工事中止を申し入れていたという。(27日付The News International紙電子版)


26日付

○山岳部に居住するものに対し、谷の方へ移動を要請:首相
(アラーイー) アズィーズ首相は、震災で被害の出た山岳地域に居住している住民に対し、本格的な冬が到来する前に、谷へ降りるよう要請した。「降りてくれば、避難場所や食糧、医療、それに学校を供給できるし、冬の寒さも比較的しのぎやすい」として「冬が始まれば、山岳地域での復興は困難で、数日で家が建てられるような状況にはない」と付け加えた。アラーイー地区は、24日に道路が復旧したばかりで、余震が続き、住民の間では火山が爆発するのではとの噂が広まりパニックになっていたという。これに対し首相は、地質調査の結果、同地域には火山がある形跡は認められず、煙は余震による土砂崩れがからのものだと説明した。(26日付The News International紙電子版)

○復興に120億ドルの計画
(イスラマバード) 政府はアーザード・カシュミールと北西辺境州の復興に120億ドルを使うことを計画している。公式情報によると政府は計画の45%に当たる約50億ドルを政府が用意する意向である。
 政府は26日にジュネーブで開催される支援会議で、パキスタンの道路や橋、学校、病院などの復興に対するさらなる援助を誓願することにしている。
現在12億ドル分の資金の拠出準備ができている。政府は計画を進めるために11月の末までに40億ドルを国際援助から獲得する予定である。
残りの80億ドルは国内外の支援者から募る予定である。また、政府はこの資金をアーザード・カシュミールや北西辺境州の住宅や観光者用施設の向上に使用する方向である。
最初の被害予想が世界銀行とアジア開発銀行の共同チームにより11月5日までに出される予定である。
 ビル・クリントン前合衆国大統領は、格安で家を建設する技術を提供する用意があることを表明した。(26日付DAWN紙電子版)


○被災地の復興には5年が必要
(アブダビ) カスーリー・パキスタン外相は、アラブ首長国連邦に対し震災復興支援への協力を感謝し、国際社会の協力を得ながら、被災地の復興には5年程度架かるとの認識を表明した。日帰りでアブダビを訪れた同外相が記者会見で述べたもので、席上、支援国会合開催の意向も表明した。同外相によると、アーザード・ジャンムー・カシュミールや北西辺境州などで被災地は2万9000平方キロにわたっており、国連も2004年12月の津波以上の被害であるとの認識を表明している。当初は復興に10年が必要と言われたが、カスーリー外相は、国際社会からの適切な支援があれば、5年で復興が可能であると述べた。(26日付The News International紙電子版)

25日付
○これ以上遺体をどこに置けば:ムザッファラーバード
(イスラマバード) 一人のボランティア男性によって発信されたメールが、世界各地に在住するパキスタン人たちの心を大きく揺さぶった。ボランティア男性アブドゥッ・ラハマーンは、被災地での惨劇を目の当たりにしつつも、民族一丸となって救助しようというパキスタンの人々の支援や熱意に感銘し、彼の目撃した惨状を綴るに至った。以下はカナダ在住の知人より当局に送られた彼のメールの一部である。

『‥‥イギリスに住む私は、ニーラム谷やカシュミールの美しい楽園を思い描きながら、いつかこの目で見たいと願ってきた。しかしここで私が見たものは楽園ではなく、死の谷であった。ムザッファラーバードは廃墟と化している。建っている建物など何もない。雨が振ると、ぼろぼろに崩れた瓦礫のあいだから、ねっとりとした濃く赤黒い血が流れてくる。まるで建物そのものが血を流しているかのように・・。
 何よりも私の心を痛めるのは、子供達の死である。運命の日、朝8時に授業が始まり、学校の中にいた子供達は皆一瞬で瓦礫の下に押し潰されてしまった。遺体の臭いが街中を覆い、どこへ行っても離れず、ついには自分の体に染み込んでいく。
 悲劇の制裁がどのようなものか知りたければ、ムザッファラーバードを旅するといい。親類達がお互いを判別できない様を、もうこれ以上は置く場所がないと地面が死体を拒否する様を、誰にも想像できないような痛みを、不幸を、私はこの目で見てきた。人々は恐れと絶望を目に浮かべ、ゾンビのように路上を歩いている。地震から三日後、初めてのアザーン(礼拝の刻限を告げる呼びかけ)が流れると、人々は至る所で叫びはじめた。「アッラー・アクバル(アッラーは偉大なり)」、「ラー・イラーハ・イッラッラーハ(アッラーの他に神は無し)」と。嘆きや叫び、悲鳴と共に人々は路上へと走り、そこで崩れ落ちた。泣きながら頭を叩き、また互いに抱き合って泣いた。私も幾度となく涙をこらえ切れなくなったが、しかし人々は・・・・ディールコート、バーグ、ムザッファラーバード、バーラーコート、これら全ての地の人々は、悲劇に直面しながらそれでもなお心を強く持ち、生きようとしている。 これが私の見たものだ。
 アッラーの神は世界で4番目に大きな地震をこの地に与え、我々が、この国が、「アッラー・アクバル」と唱えながら立ち上がるよう試された。そして今、カラーチーからムザッファラーバードにかけて、救援物資を運ぶ人々の隊が海のようにとめどなく広がり、流れ続ける。大惨事を前にこの国が、国民がいかに応えているか、あなた方は想像も及ばないだろう。
 今日私はパキスタン人であることを誇りに思う。今日私達はイスラームという一つの信仰によって繋がれた共同体となった。しかし、事態は困難を極めている。崩壊はすさまじく、パキスタンの4分の1が被害を受けた。食料は少し届いたものの、薬が必要であり、テントと毛布は更に必要である。我々は水曜日にまた向かうつもりだ。まだ救援の機会を持っていない人に言いたい。どうか機会が来るのを待たないで欲しい。どうか、あなたにできるどんな小さなことでもいいから、誰とでも一緒に始めて欲しい。
・・・アッラー・ハーフィズ(さようなら)。アブドゥッ・ラハマーン』(25日付The News International紙電子版)


○アラーイー地区では全面避難の計画を準備
バトグラーム) バトグラーム、アラーイー、ベシャーム、コーヒスターン地区の救援活動責任者が、緊急の場合にはアラーイー地区の全面避難させる予定であると発言した。この発言は、地質学の専門家の報告をもとになされたもので、同地区では、余震やそれに伴う土砂崩れが続いていることから、火山があるのではとの推測をもとに、専門家派遣が決定されたもの。その計画によると、女性や子どもはヘリコプターで搬送し、男性については徒歩で同地区を出る予定となっている。現在は、救援物資がヘリコプターで運ばれ、空中から落とされているが、地域の住民は、物資が山の中に落ち、無駄になっているとの不満も募り始めている。(25日付BBC Urdu.com)

○辺境地域への救援物資の搬送は三週間以内に:UN
(ムザッファラーバード) 冬が迫っているとの国連の警告により、24日、さらに多くの救援がパキスタンに到着した。復興支援局長は、第二の大惨事が起こりうると表明している。冬を目前に未だ400万人の被災者が屋根の下におらず、7万人の負傷者が治療を必要としている。国連によると、辺境地域の唯一の生命線であるヘリコプターでの救援活動が、悪天候により数日の間途絶される恐れがあると表明した。初雪を前に、山岳地域への物資搬送の機会は残り3週間であるにもかかわらず、関係当局によるとこの3、4日間は大雨を伴った厳しい気候にみまわれるとの予報である。
 UNICEF救援代表者は、冬までに救助がなければ、生命の危機に最もさらされるのは子供達であると述べる。彼によると、10〜20%の被災地域には未だ何の救援物資も届いていないという。バーラーコート北部のガンドゥールまで45キロの道程を歩いてきた被災者の男性は、「我々の村では、地震の後からずっと食料も治療もなにもない状態でした。だから私達は救助を求めて移動することにしたのです。」と話した。ガンドゥールは土砂崩れと道路崩壊のため遮断されていた村の一つだが、昨日、地震後初めて避難者や救助隊が到達することができた。(25日付The News International紙電子版)

○カルザイー大統領が全面的な支援を確約
(イスラマバード) パキスタンとアフガニスタンは、24日に災害復興計画を相互に協力しながら実施していくことを確認した。パキスタンを訪問したカルザイー大統領は、アズィーズ首相との共同記者会見で、パキスタン、アフガニスタン両国が震災後、一層の協力関係が必要であるとの認識を表明した。「アフガニスタンは、パキスタンに対する協力の準備ができており、できることは何でもするつもりだ」と述べている。AFP通信によると、アフガニスタン当局は、医薬品5トンおよび医療チーム30チームをパキスタンに送っている。また、パキスタン国内で被災したアフガニスタン難民については、希望があればアフガニスタン国内で治療を受けてもらう用意があるとしている。これに対し、パキスタン政府は、彼らに対し医療を提供していると表明した。アフガニスタンからは、アブドゥッラー外相、ワールダク国防相、ザルマイ・ラスール国家安全保障会議議長らが同行した。また、カルザイー大統領はアズィーズ首相との会談に先立ち、ムシャッラフ大統領とも会談し、地震による被災者への深い悲しみの意を表明した。(25日付DAWN紙電子版)

24日付
○救援物資がビシャーム地区にも到着
皮膚病、呼吸器疾患がバーラーコート地区に蔓延
(ビシャーム) これまで救援物資が届いていなかった地域にも寒さをしのぐための救援物資が到着し始めた。米軍ヘリがビシャーム近郊のこれまで到達できなかった地域にも毛布やテントなど救援物資を届け始めている。人々は物資を待ち望んでおり、物資を乗せたヘリが到着した際には、ヘリに乗り込もうとするものもいた。
北方地域では冬が始まっており、救援物資を待ち望む市民は、鏡の反射を利用してヘリに居場所を知らせ、物資を得る方法を採っている。
 一方、バーラーコートでは、震災後の埃、ゴミなどのため、皮膚病や呼吸器疾患が蔓延し始めている。病院での治療は続けられているが、医師は地域内での衛生面の不備を指摘しており、食糧や水事情が悪い点と合わせ、改善すべきであると訴えている。(24日付The News International紙電子版)


○実効支配線をまたぐ被災者の往来に向けての動き
(スリーナガル) ジャンムー・カシュミール州駐留のインド軍が、地震による被災者救援のため、ヘリなどを利用して被災地での活動準備を進めているが、実効支配線に近い地域での活動には、パキスタンからの許可が必要であり、現在それを待っている状況であると、バトラ印軍報道官が語った。インドは、22日に実効支配線付近の3カ所を開放するとした提案をパキスタン側に伝えており、パキスタン側の回答を待って被災地に入る予定で、食糧などを送る準備はできているとしている。
 一方、パキスタン側は、タングダル(Tangdhar)・ティトワール(Tithwal)間、ウリ(Uri)・チャコーティー(Chakoti)間、ウリ(Uri)・ハージープール(Hajipur)間、プーンチ(Poonch)・ラーワラーコート(Rawalakot)間、メーンダル(Mendhar)・タッターパーニー(Tattapani)間の計5カ所を開放すべくインド側に回答したと発表した。これに基づき、インドは自ら提案している3カ所から通行可能にすべく、地雷撤去作業を開始し、書類上の手続きに関する話し合いが合意され次第、被災者を優先的に通行できるようにしたいと語った。(24日付The News International紙電子版)


○我々はとにかく支援が必要
パキスタン側カシュミール地方のムザッファラーバードからニーラム渓谷に向かう道路は現在もふさがったままである。パキスタン軍は、ヘリコプターを利用して道路の先にある被災地まで食糧、テント、薬などを運んでいる。なかにはムザッファラーバードまで2日かけて徒歩で物資を調達に来る村人もおり、そのうちの1人がカッタ・チョウ・ガリー村(Katha Chau Gali)の状況を次のとおり語った。村では家が全て倒壊しており、テントもなく、食糧を調達するような手配もできない。地震の当日には、村の350人くらいが亡くなり、負傷者については未だに詳しいことがわからない。支援物資は全く届いていないし、軍のヘリは負傷した軍人を乗せただけで帰って行った。我々に必要なのは、援助物資なんだ。それがパキスタン軍が持ってこようが、インドが持ってこようが関係ない、とにかく物資が必要なんだ。(24日付BBC Urdu.com)

○被災者には11月15日までにテントなどを用意:アズィーズ首相
(イスラマバード) 地震による被災者のためにムザッファラーバード市内に救援キャンプが設置され、11月15日までには必要な数のテントや毛布が供給できるようになると、アズィーズ首相が語った。サウディアラビアからは1万、トルコからは100万のテントが供給される予定で、それらを利用した学校などの建設も計画に含まれている。同市内には病院も設置され、被災者の生活が可能な限り元に戻るよう努力が続けられており、アズィーズ首相は、震災後の復興が第二段階に入ったとの認識を表明した。(24日付Daily Jang紙電子版)

○地域の再建は3か月以内に。ムザッファラーバードやバーラーコートでは全く新しい街を建設へ
(イスラマバード) 軍当局は、ムザッファラーバードやバーラーコートなど震災で甚大な被害が出た街については、全く新しい街が建設されることになるとの認識を表明し、こうした再建が3か月以内に開始される予定であると発表した。これらの再建には50億ドル程度が必要になると見られている。また、街の再建にはアメリカなどの最新技術が取り入れられる予定で、これを機に関係する技術移転が進む予定であると、軍当局は見通しを発表した。(24日付Daily Jang紙電子版)

○北西辺境州内でテント村開設へ
 NCHDは、マーンセヘラーに500家族が避難でき、食料や飲料水、そしてその他の生活必需品を入手することができる3つのテント村を設営することにした。
 日曜日の報道の中でNCHDの長官 リヤーズ・ハサン・ハーンは、これらのテント村はガーズィーコート県、デーオリー・ジャッバールそしてバーラーコートに設営すると発言した。現在、ガーズィーコート県での設営は完了しており、残る二つも最終段階にある。
 NCHDによると、25人が容易に収容できる大きめのテントもある一方で、それよりも小さいテントもあり、家族の大きさによってそれぞれが割り当てられる。より多くの被災者を収容するため、同一家族内の男女が別々に収容されるケースもある。(24日付The News International紙電子版)

○ザワーヒリー氏が被災者支援を呼びかけ
(ドバイ) アル・カーイダのNo.2であるアイマン・ザワーヒリー氏が、パキスタンをアメリカの手先であるとしながらも、震災での被災者を支援するよう、23日に放映されたビデオで呼びかけた。アル・ジャズィーラTVで放映されたビデオの中で、同氏は、『私は、すべてのムスリムやイスラーム支援団体に対し、パキスタンへ行き被災者に支援を行うよう要請する』と呼びかけ、一方で『我々は、ムシャッラフ政権が米国の手先となっていることをよくわかっている。米国が、あらゆるイスラーム支援団体の活動に反対していることもよくわかっている』と牽制した。今回放映されたテープは10月9日に録画されたと見られ、ザワーヒリー氏のビデオ放映は9月19日にロンドンでの爆破テロに言及して以来。(24日付DAWN紙電子版)

23日付

○なおも余震が続く
(イスラマバード) 23日午後8時4分、マグニチュード5.9の余震があり、被災地では新たなパニックが引き起こされた。この余震は、パキスタン気象庁が、余震は徐々に弱くなってきているとの記者会見を実施している最中に起きた。同記者会見によると、23日には26回の余震が記録されたが、今回の1回を除けば非常に小さな地震だった。8日に起きた余震に次ぐ大きなものだったと説明した。現時点では、今回の余震による被害については不明だが、北西辺境州内では停電が起きたとの情報が寄せられた。(24日付The News International紙電子版)

22日付
○パキスタン政府 防寒設備の調った避難施設を再度要求
(イスラマバード) ファールーク・アフマド・ハーン復興支援局長は、金曜日、アーザード・カシュミールの遠隔地域や北西辺境州に住む被災者のための、防寒対応テント設置の緊急性を再度表明した。局長は、「冬が急速に迫りつつあり、時間の経過と共に辺境地域へのテントの搬送は難しくなる。今回の地震により52万人が家屋倒壊の被害を受け、収容施設の要求は高まる一方である。」と述べた。また、「被災者が必要としているのは通常のものではなく、冬季の気候に対応した防寒用の仮施設である。二重構造の防寒水対応テントが適するとの、支援者やNGOによる見解は的確であり、さらに4〜6人収容できるものであればなお好ましい」と強調した。更に局長は支援活動において、「最優先事項は、パキスタン軍やNGO、そして国際機関による医療供給と緊急設置病院の休みない活動である。しかしそのために、移動可能なレントゲン室など、重症患者の治療や手術のための医療機器が緊急に必要である。」とも主張している。(22日付The News International紙電子版)

○許可なく実効支配線を越えることは禁止:ムケルジー印国防相
(ニューデリー) プラナーブ・ムケルジー印国防相は、5万2000人以上が犠牲となった震災後も、実効支配線を越えて人々が勝手に往来することを許可しない、と発言した。同国防相は、18日のムシャッラフ大統領による提案を受け、被災者支援のため、実効支配線に沿った地域のうち何カ所かを指定する可能性はあると、印PTI通信に対し語っている。また、パキスタン側の提案が救援物資運搬に限ったものであるならば、支障はないが、地域は限定されるべきであり、誰もが実効支配線を越えられることを意味するものではない、との見解を表明している。また、「地震により50年間の印パ間の歴史が変わることはないが、パキスタン側の提案は、被災者支援で相互に協力し合い、相互理解の一助となる機会を与えうるものだ」との認識を表明した。(22日付The News International紙電子版)

21日付

○カーガーン、ニーラム、ジェヘルムなどへの道路は未だに不通
(イスラマバード) 復興支援局長が、カーガーン、ニーラム、ジェヘルムなどの渓谷地域への道路は、未だに不通のままであることを明らかにした。また、地震による被害調査を11月15日までに終え、報告書を公開することも発表した。すでに復興計画は始動しており、本格的な冬が始まる前に被災者に対して避難場所を供給することが最優先課題である。電力供給はかなり復旧しており、水道についても、多くの地域で復旧が開始されている。一方で、確認された死者は4万9000人を超え、負傷者は7万4000人を超えており、最終的にはかなりの増加があると見られている。(21日付The Daily Jang紙電子版)

○過激派組織の救援活動を止めることは困難:ムシャッラフ大統領
(ラーワルピンディー) ムシャッラフ大統領とアズィーズ首相はともに、被災地域の復興は、被災者、地方政府、北西辺境州、アーザード・ジャンムー・カシュミール政府が一致協力して行うべきであるとして、たとえ過激派組織であっても、救援活動を行っているのであれば、それを止めることはできないとの認識を表明した。(21日付The Daily Jang紙電子版)

20日付
○アーザード・ジャンムー・カシュミール、北西辺境州、イスラマバードで強い余震。2人が死亡。
(イスラマバード) 首都イスラマバードやラーワルピンディー、アーザード・ジャンムー・カシュミール、北西辺境州など広い地域で、18日の深夜、19日午前7時32分にも余震があり、死傷者が多数出た。また、午前8時16分にもマグニチュード5.4の揺れを観測し、シンキヤーリー地区では土砂崩れが起き、6人が死亡した。またニーラム川に架かる橋が落ち、救援部隊の2人が川に流される事件も起きている。(20日付The Daily Jang紙電子版)

○インド政府が15年ぶりにカシュミール間の電話回線を開放
(イスラマバード) インド政府が、インド側とパキスタン側に分かれているカシュミール間の電話回線を15年ぶりに開放し、ウリ、ジャンムー、スリナガルなどの街に無料の公衆電話を設置した。これにより地域内で被災した人同士の連絡が容易となり、人々は歓迎している。なお、実効支配線の開放については、インド、パキスタン両政府が前向きに検討しており、近い将来の実現を、カシュミールの住民は心待ちにしている。(20日付The Daily Jang紙電子版)

○アーザード・カシュミールの死者5万3千〜6万3千人に
(ムザッファラーバード) アーザード・カシュミールでの地震による死者は5万3千人から6万3千人、負傷者は9万5千人から11万人に達した。うち首都ムザッファラーバードだけで死者3万8千人から4万5千人、ラーワラーコート及びバーグでは1万5千人から1万8千人の死者が出ている。
統計によると、ムザッファラーバード、ニーラム谷、バーグ、プーンチでは合計2265の小学校、557の中学校、327の高校と59の大学が一部または完全に倒壊した。また200の薬局、110の地方医療センターなどが地震により倒壊などの被害を受けている。(20日付The news International紙電子版)

○バーグで伝染病の恐れ
(バーグ) 地震によりバーグは新たな危機に面している。瓦礫の下に放置されたまま日々腐敗する遺体による、伝染病の発生が危惧されているためである。生き延びた住民たちは遺体からの悪臭に悩まされ、遺体の上にある瓦礫撤去のため大型の機械が必要となっているが、道路が遮断されているため機会はまだ市の中へ到達できていない。
AJK Jamaat u Dawaのシャッビール・チョウハン統括長は、生存者達は市内での伝染病の発生を抑制するため、ワクチンや市内へのスプレーの散布を必要としていると述べた。しかし彼は、スプレーの実施が早すぎれば、後の伝染病により死者がさらに増える可能性があるのではないかと懸念している。
また同統括長は、軍がヘリにより救援物資を供給しているが、まだ一部の都市に限られており各地の小村には物資が届いていない状態にあるとも指摘している。(20日付The News International紙電子版)

○大規模な移住開始
バーグでは、地震により都市機能が停止していることから、多くの人々が別の場所への移住を開始した。パキスタン側のカシュミールでは、バーグやラーワラーコートには住まない方がいいとの意見が多いという。同地に支援に入った関係者からの情報によると、ものを満載した多くのワゴンが、パンジャーブに向かっているという。すべてが無くなってしまったこの場所に住む理由はない、と考える人が多く、人の移住が増えるに従って、ワゴンなどの料金も上がっており、120ルピー(約240円)でラーワルピンディーに行けたのが、現在では500ルピー(約1000円)から600ルピー(約1200円)に上がったという。居残っている人の話では、バーグには6000人が住んでいたと言うが、上記関係者によると、バーグには人はほとんど残っていない。(20日付BBC Urdu.com)
19日付
○ムシャッラフ大統領が、民間人に対する実効支配線開放を提案。
(ムザッファラーバード) ムザッファラーバードでの記者会見で、ムシャッラフ大統領はインドを含む国際社会からの支援に歓迎を表明し、実効支配線をはさんだ双方のカシュミール住民が相互に支援できるよう、往来を認めるべきとの認識を表明した。一方、軍人による越境は認められないとして、マンモーハン・シン印首相からの支援表明に感謝の意を述べながらも、軍人の受け入れは微妙な問題を含むとの政府の見解をあらためて表明した。
また実効支配線を挟んだ被災地では、相互に連絡を取りたいとの要求が高まったことから、地域内での携帯電話の使用を認める決定も下した。実効支配線の開放についても、インド、パキスタン双方での手続きが必要であるとの考えには変わりはなく、パキスタンからの提案であると繰り返した。(19日付The News International紙電子版)


○被災者支援は、組織的に:ムシャッラフ大統領
(イスラマバード) ムシャッラフ大統領は、被災者支援をより効果的に行うために、支援を一層組織的に行っていく必要があるとの認識を表明した。一方、連邦復興救済委員会委員長は記者会見で、以下のとおり発言した。 『地震のため家を失った人が多く、現時点でもっとも必要とされているのは、何よりもテントと毛布である。軍が所有しているテントも全て被災者に供給しているが、その数は全く足りていない。政府はテント輸出を制限し始め、国内への供給を優先している。けいれん・引きつけ用のワクチンをはじめとする薬剤、医者も不足しており、国際社会からの更なる支援が必要である。地震による死者は、全国で4万2000人を越え、負傷者は6万7000人に達している。ムザッファラーバードやバーグでは一部地域で電力供給も再開されたが、一方でまだ道路が寸断されたままの地域も多く残っている。国際社会に対しては、息の長い支援をお願いしたい。』 (19日付Daily Jang紙電子版)

○被災者をテント村へ?
(ペシャーワル) 被災者を収容するためのテント村開設に向け、ハリープール近郊の土地が候補に挙がっているが、バーラーコートやカーガーン、ガリー・ハビーブッラーなどの被災地から、わざわざ不便なテント村への移住を、被災者が希望するのか、という疑問は消えない。
 テント村を開設するという案は、連邦レベルでも州レベルでも正式に考慮され始めているが、実行する前に被災者側の意見に耳を傾ける必要がある。アクラム・ドゥッラーニー北西辺境州首相は、ハリープールがテント村建設に適する条件として、気候を挙げている。アボッターバードやマーンセヘラーなどの地域に比べると同地は温暖で居住に適しており、アボッターバード近郊のコホラー・メーラ地区も同じ理由で候補地に挙がっている。現在はハリープール県が土地の所有者となっているが、被災者に対して提供する意向があることを確認している。
 一方、テント村設置に関しては、さまざまな問題が起きることが懸念されている。そもそも、被災者が自分の村を離れてテント村に移住することを承諾するのか、いったん居住が始まると、水や電気などのインフラを供給せねばならず、テント村は新たな住宅建設につながる。この点を被災者自身に確認することこそが非常に重要となってくる。(19日付The News International紙電子版)

18日付
○パキスタン地震復興支援国会合を10月24日ジュネーブで開催
(イスラマバード)パキスタン外務省報道官が、10月24日ジュネーブでパキスタン地震復興支援国会合が開催されると発表した。国連は復興に必要とされる額を3億1200万ドルに上方修正し、国際社会からの支援額は5億ドルを超えるものと見られている。しかし、パキスタン政府は復興には総額50億ドル程度が必要との見通しを発表している。アーザード・ジャンムー・カシュミールや北西辺境州など被災地域は2万8000平方キロにわたっており、死者はすでに4万人を超えている。(18日付The News International電子版)

○アズィーズ首相が、12項目からなる復興計画を発表
(イスラマバード)17日、アズィーズ首相が被災地域の復興に関し12項目からなる計画を発表した。その中で同首相は、今回の被害を国家の発展・開発につなげるべきであるとする政府の立場を明らかにした。また、完全に復興するには5年から10年で50億ドル程度が必要になるとの見通しを発表した。12項目の計画のうち主なものは以下のとおり。
1.生存者を安全な場所に避難させる。2.救援物資をまんべんなく行き渡らせる。3.ケガ、精神的なダメージを早急に治療する。4.孤児となった子どもたちの生活を確保する。5.学校、病院などの公共施設の復旧を優先する。(18日付The News International紙電子版)


○復興には50億ドル以上が必要に:パキスタン外務省
(イスラマバード) パキスタン外務省報道官が、定例記者会見を実施し、席上、パキスタンの復興には、当初の見積もりよりも多い50億ドル以上が必要になるとの見通しを発表した。また、これまでに死者4万人、負傷者8万人を越え、日本人や中国人、エジプト人、イタリア人が犠牲となったことを明らかにするとともに、被災者総数が400万人程度になっているとの見解を公表した。
これまでに国際社会が拠出を表明したのは約5億ドルで、パキスタン政府としては、緊急支援という観点からは満足しているが、復興は今後長期間にわたることになり、国際社会に対し息の長い支援を要請したいとの考えを示した。(18日付DAWN紙電子版)


○パキスタンが新たな死者の増加を懸念
(ムザッファラーバード)被災地域では、治療ができないケガや寒さにより、改めて死者が増加するとの懸念が高まっている。被災地域では被害を正確に把握するため、各家庭を医者などのチームが巡回しているが、増え続ける死者の数に追いついていけない状況にある。パキスタン軍も道路の補修に懸命の作業を継続しているが、地理的な制約などから、思ったように復旧が進んでいない。被災地域には数千人もの治療を必要とする重症患者がいるが、医者や救援物資の供給が全く追いついていない状況にある。食糧、テントの不足が最大の問題である。ヘリでの輸送も、悪天候のため思ったようにできない状況である。ムザッファラーバードでは現在も死体の捜索が行われており、ムザッファラーバード地区だけで2万5000人が犠牲になったと思われる。生存者も薄いシートのみで寒さをしのいでいる状態で、気温が下がり始めたことから、新たな災害となる懸念も出ている。(18日付The News International紙電子版)

○カシュミールの主要な道路が復旧
(ガーリー・ドゥパッター) アーザード・ジャンムー・カシュミールのジェヘルム渓谷への主要道路が軍により復旧され、ヘリでしか行けなかった地域に支援物資が届き始めた。
ガーリー・ドゥパッター付近の土砂崩れが除去されると、支援物資を積んだトラックの長い列ができていた。またそれより先の街まで支援物資を届けるために、数千人もの人々が徒歩で街に入った。
ムザッファラーバード駐在のファールーク・ナースィル軍報道官は、道路が復旧するにつれ、いっそう奥の地域まで支援物資を届けられるようにと軍が努力していると語った。(18日付DAWN紙電子版)


○インドが、パイロットなしのヘリ供給を拒否
(ニューデリー)インドは、アーザード・ジャンムー・カシュミールでの救援活動に関して、パイロット無しでインド軍のヘリを供給することは難しいと、パキスタンに対し回答した。インドの外務省報道官は、リヤーズ・ムハンマド・ハーン・パキスタン外務次官が、サラン印外務次官に対し、パイロット無しでヘリを供給してもらいたいとの意向を伝えていたことに対し回答したものと説明した。
一方、別の会見では、インド外務省報道官が、インドからの救援物資第3便が17日にデリーを出発し、18日にもパキスタンに届けられると発表した。物資には、26トンの毛布、テント250張、ビニールシート9.5トン、薬品10トン、ビスケット100トンなどが含まれている。10月10日の航空便、14日の鉄道便に次ぐ3回目であると説明した。(18日付DAWN紙電子版)


○マーンセヘラー、イスラマバード、ラーワルピンディーで余震。バーラーコートでは崖崩れにより7人が死亡。
(イスラマバード) 首都イスラマバードとその周辺、マーンセヘラーなどで17日明け方に中規模の余震が2度起きた。これにより街は再び混乱したものの、パキスタン気象庁は、この2回の余震につき、小規模のものであり心配は要らないとの見解を発表した。同気象庁は、1回目(午前3時57分)の余震はマグニチュード4.7、2回目(午前4時5分)はマグニチュード4.5だったと発表した。この余震の影響で、バーラーコートでは崖崩れが発生し、7人が死亡した。(18日付The Daily Jang紙電子版)

○ムザッファラーバード刑務所から120人の囚人が脱走し、15人が死亡
(ムザッファラーバード) アーザード・ジャンムー・カシュミールの刑務所関係者が、地震により倒壊したムザッファラーバード刑務所から120人の囚人が脱走し、うち15人が死亡し、40人が負傷した、と語った。関係者の話では、同刑務所はムザッファラーバード市中心街に位置しており、脱走した囚人の中には死刑囚や終身刑の判決を受けたものも含まれていたと言う。(18日付The Daily Jang紙電子版)

○アズィーズ首相による12項目の復旧計画
(イスラマバード) アズィーズ首相が、アーザード・ジャンムー・カシュミールおよび北西辺境州における復旧計画を発表した。その詳細は以下のとおり。
可能な限り早急に生存者を瓦礫の下から救い出す
地域による救援物資供給量の差や重複などの実態を明らかにする
負傷者の治療、精神的なダメージの支援、孤児に対する今後の教育を考える
学校や病院などの公共施設の移築
インフラの再整備を優先し、計画の実行については地域の代表者に説明を行う
生存者の収入を震災以前の水準に戻すため、NGOや各企業が復興に努力する
地域の復興には多くの人材が必要であり、被災地で活動している約200のNGOが人材を捜している状況にある
復興に向けた予算案を作成し、寄せられた義援金の適切な運用を明確にする(18日付DAWN紙電子版)

17日付
○地震による死者は8万人超か
(ムザッファラーバード)スィカンダル・ハヤート・アーザード・ジャンムー・カシュミール首相が、外国のメディアとのインタビューに応じ、地震による死者数が、アーザード・ジャンムー・カシュミールのみで4万人、パキスタン全国で5万3000人に達したと述べた。今後も8万人程度まで死者が増える見込みであるとも語った。(17日付The Daily Jang 電子版午前0時50分更新)

○アーザード・ジャンムー・カシュミールを含む山岳地域で降雨。支援活動にも支障
(イスラマバード) ラーワルピンディーやイスラマバード、ペシャーワル、アーザード・ジャンムー・カシュミールでは、降雨の影響で、気温が下がり始めている。雨のため支援活動にも影響が出ており、一部では活動ができない状況になっている。家が倒壊した被災者にとっては、寒さが新たな問題となり始めている。また、寒さのため特に子どもや老人の間に病気が広まるのではとの心配も出始めている。(17日付Daily Nawa-i-Waqt紙電子版)

○我々が必要としているのは、テント、何よりもまずテント:アズィーズ首相
(イスラマバード)アズィース首相は、国際社会に対し、地震の被災者への支援についての謝意を表明した。一方、CNNとのインタビューでは「我々が必要としているのは何よりもまずテントである。アメリカからは24機のヘリコプターが搬送されているが、それにもましてヘリコプターは必要である。被災地の気候はますます厳しくなっており、すでに雪も降り始めているため、2週間以内にテントが必要となる」と語っている。
被災者の救援に関しては、「ほとんどの人を助けることができそうだが、個別のテントがない場合は、暖房設備のある大きなテントを避難場所として利用する意向である。また、復興と再建を同時進行させるため、2つの組織を発足させた。」と語り、いっそうの国際社会の協力を要請した。(17日付The News International電子版)


○カシュミール出身政治家らが、実効支配線の開放を要求
(スリーナガル)インド、パキスタンのカシュミール政府は被災地での救援活動のため、実効支配線を開放することを要求した。穏健派であるミールワーイズ・ウマル・ファールーク全党自由会議(All Parties Hurriyat Conference: APHC)代表は、「我々は、カシュミールの対岸(訳者注:パキスタン側のアーザード・ジャンムー・カシュミールを指す)で被災した人々を助けるために、インド、パキスタン両政府に対し実効支配線を開放するよう要求している。今回の要求は人道的な見地からのものである」と述べた。
ムフティー・ムハンマド・サイヤド・ジャンムー・カシュミール州首相も、11日にアーザード・ジャンムー・カシュミールへ直接救援物資を発送できるよう、連邦政府に対し要請した。同首相は記者会見の席上、「向こう側(訳者注:パキスタン側)に救援物資を送りたいと考えている民間支援組織が多数ある」と発言している。
スィカンダル・ハヤート・アーザード・ジャンムー・カシュミール首相も、救援活動のいっそうの活性化を目指して、実効支配線の開放を要請した。BBCヒンディー語放送に対して、人々の救援のためには、協力することが必要なのだと語った。(10月17日付The News International紙電子版)


16日付
○復興には50億ドルが必要:アズィーズ首相
(イスラマバード)アズィーズ首相は、外国人記者団との会見で、8日の地震で壊滅的な状況にあるアーザード・ジャンムー・カシュミールや北西辺境州の復興には50億ドルが必要になるとの見込みを表明した。また復興には5年程度かかるのではとの見とおしも語った。
首相は、国外から約5億ドルの義援金が集まっているほか、国内からも30億ルピーが集まっていることを明らかにするとともに、被災地域では既に雪が降り始めていることから、テントや毛布、薬などが大至急必要とされていると語った。
パキスタン政府は、地震復興再生機構(Earthquake Reconstruction and Rehabilitation Authority: ERRA)を設置し、地方政府の機能が完全に麻痺しているアーザード・ジャンムー・カシュミールや北西辺境州の復興には約50億ドルが必要になるとの見通しを表明した。(16日付The News International紙電子版)


○救援ヘリがバーグ近郊で墜落
(イスラマバード)ラーワルピンディー近郊のチャクラーラ空軍基地からムザッファラーバードへ向かった救援物資を積んだパキスタン軍のヘリコプターが、ムザッファラーバード近郊で消息を絶った。その後の捜索により、アーザード・ジャンムー・カシュミールのバーグ近郊で墜落したと、軍当局が発表した。乗員6人が全員死亡した模様。軍当局の発表では、ムザッファラーバードへ救援部隊を運んだあと帰還途中だったという。墜落の原因については調査中。(Daily Jang電子版16日午前5時45分更新、CNN.com電子版)

〇幼児らを8日ぶりに救出 バーラーコート
4か月から9歳までの4人の幼児が瓦礫の中から救出された。死者4万人に迫る地震発生以来8日ぶり。
北西辺境州の中で最悪の被害が出た同市について言及する中で「4人の幼児はバーラーコート近郊で救出された」とシェールパーオ内相が述べた。(16日午後9時50分配信 The News International)


〇震災孤児の養子縁組を禁止 パキスタン
(イスラマーバード) アズィーズ首相によると政府は16日、政府が保護している震災孤児に対する養子縁組を認めない方針を固めた。政府はすで少なくとも数百の震災孤児を保護できる特別施設を設置することを決めた。
イスラマバードの大学病院に入院している負傷した子供たちのもとを訪れた首相は、「まずは全力をあげて子供たちの両親を捜し、見つからなかった場合は政府が責任を持って子供らを保護する」と述べた。その上で「政府が保護する震災孤児に対する養子縁組は全面禁止する」と記者団に語った。政府はすでに孤児の養子縁組を認めないよう全病院に通達を出した。多くの子供たちが両親を失ったと見られるが、正確な数が判明するまで数週間かかる見込み。マグニチュード7.6を記録した今回の大地震。ヒマラヤ山脈に沿う広い地域を直撃し、パキスタンだけで死者は4万人近くにのぼり、被災者も300万人以上とされている。(16日午後9時配信 The News International)


〇被災地で激しい雨や雪 AJK
(ムザッファラーバード) 地震で孤立しているアーザード・ジャンムー・カシュミールのガーリー・ドゥパッター、ニーラム渓谷、ジェヘルム渓谷など各地区へ至る道路は地震発生から8日経ってもいまだ寸断されたままだ。15日から16日にかけて現地では激しい雨と山間部での雪のため気温が氷点下まで下がった。ムザッファラーバードではそんな中、遺体の捜索活動が続けられている。救援活動は救援物資を孤立した地域に届けられないために十分物資が配給されているため、満足されているそれよりも寒さによる犠牲者が地震が直接的な原因となった死傷者の数よりも増える恐れがある。山間部では降雪がはじまったが、被災者は屋外で凍てつく夜を過ごしている。彼らは救援物資を待っており、彼らの多くは負傷している。ランガルプーラ、トーター、スンニーコート、パターリアー、アーワーン・パーイー・バーラー、カーニー・マンジャモーヤーン、サイヤダーン、マットゥー、トーラー、ポーター、パーロート・バーラー、ポーンドグラーン、ラールガーラ、ラーリー、レーシヤーンなどの地方自治体で生き残った人々は致命傷を負っているか、援助を待っている。一方、激しい雨にも関わらずムザッファラーバードでは遺体の捜索活動が続けられ、遺体が数体搬出された。しかし、依然として水道や電気は復旧していない。市場も閉鎖されている。そして数千もの遺体が瓦礫の下に取り残されている。関係省庁はターリカーバード・ヌッラーなどで大量の瓦礫のため遺体の搬出を断念した。
AJK政府は市内の瓦礫の撤去と公衆衛生の保全を業者に依頼した。すべての建物は破壊され、撤去作業は着手される。また、警官と無線交換手の試験は延期された。復旧後実施される見通し。政府の事務所は別の場所に移り、そこから市民に遺族や被災者に関する詳細な情報を提供すると通告した。
交通機関は依然復旧していない。しかし、トヨタのワゴンが数台ディール、スワートから呼び寄せられ、ムザッファラーバードやアボッターバードと、イスラーマーバードを結ぶ路線を往復している。
いくつかの支援組織は割り当てられて救援物資の分配に失敗した。人々は救援物資の分配めぐり、赤十字職員と被災者の親族らが衝突した。また、人々は役場を略奪した。
イスラーム党(Jamaat-e-Islami)やパキスタン人民党(国会議員団)(PPP-P)は救援物資の分配に関して公的機関を無視し、自分達の党員を他の市民より優遇している。一方、Jamaat-ul-Dawat, MQM and Bait ul Malなどの政党や組織は真摯に救援活動を行っている。Pakistan Bait ul MallのChaudhry Musarrat Kazmiは家々をめぐり、被災者から損害の詳細情報をあつめている。損害規模が調査されれた後、小切手が配布されている。Pakistan Bait ul Mallは被災者に対し20000ルピーの支援小切手を分配した。(16日午後8時50分配信 The News International)


15日付
○犠牲者が3万8000人に
(イスラマバード)14日、ショウカト・スルターン三軍統合広報局長が記者会見で、8日に発生した地震による犠牲者が3万8000人に達したと発表。また、負傷者数は約6万2000人に達しており、カシュミールでの被害が明らかになるにつれ、被害は一層拡大する可能性が高い。(15日付The News International紙電子版ほか)

○被災地域では、電力などを3か月間無料に
(イスラマバード)14日、下院議会で、北西辺境州およびアーザード・ジャンムー・カシュミールの被災地域に対して、9月分の電力料金を無料にすることを決定し、またリヤーカト・ジャトーイー水利電力相は、被災地域については向こう3か月間の電力料金を無料にすることを決定したと発表した。
ジャトーイー水利電力相は、ムザッファラーバードやアボッターバード、バーラーコートなどの被災地域でも一部で電力供給が復旧し始めていることを明らかにした。(15日付The News International紙電子版)


○マールガッラー・タワーでは現在も25人が行方不明
(イスラマバード)地震後1週間が経過したにもかかわらず、イスラマバード市内で倒壊したマールガッラー・タワーでは、いまだに25人が行方不明のままとなっている。(15日付The News International紙電子版)

○サウディアラビア政府が、1億3300万ドルの支援を表明
(イスラマバード)15日、サウディアラビア政府が、被災したパキスタンに対しインフラストラクチャー整備費用として1億3300万ドルを緊急支援すると発表した。(15日付The News International紙電子版速報)

○カシュミール地方では悪天候で救援活動に影響
アーザード・ジャンムー・カシュミールでは、15日降雨のため、救援活動に支障が出ている。悪天候のためヘリコプターが飛行できず、救援物資の運搬にも影響が出ている模様。(15日付BBCUrdu.com)

○実効支配線をめぐる制限を緩和すべき
サルダール・スィカンダル・ハヤート・アーザード・ジャンムー・カシュミール首相が、被災者救援のため、実効支配線をめぐる制限を緩めることに問題がないとの認識を表明した。インド側カシュミールの支配政党である人民民主党(Peoples Democratic Party)のマフブーバ・ムフティー代表とともに、BBCヒンディー語放送の番組に出演し、必要ならパキスタン政府と話し合う用意があるとも述べた。
ハヤート首相は、実効支配線には国際的な位置づけがなされており、完全になくしてしまうのは不可能であり国際法に違反するが、制限を緩和することは可能であろうと語った。またマンモーハン・シン印首相からの支援申し出には感謝の意を表明し、インド側からのアクセスが容易な地域については、インドからの支援者入域を認めるべきとの認識を表明した。同時に、国連決議はカシュミール住民には同地域の往来を自由にすべきと謳っていることから、実効支配線をまたぐ支援に関してはパキスタン政府、アーザード・ジャンムー・カシュミール政府ともに問題にはしないとの見方を提示した。(BBCUrdu.com15日午後10時52分更新)


14日付
○イスラーマーバードなどで余震続く
14日午前1時50分、イスラーマーバードやラーワルピンディー、ペシャーワル、アボッターバードなど広い地域で余震を観測した。余震は13日にもマグニチュード5.5を記録するなど、被災者の不安は消えず。(The News International紙電子版速報14日午前2時30分更新)

○死者が2万5000人に。核施設は無事。
ショウカト・スルターン三軍統合広報局長が、外国メディアとの記者会見で、今回の地震による犠牲者が2万5000人、負傷者が6万3000人に達したと発表。また、国内の核施設については、今回の地震による被害は出ていないと、公式に発言。(The News International紙)

○実効支配線をまたいだ支援を否定
パキスタン軍当局は、13日に報道された、実効支配線を超えてインド軍がパキスタン領内で救援活動を行ったとの事実はない、と否定。(14日付各紙電子版)

○イスラーマーバード市内の建物100棟でひび割れ等が見つかる
(イスラーマーバード) 8日の地震後、首都開発公社(Capital Development Authority: CDA)の調査によると、サウディ・パーク・タワーやハビーブ銀行、パキスタン国際航空など、政府庁舎や民間の建物100棟以上からひび割れが発見された。これらの建物では、倒壊の恐怖からか、出勤するものも、普段よりは少なく、CDAは、ビルの所有者に対し補修のアドバイスをすることを検討しており、また数日内に残されたビルの調査も完了する予定と話している。(14日付Daily Times紙電子版)

○地震の犠牲者のためのテント設備を設営
-内閣は被害予想の報告を最優先にと要請
20パーセントの地域がいまだアクセス不能
 内閣は木曜日にテント設備を設営することを決定した。これにより何百万人の犠牲者に避難場所と日常生活に必要な設備が提供されることになる。
ショーカト・アズィース首相が議長を務める会合では連邦政府の復興委員会がアーザード・ジャンムー・カシュミールや北西辺境州の政府と協力して完全な医療支援を伴う復興活動を行うと決定した。
ジャーナリストに内閣の決定を伝えたラシード・アフマド情報相は犠牲者への補償や復興が早急に行われるよう、早期に被害状況の報告書を出すように内閣が指示したと話した。
内閣は犠牲者に対する早期の復興支援の必要性を訴え、復興支援活動が終わった後すぐにでも始まることになる復興過程を強調した。また、大規模な復興活動を行うために適した組織を設立し復興過程における協約を発行した。
内閣は公務員に対しグレード1からグレード16に属する者からは一日分の給料を、グレード17以上の者からは3日間分の給料を大統領の救援基金に寄付するように決定した。
閣僚と下院議員と上院議員はすでに一ヶ月分の給料を基金に寄付している。
アフマドは、今のところ死者の合計は25000人に達した、しかし数日以内に判明するであろうAJKにあるニーラムとジェヘラムの状況によりその数は増えるであろうと言っている。
内閣は地震の被害者の救出における市民の反応に関して1965年の戦争当時と同様の熱心さが見られると認識している。これまでに17億ルピーの義援金が集まっていると報告されていて、他の人からの支援も期待できると報告されている。
首相は外務省に対して、海外のパキスタン人に首相の救援基金に寛大な気持ちで寄付を行うようにと伝えるよう指示した。
首相は内閣も建築法や制限を見直しそれらの建物に住む住人の安全を確保すると決定したと語った。内閣は公衆電話や他の移動通信網を提供し、被害者が国内に住む知人や親戚に連絡が取れるようにした情報相の対応を高く評価した。
また、内閣は保健省とその高官が被災地からイスラーマーバード、ラーワルピンディーに非難してきたけが人に治療の機会を提供していることに対しても満足を示した。
内閣は、パキスタン鉄道がパキスタン南部から北へ向けて救援物資や人を迅速に輸送していることに対しても賞賛した。
問題に対応してラシード情報相はビル・クリントン合衆国前大統領とムシャッラフ大統領の電話会談の中で彼が津波のときに行ったように被害者に対する基金を要請した。
ラシード情報相は一部のメディアから広まっている根拠のない噂にふれ、マスコミに対して災害時には責任を持って報道するように訴えた。
他の問題への対応として、震災後のトラックの割増料金に対して州政府が対応するように言った。大臣は20パーセントの被災地へのアクセスが寸断され軍やその他の人材の動員を望んでいると報告した。
APP通信は木曜日までに行われた大規模な復旧活動では何万トンという救援物資が飛行機や、車、列車によって運ばれた。
2200トンのさまざまな救援物資を85の貨物に詰めた2本の列車がカラチら到着した。
他にも274台のトラック、5機のボーイング社製飛行機、そして11機のC-130輸送機によってカラチから救援物資がアーザード・カシュミールと北西辺境集の被災地に届けられた。これらの物資はシンド州の軍隊によって集められた。
同様にトラック70台分の荷物がチャクラーラ基地から45機のヘリコプターによってムザッファラーバード、バーグ、ラーワラーコート、バッタグラームと周辺の他の地域に届けられた。パキスタン軍は先週の土曜日の朝から25人の生存者をムザッファラーバードの瓦礫の中から救出した。213にも及ぶ救援物資を運ぶトラックが現在までの24時間の間に到着している。その間、4500人の負傷者がラーワルピンディー、アボッターバード、ジェヘラム、そしてグジュラーンワーラーから軍のヘリコプターによって避難している。(14日付The News International電子版)


13日付
○地震での死者が4万人に:アズィーズ首相
(ムザッファラーバード) アズィーズ首相が、ムザッファラーバードをはじめとするアーザード・ジャンムー・カシュミールを訪問し、震災被害がひどい場所での援助を視察した。
ムザッファラーバード市内で会見に応じ、地震での死者の総数が4万人に達するのではないかとの懸念を表明した。また、冬が近づきつつあるため、救助だけでなく早急に復興も進めていかなければならないとの認識を表明し、ヘリコプターなどによりアーザード・ジャンムー・カシュミールなどの被災者に対し食糧などの支援物資を供給することを約束した。これまでに道路はかなり復旧したが、中には4日間往来が遮断された村もあり、ニーラム、ジェヘラムなどの谷についても明日(13日)までに道路が復旧する見込みだと語った。 (13日付The News International電子版)


○ムシャッラフ大統領が救助に感謝
(イスラーマーバード) ムシャッラフ大統領は水曜日に、復旧活動が遅れているのはパキスタン史上最悪の大地震によってインフラが破壊されたためであったが、軍が到着し大規模な復興活動が開始されたと報告した。大統領は国民に向けて地震で亡くなった23000人の家族に向けて特別な祈りささげることを訴えた。
夕方には復興活動は最初の遅れはあったものの地震発生後4日が経過し順調に進んでいるとコメントした。
 「私たちが取り組んでいる復興活動は財政援助を必要としている」とムシャッラフ大統領は述べている。
パキスタン軍の将軍は大統領に2万3000人の人々が死亡した。しかし、軍人の間での死者は最初の226人から450人になったと報告した。
ムシャッラフ大統領は国際社会からの援助に対して感謝の意を表明した。
彼は、歴史的ライバルであるインドからの援助にもふれ、「マンモーハン・シン首相からは電話をいただき、可能な限りの援助をすると申し出ていただいた」と述べた。
ムシャッラフ大統領はトルコを含む他の国々にも感謝を表明した。トルコの医療チームは地震発生後の初めの24時間以内にムザッファラーバード被害を受けた地域に入り活動していた。
しかし、ムッシャッラフ大統領はすべての生存者が迅速な救援を受けているわけではないと認識している。「私は救助が遅れていることは認識している。しかし、それは交通が寸断され軍の到着が遅れているためである」「しかし、交通が回復し軍が到着し、多くのヘリコプターが入っているので迅速な救助が行われるのは間違いない」とムシャッラフ大統領。
また、彼はパキスタン軍には状況に対処するための十分なヘリコプターがない。しかしアメリカの提供してくれるヘリのおかげで大変助かっている、と述べている。(13日付The News International紙電子版)


○ムシャッラフ大統領、連携援助の努力を要求
―――諸国のより一層の支援を求める。救助活動での民間人、および軍人の果たした役割を讃えたい

(イスラーマーバード) ムシャッラフ大統領は水曜日に、壊滅的な地震への対応の統一を図るために国歌を賞賛するデモンストレーションを行い、被災者の早急な救助とリハビリテーションを広げるよう全ての省庁に、通告をした。
そして大統領は次のように述べた。「我々は被災した人々の生活を改善する必要がある。一度死んでしまった人間は生き返らないが、この改善は確かに作用するはずだ」
また大統領は国民にむけてラジオとテレビで演説し、悲劇の無情さに圧倒されるのではなく、救援活動、回復、リハビリテーションや再建という意義ある仕事を引き受ける際に、勇気と柔軟性をもって臨むように述べ、また、「私たちは勇敢な国であるように、大胆さ、信用、そして統一を以てこの災難に直面しなければならない」。
大統領は、この困難な状況の中でも迅速に対応のため協定を締結し、救助に当たっている軍の兵士及び工兵、および軍医に敬意を表し、また、この国家的悲劇に対する政党の対応にも感謝の辞を述べました。
また大統領は、道路が寸断され、最も被害の深刻なジャンムー・カシュミール及び北西辺境州との連絡を試みるため、全ての国家資源が動員される必要があると確約をした。
また、しかるべき結果を獲得する為に統一性のある救助活動の重要性を強調し、この目的達成の為に貢献者を募って連邦政府救済委員会を設立を設立したと述べた。
「救出と救援活動が組織化されて行われなければ、我々の努力は実らないだろう。従って、救援活動に従事する全ての者に対して、互いに連携して行うよう求めます」
大統領は、連邦政府救済委員会の電話番号とファックス番号が、印刷媒体及び電子媒体でアピールされていると述べました。また、国内の全ての地域の人々が委員会と接する手段を持つように、委員会の地方支部が適所に設置された、と述べました。「多くのリソースが必要になる事は必至です。そして州政府によって確実に、援助を必要とするすべての人々にまで行き渡ります」
大統領は、被災者及び被災地域が復旧するまで休暇を取らないことを誓いました。またこれを受けて、「ですので、莫大な資金が必要になるこの活動に、どうか御協力下さい。大統領の基金に対して寄付してくれることを、全ての国民、全ての企業に訴えます」
ムシャッラフ大統領は、この基金に寄付された資金が透明に利用される事を保証しました。また高額寄付者に関しては、氏名を9日間テレビで放映するすると述べた。
また国際社会に対し、パキスタンを代表して援助に対する感謝の意を表明しました。そしてテレビ演説で次のように述べました。「多くの御支援を賜りました。頼もしい救助活動、医療班の結成、そして野営病院の設置などです」
また、トルコ、アラブ首長国連邦、アメリカ、イギリス、サウジアラビア、中国、ドイツ、ロシア、フランス、日本、スイス、スペイン、イラン、アゼルバイジャン、ハンガリー、バングラデーシュ(から援助を受けたという事を)明言した。
そしてムシャッラフ大統領は、インド首相が電話で可能な限りの全ての支援を申し出た、という事に触れ、「インドに感謝いたします。公式にインドの支援を受け入れました」と、述べた。
また公式発表の中で大統領は、諸国元首から受け取った手紙と電話の数に着いて言及しました。
そして政権を得る事になった6回目のクーデター記念日に関して、救助の努力の遅れと、最も深刻な山間部の被災者に配慮し、国民に自粛するよう呼びかけた。
「この災害は政府が対処できる能力を遥かに上回っています。私たちはこの難局に直面しなければなりません。救出、救援、及び再建が何億ドルもかかることが予想されます」
現在までに、海外から3億5千万ドルの援助確約を獲得し、国内からは1660万ドルの寄付が集まったことを、アズィーズ首相は発表した。
またムシャッラフ大統領は次のように述べた。
「今日のパキスタンはかつてない規模の危機に面している。震度7.6を観測する地震はこの国の歴史において最大のもので、それによって最も深刻な悲劇がもたらされた。壊滅的な地震によって、2万3000人以上の人が命を落とし、5万人以上の人が重軽傷を負った。そして何十万人もの国民が住居を失った。特に、北西辺境州のバーラーコート、ムザッファラーバード、およびハザーラ地区は最も被害が深刻な地域である。道路は崩壊し、通信インフラは破壊された。そして遺憾なことに、これらの被害は政府の処理能力を大きく上回っている」(13日付The News International電子版)


○パキスタン軍救援のため、インド軍が実効支配線を越えて活動
 インド軍報道官が、12日実効支配線をまたいだパキスタン側から救助の声が上がったため、インド軍が実効支配線を越え、パキスタン領内で救助活動を実施したと発表した。(13日付The News International紙電子版)

○コーンシュ、バーグラー、カーガーンおよびナーラーンの各地区には十分な救援が行き届かず
(ロンドン)アボッターバードに避難している人々によると、政府発表やマスコミの情報に反して、今現在救助が行き届いていない場所は多々あると述べている。この人々は医療処置を受けるためにここへ来た人々である。さらにここへ来る患者の数は病院の収容量を優に超えている。2、3日かけてようやくアボッターダーバードについた人々が言うには、彼らはまず地震によって亡くなった親族を埋葬したあと、負傷者たちをつれここまでやってきたが、道が塞がっていたためここに来る道のりでもかなりの困難を極めた。彼らは地震によって被害を受けたこれらの地域には未だ十分な援助が行き届いていない様子。(13日付The News International紙電子版)


12日付
○道路が一部復旧し、救援物資が到着。一方で食糧不足により人々が一部暴徒化
(イスラーマーバード)地震で被災した地域に救援物資が届き始めた。カラーコルム・ハイウェーが一部開通したのを始め、被災地域に通じる道路が復旧し始めた。マーンセヘラーやバッタグラーム、コーヒスターンといった地域では、余震が感じられたほか、大雨の影響で、救援作業が滞った。被災地域への救援物資の到着の遅れのため、地域内では犯罪が急増するのではとの心配をする向きもあり、実際に、食糧不足のため、被災者の一部が暴徒化しているとの情報もある。また、食料などの救援物資が略奪されたという情報も入っている。
また、地域によっては地震後3日たった今も、寝るための場所がない人々が多く、救援物資の到着を待ち望んでいる。また、地震後降った雨のため、地域によっては病気の蔓延が新たな心配の原因となっているほか、救助活動が遅れているため、犠牲者の状況の把握が困難で、地域によっては悪臭が広がっており、被災者の状況には改善が見られない。(12日付The News International紙電子版)


○ムシャッラフ大統領による、国民向け演説(2005年10月12日)要旨
(原文はウルドゥー語。翻訳文は英訳を元に作成。

パキスタンは地震後、パキスタン史上最悪の危機的状況に直面しています。
およそ2万3000人が死亡し、4万人を越える人が負傷し、数え切れない人が国内各地で家を失いました。バーラーコートやムザッファラーバードは、最悪の被災地域と言えます。
私達は、この災難に、勇気と団結、自信を持って立ち向かわなければいけません。国民のみなさんに、この困難の時をアッラーのご加護で乗り切ることができるよう、金曜のお祈りを行うようお願いします。
電気、電話、水、道路などのインフラストラクチャーが破壊されています。
私は、トルコ、アメリカ、スイス、イギリス、インド、アゼルバイジャン、中国、日本、ドイツ、フランス、スペイン、ハンガリーそしてバングラデーシュからの支援に感謝しています。
このような状況で、略奪などの犯罪を犯すことは、決して見逃されるべきではありません。
追悼の念を電話で伝えていただいたインド首相にも感謝を述べたいと思います。また、全国民に対しても、言葉にならないほどの感謝の意を表しています。
当初、我々は、全国に広がっている災害の全容を把握できず、イスラーマーバード市内のマールガッラー・タワーのみに集中してしまいました。このような困難なときに、昼夜を分かたず救援活動を行っているパキスタン軍にも感謝を述べます。パキスタン軍にも、多大な被害が出ており、450人が死亡し、700人が負傷している。
全ての被災地域に対応できるほどのヘリコプターもなく、国際社会からの支援に感謝をしている。また、全てのエネルギーを我々の支援に注いでいただいている、エーディー(Edhi)、野党各党、国際社会、NGOにも心から感謝いたします。
我々は、まず救援・支援に全力を傾け、次に復興・再生を考えるべきである。
地震発生後8〜12時間の情報によると、人々はイスラーマーバードのマールガッラー・タワーの瓦礫の下敷きになった人々を救出しました。私はイギリスの救助隊の努力に感謝します。
我々は、マリーやアボッターバード、マーンセヘラーへ続く道路の復興にとりかかり、軍は輸送のための道路の復旧に成功しています。
私たちの初めの目的は、崩壊した建物の瓦礫の中から人々を救出し、亡くなった方たちを埋葬し、怪我をされた方たちの手当をすることです。
軍の部隊はグジュラーンワーラーから300マイルの道のりを経て被災地に到着しています。パキスタン軍はすべての村々で救援復興活動を行っています。
またマングラーからラーワラーコートに送られています。パキスタン軍は72時間以内に対応をしましたが、そこには遅れが生じました。そのことに関してはおわびを申し上げたいと思います。
私たちの優先事項は被災地に救助物資を届けることです。毛布やテントが彼らには必要なのです。
ヘリコプターやC-130型輸送機そして道路交通が人々に救援物資を届けるのに使われています。
パキスタンではテントを製造していません。それが海外から輸入されている理由です。
私は地震で傷ついた人々の治療に当たってくれた国内外の医師に感謝します。
医師たちは24時間にわたり100近い手術をしてくれた。医師はすべての被災地に派遣されています。
被災地では食糧が不足しており、我々の食糧支援活動が進行しています。
私たちはこの挑戦に立ち向かうために大統領救援基金を立ち上げました。
私は各国からいただいた寄付を誠実に使うことを約束します。
すべての機関が復興活動を一元化する必要があるのでそのための機関を設立しました。
復旧委員会が各州に設置され、その機関の電話、ファックス番号を各メディアに公表し連絡が取れるようにするように指示しています。こうすることによって私たちはどの地域が緊急救済を必要としているのか知ることができます。
そうすることによってムザッファラーバードやその他の地域の軍の指揮官は被災者を助けるためにどんな救済も与えられることになります。
政府は殉教者に10万ルピー、被災者に5万ルピーを補償として与えることにしています。
新しい家が建てられるように、まず崩壊した建物のがれきを除去しなければなりません。復興プロセスは、数ヶ月から数年かかるが、我々にはその作業をこなすだけの能力を備わっています。私は、国民に対し、こうした復興作業が完了するまで気を抜かないことを約束します。


11日付
○ 死者4万人の恐れ
 8日発生したパキスタン北部大地震で日本時間の11日夜までに被害のあったアーザード・ジャンムー・カシミール、北西辺境州、パンジャーブ州で死者が4万人に達する恐れがあることがわかった。被災地での救援活動は時間との戦いになっている。
 悪夢のような悲劇がおそった被災地では丘や谷、平野部問わず深刻な被害が出ており、住民に最後の審判が下ったと言い表しても決して言い過ぎではないほど悲惨な光景が広がっている。どの路地もどの村もどの町にも魂に鉄が突き刺さるような悲劇が繰り広げられている。
 世界中から来る観光客を魅了したアーザード・ジャンムー・カシュミールの村々の通りも今は無惨にも廃墟と化している。生活のなかにあった甘美な匂いは風の中に消え失せてしまった。その麗らかさが魂を活気づけてくれたものだが、今はなくただ悲しみだけが残り、それがこの辺り一帯を覆う胸が引き裂かれるような死と破壊の物語となっている。
 腐敗し始めた遺体がまだ瓦礫の下に残っており、その腐臭が環境を悪化させている。それが最後の審判からなんとか逃れた人々を脅かしている。
 しかし、それらの遺体が瓦礫の下から回収される見込みはたっていない。明確な返事をするものは誰もいない。しかし、被災者は助けを待ち続けている。
 マスダル・ラフマーン・ムザッファラーバード市副長官によると市内全ての政府機関、教育機関の建物は倒壊し、アーザード・ジャンムー・カシミールだけでも1万1000人を超える死者が確認されている。時間が経つにつれ、さらに数百人増える可能性があるという。
 北西辺境州のハザーラ管区も影響をうけ、アボッターバードやマーンセヘラー、バッタグラームとの交通は依然として不通のままだ。 家を失った人々は寒空の下凍えながらも夜を過ごすことを余儀なくされている。数人を超える生徒(男女共)が瓦礫の下に閉じ込められている。マーンセヘラーの近代的ないくつかの村でもほとんどの家屋が倒壊した。バッタグラームの道路は土砂崩れのためまだ塞がれている。そのため救援物資を届けることが困難になっている。食料品はヘリコプターから投下されている。
 現時点で被害の実態を正確に把握することは不可能だ。食料、飲料、電気、交通などのライフラインは麻痺したままでそのため、心的影響も出てきている。残された食料が実際に無くなることで救援が来ることを待ち望む希望が消えてゆくことが予想される。もし援助をもった救世主が現れなければ、その命の灯火は完全に消え失せてしまうかもしれない。  (11日日本時間午後6時45分配信、The News International電子版)


○救助活動続く、ムザッファラーバード
 遺体回収が続けられているアーザード・ジャンムー・カシミールでは救援物資をめぐり発砲騒ぎが起きるなど混乱が続いている。街中の学校では、まだ少なくとも12人の学生が瓦礫の下敷きになっているが、4人の学生は無事救出された。 一方、瓦礫の下で発見された同州のシーリーン・ワヒード福祉相とその妻、ハーン・アブドゥル・ワヒード・ハーン議員の遺体は埋葬された。
 パキスタン軍と国際機関の援助隊は人命救助や瓦礫の下から遺体の搬出作業にさらに力を入れている。しかし、被災地では電気や水道の復旧は依然として不可能で市民生活の混乱は当面続く。商店や市場も例外ではなく大部分が廃墟と化し、食料や飲料水不足の深刻さが増している。
 ムザッファラーバードとラーワルピンディーを結ぶ道路はコハーラ(Kohala)経由、アボッターバード(Abbotabad)経由共に復旧、開通した。このため、ムザッファラーバードから避難する被災者の輸送が容易になった。
 パキスタン軍はまたガリー・ドゥパッター(Garhi Dopatta)、ハティヤーン・バーラー(Hatian Bala)、チャナーリー(Chanari)、チャコーティー(Chakothi)などの郊外での救援活動をスタートさせた。ヘリコプターを用い、アボッターバードやマリー(Murree)やラーワルピンディーなどの病院へ負傷者を搬送している。  (11日日本時間午後4時45分配信、The News International電子版)


○犠牲者は全ての世代に及ぶ
 国軍のスポークスマンによると、ラーワラーコートは全壊、ムザッファラーバードは7割壊滅。ムザッファラーバードとバーラーコートへの道路が再開。40人の生徒を生存救助。
(イスラーマーバード発) 月曜日の国軍スポークスマンの発言によると、最も被害が大きかった地域では、就学児童を中心にすべての世代の命が失われた。
 「最も被害が大きかった地域では、すべての世代が犠牲になったが、最も被害があったのが就学児童だった。」ショウカト・スルターン国軍報道官がAFPの取材に答えた。「救助者がムザッファラーバードで子どもの遺体を引き出す作業をしたが、誰も親だと名乗り出ない。つまり親も亡くなってしまっているということだ。」 「ラーワラーコートも崩壊した。ムザッファラーバードは7割崩壊した。ムザッファラーバードのすべての家庭がなんらかの打撃を受けた。すべての家庭が苦しんでいる。」
 月曜日にユニセフと上官政府機関の関係者が匿名で述べたところによると、3万から4万の死者が出た。スルターン報道官によると、死者を弔う鐘は2万だが今後増える可能性がある。
 スルターン報道官によると、海外の救急チームが、地震により傷を負った何千もの人々に対処するために野戦病院を設置している。「スペインの野戦病院がバーグ(Bagh)にでき、フランスはラーワラーコートに設置した」
 イギリスとトルコの救助隊員はムザッファラーバードに向かい、日本・中国・アラブ首長国連邦はバーラーコート、バッタグラーム(Battagram)やマーンセヘラー(Mansehra)など他の地域に向かう予定だ。「今日中にはこれらの救急チームは、被害のあった地域に救助活動をするために到着できそうだ」「これらの地域に向かう道路は修復中だ。修復済みのものや修復中のものがある。」同報道官は述べた。
 目撃者と記者によると、北西辺境州およびアーザード・ジャンムー・カシュミールのほとんどの町や村の学校が崩壊した。地震発生時刻が始業時間だったので、何百もの子どもががれきの崩壊に巻き込まれ、親はわが子を救い出そうと絶望の中がれきを掘り返している。
 AFPのカメラマンによると、バーラーコートでは6歳の少年と4歳の少女が地震発生より2日後に、崩壊した校舎の下から救助された。ボランティアや何百もの公立学校の親の親戚達が2人の児童をがれきがら救い出し、聖コーランの一節を朗誦し、「神は偉大なり」と叫んだ。
 一方、当局は震源地のムザッファラーバードとバーラーコートに通じる唯一の道路を再開し、救援トラックや救援設備を2都市に運んだ。ショウカト・スルターン報道官によると、「これらはすばらしい救助効果をもたらす」という。
 土曜日に起きた地震により発生した土砂崩れにより、道路は一時閉鎖され、被災地区の人々は地震発生より48時間以上の間ほとんど援助が受けられなかった。同報道官によると、ムザッファラーバードに行くのにマリー(Murree)の高台の町を通る道とガリー・ハビーブッラー (Garhi Habibullah)を通る道の二つの道路を、当局は再開した。
 北西辺境州のマーンセヘラーからバーラーコートをつなぐ道も再開されたが、バーラーコートを二分するクナル川の主要な橋はいまだに安全な状態ではない。「私達は残骸を撤去するための救助や重い設備を輸送するための立場にいる」「軍のトラックは救援物資を積んで、今ムザッファラーバードやバーラーコートに着こうとしているところだ」スルターン報道官は述べた。
 同報道官によると、被災地での救助活動は今日の夜に最も勢いがつく。救助チームは少なくても今夜、すべての場所のすべての人に辿りつくことができるとCNNの取材に答えた。地震の規模が巨大だったので、被災地もかなりの大規模で地震発生より24時間から36時間の間に到達するのは困難だったとスルターン報道官は述べている。
 質問に対して、外国チームは被災地のために適切な救助を提供すると答えている。また、別の質問に対して、被災地でパキスタン国軍では300人の兵士が命をおとし、500人が負傷したと答えている。
 ショウカト・スルターン報道官は、救助隊員の最優先事項は生存者を発見して救助することであり、負傷者を適切な処置のために安全な場所に移すことが第二次、救助を求める人に救助が行き届いているか確実にすることを第三次の優先事項と述べた。
 仮設住宅、飲み水、食料、薬、毛布の配給も救助活動の中で焦点とされている。救助活動をはかどらせるために、崩壊した道路などのインフラの修理も行われている。
 月曜日の主な救助活動としては、バーラーコートの共学校で40人の生徒が救助された。目撃者によると、この幸運な生徒たちは48時間の間、崩壊した校舎の残骸の下で救助を待っていた。この中には9人の女生徒が含まれていた。
 パキスタン北東の山間部にいた、何百、何千もの生存者達は2日目の凍える夜を、絶望しながらも救助を待って過ごした。町や村では、人々はがれきの下にいる友人や親戚を救えるかもしれないと無益ながらも、夜通し素手で掘り返していた。
 国連によると、土砂くずれにより道がふさがれているヒマラヤの高地の被災村に、救援設備と生命援助を運び込むために、緊急にもっとたくさんのヘリが必要だと述べている。「私達は実にひどい苦しみ、巨大な難題にぶちあたっている」と国連の人道支援緊急救助コーディネーターが AFPの取材に答えた。「私達はこの災害に巻き込まれた数百万もの大衆について語っているのだ」
 アーザード・カシュミールでは、ターリク・ファールーク労働相が「ムザッファラーバードは荒廃している」と述べた。国連の災害査定調整チームの長、Putman-CramerがAPFの取材にイスラーマーバードで答えたところによると「救命活動だけでなく、救援活動も始めなければいけない。野戦病院、飲み水、公衆衛生、食料などの莫大な必要性がある」という。
 惨禍にみまわれた北部では、33人の遺体ががれきの下から発見され、負傷者は総合国軍病院とラーワルピンディー国軍病院に駆け込んだ。
 350人の軍隊が疎開活動をするために被災地に送られ、70人構成の医療チームも医療行為のために被災地に送られた。バーラーコート周辺で震災に会った外国人旅行者(アメリカ人1名、イギリス人1名、中国人3名、フランス人2名)は軍のヘリコプターでラーワルピンディーに避難した。ディアメール(Diamer)のアーダム・シャー少佐は月曜日、AFPの取材に対し、伝えるところではアストール(Astore)地区のディアメール村に隣接したダッスー(Dassu)地区で6名が死亡、ソーメル・ナーラでは5名が死亡し、負傷した15名がチラース(Chilas)本部病院に搬送されたと述べている。  (11日付The News International紙)


○ムルターン:地震の被災者のために救援キャンプ設置
(ラーワルピンディー) ムルターンの駐在軍は地震被災者のためにサーヒーワール、オーカーラ、ムルターンに5つの救援キャンプを設置し、トラック7台分の救援物資をラーワルピンディーに搬送した。三軍統合広報局(ISPR)のスポークスマンによると、このキャンプでは北西辺境州とカシュミールの地震被災者救援のため毛布や衣服、食料品など十分な量を確保しているという。またこの物資運搬を担当した軍人、役人、兵隊たちは、救援物資を送る際、この地震で命を落とした人々のため、神に冥福を祈った。(11日付BBCUrdu.com)

○北西辺境州:地震によって影響を受けた地域のために3つの移動病院を州保健省に委託
(ペシャーワル) 連邦直轄部族地域(FATA)のペシャーワル事務局は北西辺境州で地震により被害を受けた人々のための医療援助のために3つの移動病院を北西辺境州に委託した。この移動病院はマーンセヘラー、バタグラーム、バーラーコートの3地域のライフラインが今回の地震によって影響を受けたことをうけ、負傷者の治療に困難をきたすことがないよう、あらゆる医療行為ができるよう整備されている。同事務局は、救急治療に必要な薬や10台の救急車もまた、救援活動のために同州保健省に供給した。(11日付BBC Urdu.com)

○ISAF救援部隊が、アフガニスタンからムザッファラーバードへ到着
(ムザッファラーバード) ムザッファラーバードおよびその周辺での死者・行方不明者捜索および救援活動のため、アフガニスタンから国際治安支援部隊(ISAF)の50人がムザッファラーバードに到着した。この中には医師のほか、救援・捜索の専門家が含まれており、同所での活動に加わる。カナダ、ドイツ、トルコおよびイギリスからすでに救援部隊が到着している一方で、救援部隊が到着さえしていない地域も多数残されている。ムザッファラーバード郊外のシャー・ナーラー(Shah Nara)、ハージャ・モハッラー(Khwaja Mohallah)、ターリカーバード(Tariqabad)、イードガー・ロード周辺は、未だに政府やいかなる機関から何の支援も行われていない状況にあり、水や食料が極端に不足している。一方、世界食糧機関(WFP)は、初期調査報告書の中で、ムザッファラーバードの90%、周辺地域でも70%が壊滅したと報告している。 (The Daily Jang紙 11日13時配信)

○250万人以上が住居を失い、死者が4万人を超える模様
(イスラーマーバード、ペシャーワル、ムザッファラーバード) マーンセヘラーおよびムザッファラーバードでは先日発生した地震の余震が今も続いており、マーンセヘラーでは午後2時34分にも揺れを感じた。国連の調査に基づく報告書によると、パキスタン国内では4万人を超える死者が出ており、家を失った人の総数は250万人に上る。国連では、冬用テント200万張を提供するよう国際社会に対し要請をした。一方、別の国連関係者はAFP通信とのインタビューで、被災地域では道路が寸断されており救援活動ができないため、早急にヘリコプターのほか、トラックや重機が必要であると答えている。ラーワラーコートおよびその周辺では地震による死者が600人以上と推測され、日干しレンガによる建物は全て倒壊してしまった。非公式な統計だが、タラール・カル(Tarar Khal)、ヒーラー(Hira)、アッバースプール(Abbaspur)、ターイーン(Tain)、パーク・ガリー(Pak Gali)、ラーワラーコート市街(Rawalakot)、アリー・スージャル(Ali Sujal)、カーイー・ガッラ(Khai Galla)、トーラール(Thorar)、マング(Mang)、ナカ(Nakah)、ワリーク(Warik)、ハサンコート(Hasankot)、ティヤーンマッラ(Tiyanmarrah)、マイダーン(Maidan)、ダール(Dar)、バーンディー(Bandi)、トーパ(Topa)の各地区では家が倒壊しただけでなく、相当数の死者が出ている。ラーワラーコートでは政府庁舎が倒壊したため、行政機能が麻痺してしまっており、周辺の被害状況の把握ができない状況が続いている。 (11日付Daily Nawa-i-Waqt紙)

○恐ろしい地震の被害を受けたアーザード・カシュミール地方は救助を受けられない状況
(ムザッファラーバード) アーザード・カシュミールと北西辺境州における恐ろしい地震による被災地域のほとんどが、今も救助を受けられない状況にある。バーグ(Bagh)、デールコート(Derkot)、タンダーパーニー (Thanda-Pani)などさまざまな村落からジーオ(テレビ局)に入った電話連絡では、これらの地域が極めて悪い状況にあるとの事である。これらの地域には食糧、医薬品、テントが届かず、家屋はほぼ全壊状態にある。(地震発生から)2日経過した今、数千人の人々が空腹のまま救助を待ち望んでいる。現地の住民たちは電話インタビューに対し、パキスタン政府がこれらの地域への支援を迅速に行うよう要請した。(The Daily Jang紙 午前8時配信)

○地震被災地域に対する必要な物資の深刻な不足
(ペシャーワル) 地震は国内の様々な地域で甚大な破壊をもたらしたが、これにより被災者が必要な物資の深刻な不足に直面している。これはペシャーワル商工会議所会頭ハージー・ムハンマド・アフザルがジーオ(テレビ局)に述べたことで、彼は、地震で死亡した人々を埋葬するために包む布(カファン)調達のために必要な綿布が不足しており、トラックの不足により援助物資を被災地域に届けるのがきわめて困難な状況にある。彼は、陸運担当者や政府に対し、被災者救援のため十分な必要物資を調達できるよう協力すべきだと語った。(The Daily Jang紙 午前7時25分配信)
 (記事解説)『岩波イスラーム辞典』によれば、ムスリムにとって葬送(土葬)は迅速かつ簡素に執り行われる。だがそれは遺体を粗末に扱うという意味ではない。イスラームでは人間は土から創られたとし、死によって再び土に返るとされる。その際、預言者ムハンマドが死後3枚の綿布で包まれたという伝承に基づき、男性は3枚、女性はこれに頭と胸を覆う2枚を足した5枚で包むことが望ましいとされるが、地域によって枚数は異なる。いずれにせよ、預言者の伝承に基づく、綿布を用いた葬送はムスリムにとって宗教的な意味を持つ。上記記事はウルドゥー語日刊紙で書かれたが、死装束のない葬送は、ムスリムの読者の同情を誘うものである。


10日付
○復興援助 50億ルピーに増加 政府
(イスラーマーバード)救助や復興活動への取り組みの中で、連邦政府は日曜日に地震の犠牲者への十分な援助を行うために復興援助を10億ルピーから50億ルピーに増やした。  政府はまた優先的に地震の犠牲者への食料、毛布やテントの支給を保証するために特別な処置をとることを決定した。ショウカト・アズィーズ首相が議長を務める特別緊急会議において、救助・救援活動の見直しをはかり、被災者への救援をどのように促していくか話し合われた。
 この地域の自然災害の歴史上最も大きな地震による被害は、約2万人もの死者や報告によると約5万人もの負傷者が出ており、政府は日々これらの状況を監視や再認識するために会議が開かれている。
 首相によると、政府はまた近親者や愛する者を失った人々へ哀悼の意を示すために視察を決定した。
 首相は閣僚会議に集まった記者団に対し、地震による死傷者数は1万8000人を超えているが、広範囲にわたる地域の報告が増えていくにつれもっと増えることは確実であると話した。「アーザード・カシュミール、ハザーラ管区やその隣接地域は最も被害の多い地域で、私達は被災者に最大限の救助や救援物質を送る義務がある」と首相は話した。
 救援活動を行う国際援助も増加し、いくつかの国は人道支援と共に財政支援も行うことも表明した。内閣緊急会議が救助・援助活動の見直しを計ったと首相が言った。
 首相は政府が犠牲者の家族に対し敬弔金として10万ルピーを支払うことを決定した。政府はまた全ての資源を有効に使い、インフラの復旧を行うことを決定した。
 首相はまた地震の犠牲者のための内外からの援助に感謝を述べた。大臣らはそれぞれ異なった地域で救助活動を管理し、指揮する特別責務を任命されたと首相は話した。
首相によると、連邦政府、関係省庁、州政府が一体となってアーザード・カシュミールおよび北部辺境州での救援活動を行う方針を述べた。
 首相は負傷者に最善の治療を施すため被災地から病院へ輸送する特別計画を示した。首相は状況はきわめて深刻で軍、警察、関係機関を含む大規模な復旧救助活動が行われてきたと述べた。
 政府としては同胞からの支援を歓迎しており、被災地域への援助のために国へ寄付を求めている。義援金は大統領付け復興基金に寄付される。また政府は地震で犠牲になった人々に対し、哀悼の意を示した。(10月10日付The News International電子版)


○ムザッファラ-バードの状況
(ムザッファラーバード) アーザード・カシュミールの首都であるこの人口20万人の町はもはや人の住む町ではなく、ほとんど墓地と化してしまっている。車道や通り、そして倒壊した建物の下など至るところに遺体が横たわっている。医療物資、食糧が手に入らず人々は限られた物資をめぐって争っている。人々は車内や屋外で夜を過ごしており、テント、食糧、飲料水がない状態である。数千人の人がいまだがれきや倒壊した建物の下で生存している。
 「俺は生きているぞ。頼む、ここから引っ張り出してくれ。」日曜日の夜、記者がムザッファラーバードの中央部に位置するパキスタンナショナル銀行の支局の建物の下で、一人の男が叫ぶ声を聞いた。しかし、がれきや2階建ての建物を機械や装備なしで持ち上げるのは難しい。助けを求めるこのような叫びを多く耳にするという。
 「私は助けを求めて1時間ほど叫び続けた。人があちこちにいるのに、私を見ても助けることなく通り過ぎて行った。」
 2階建ての建物に生き埋めになっていた25歳の大学生フォウズィヤーは言った。結局、けがを負った妹ブシュラーがなんとか親戚を説得してやっと彼女を救出した。
 幸いにもフォウズィヤーには大きなけがもなく「死は目前に迫っていました。今は私にとって新しい人生の始まりです。」と語る。「死が目前に迎えた時、私が覚えているのはコーランの一節を唱えたことだけです。」
 現時点で、ムザッファラーバードは実質的に無政府状態で、混乱が広がっている。町へと続く道路は、イスラーマーバードを通ってアボッターバードに向かう線を除いて封鎖されている。人々は安全な場所を求めてマンセヘラーから10kmほど離れたローハールガリーに徒歩で移動している。


○ムザッファラーバードで疾病蔓延の危惧
 ムザッファラーバードでは瓦礫に埋もれている犠牲者の遺体から悪臭が広がっており、伝染病が蔓延する危険が生まれつつある。BBC記者ザファル・アッバースがムザッファラーバードから伝えたところでは、瓦礫の下に埋もれている遺体により町中に隔週が拡がっており、衛生担当者は伝染病が蔓延する可能性があると指摘した。AFPによると、ムザッファラーバードでは略奪行為も見られるという。崩れ落ちた商店から食糧や飲料、衣類などを盗む人々の姿が確認されている。月曜日、救援物資を載せた郡のトラックが住民に襲われた。このトラックには食糧のほか、医薬品、テントなどが積載されていた。さらにあるグループがムザッファラーバード市内のガソリンスタンドに駆け込み、暖を取る目的で灯油を盗んでいった。ムザッファラーバードの人々は、この困難な状況に支援を行わなという理由で政府に対し怒りを覚えている。多くの人々が官用車を襲撃しようとした。あるグループは夜の暗闇の中で、AFP記者のカメラや衛星電話を奪おうとした。AP通信によると同記者は商店主とあるグループが争うのを見たという。グループは商店から食糧を奪おうとし、店主がこれを阻止しようとしていたのである。この争いの中で何名もが負傷する事態となったが、警察は姿を見せなかった。(BBCUrdu.com 21時42分配信)
(記事解説)ムザッファラーバードという地名は、日本人にとっては初めて耳にする地名であろう。しかし、イスラーマーバード在住経験のある日本人にとっては決して無縁な土地ではない。なぜなら、在留邦人の多くが料理人や庭師として雇っているパキスタン人のほとんどが、このカシュミール地方、ムザッファラーバード近郊の山岳部の農村出身者であるからだ。彼らはイスラーマーバードの日本人コミュニティとの長いつながりを持つ。そのような親日家である彼等の中には家族や親戚を失っている人が相当数いるものと想像される。


○死者8000人超か 北西辺境州
 アクラム・ドゥッラーニー北西辺境州首相が、同州内での地震による死者が3,198人、負傷者が4,856人確認され、最終的には、州内での死者が8,000人を越える見込みであると表明。10日までに判明した同州内での死者の内訳はおよそ以下のとおり。

                  死者   負傷者
      マーンセヘラー県   1500    4000
      バッタグラム県    1100    300
      アボッターバード県   230    200
      シャングラ県      222     182
      コーヒスターン県    131     45

 ショウカト・スルターン・パキスタン軍報道官が、ラーワラーコート(Rawalakot:アーザード・ジャンムー・カシュミールの主要都市の1つ。首都イスラーマーバードの東約70km)の町が完全に破壊され、アーザード・ジャンムー・カシュミールの中心都市であるムザッファラーバード(Muzaffarabad:イスラーマーバードの北東約90km)の70%が壊滅状態である、同地区では被害がなかった家屋はないと発表。一方で、ムザッファラーバードやバーラーコートへ通じる道路が再開し、ようやく各国・機関の支援が被災現場に届き始めた。


 国連児童基金(UNICEF)は、パキスタン国内での死者は3〜4万人に達するとの推計を発表した。一方、ショウカト・スルターン軍報道官は、10日までに判明した情報として、国内での死者が2万人に達し、今後も増えるとの認識を発表。 (以上、10日付 The News International電子版)

9日付
○「試練の時」 ムシャッラフ大統領  ムシャッラフ大統領とアジーズ首相が、イスラーマーバード市内で倒壊した10階建てのマールガッラー・タワーの現場を訪問し、救援現場の視察を実施した。シェールパーオ内相および軍部が状況の説明を行った。ムシャッラフ大統領は視察後短いコメントを発表し、救助が迅速に開始され、戦略として正しかった、と述べている。倒壊したマンションの中には70〜80人程度が閉じこめられていると言われ、救助されたものは病院で治療を受けている。首相府には救援本部が設置され、救援基金も開設された。ムシャッラフ大統領は、今回の震災被害を「パキスタン国民や政府にとっての試練である」とし、アジーズ首相も「救援を必要としている人々のあらゆる要請に応える用意がある」と答えた。 (9日付The News International紙電子版)

○マールガッラー・タワーの証明書、まだ発行されず
 首都開発公社(Capital Development Authority: CDA)は土曜に起きた地震で、崩壊したマールガッラー・タワーの所有者に、まだ完成証明書を発行していなかった。
CDAいわく、その案は計画が不完全であったため一度中止になっていた。1991年に、CDAはF-10マルカズ地区に高級マンションを建てる計画を公表し、仮証明書を発行した。その後、値がつけられ、とある会社に分配された。その建物は、地下のある地上10階建てとして、 1992年の10月1日に承認された。
当初、CDAはすべての建築が設計どおりに実施されているとの証明のために、有名な建築家のパネルを指名した。
しかし1994年、建築家は案の開発者と分配者と手を組んだ。
その後、建物は完成し、被分配人は1998年の6月30日付の、「完成通知書」を提出したが、当局側は支払い不実行を理由にその証明を認めなかった。
マールガッラ・タワーの住人の要求に基づき、所有者による支払いが実行されたため、当局側は「完成通知書」を受理した。しかし、147部屋からなるこのマンションは地震のために破壊され、その完成証明書は今のところまだ発行されていない。(9日付The News International紙電子版)


8日付
午前8時50分
 首都イスラーマーバードの北約90km付近を震源とする地震発生。首都イスラーマーバード市内でも、F-10 地区にあるマールガッラー・タワー(Margalla Tower)という高層マンションが倒壊し、JICA(国際協力機構)の専門家とその家族2人を含む、多数が死傷。 (以上、国内外各紙報道とりまとめ)

○パキスタン上院議会が地震の犠牲者を追悼
(イスラーマーバード) ムハンマド・ミヤーン・スームロー上院議長は、地震の犠牲者を追悼するため、議会を一時中断した。議会の中心的メンバーであるワシーム・サッジャード上院議員(元上院議長)は上院は、会議を中断することで被災地を救うことができると言っている。(10月8日付The News Internatioanl紙電子版速報)

○アフガニスタン東部で2人の子供が地震で死亡
(ジャラーラーバード) 土曜日に地震がアフガニスタンを襲い、子供2人が死亡し、12戸の泥やレンガの家が破壊された。ジャラーラーバードの役人ハイカル・シャーン・ファラー氏は「2人のうち1人はチャールバーグ地区で、もう1人はチャプリヤール地区で死亡した」と言っている。アフガニスタン内務省の代表者は「当省は情報の収集の過程にある」と言ったが、「被害は広がらないようだ」と付け加えた。「被害をうけた地域からは “問題ない”と報告されている」との情報も得ている。バダフシャーン、タハール、サマンガンの各州では死傷者は報告されていない。(10月8日付The News International紙電子版午前10時40分更新)

○アメリカ政府、パキスタンの地震は7.6と測定
(ワシントン) 土曜日の朝パキスタンで起きた地震はリヒター・スケール(地震の規模:マグニチュードを表す尺度)で7.6と測定されたと、アメリカの地質研究所が伝えた。
 その機関によると、地震は、グリニッジ標準時午前3時50分に発生し、震源はイスラーマーバードから95キロ北北東に位置している。なお、震源でのマグニチュードと位置は追加の情報や分析結果によって変更されることもありうる。 「この地震はその位置と大きさのために、かなりの被害と死傷者を出しただろう。」とその機関は指摘している。(10月8日付The News Internatioanl紙電子版午前10時更新)


○日本によるとパキスタンの地震はマグニチュード7.8と測定
(東京) 土曜日にインド、パキスタンの北方地域を襲った地震はリヒタースケール(地震の規模:マグニチュードを表す尺度)で7.8と推定された。日本の気象庁によると、津波の心配はない。「われわれは震源の深さはわからないが、もし地震が比較的地面の近くで起きたなら、被害はかなり大きくなりうるだろう」(10月8日付The News International紙電子版午前10時45分更新)

○PIAがイスラーマーバード行きの便を増便
(カラーチー) PIA(パキスタン国際航空)はカラーチーからイスラーマーバードへの旅行客の急激な増加や要求に応じ、8日(土曜日)、5便を追加した。これらの便は通常の4便に加えて追加されたとPIAの代表者が説明。(10月8日付The News International紙電子版午後8時39分更新)

○マグニチュード7.6の4つの地震がパキスタンで発生
(ラーホール) 10月8日土曜日8時50分38秒、パキスタンのコーヒスターン地区、特にイスラーマーバードから95キロ北に位置するパタン近郊で、わずかな間隔でマグニチュード7.6の4つの地震がおきた。
気象学者ショウカト・アリー・アーワーン氏によると11分続いた4つの揺れが間隔をあけて記録されている。
最初の揺れは8時53分から6分
2回目の揺れは9時7分から2分30秒
3回目の揺れは9時30分から1分
4回目の揺れは9時40分から1分30秒
同氏によると、振動の後に国内のほかの地域が被害をこうむっている。
バーブーサル8時49分
ラーホール8時51分
ペシャーワル8時55分(10月8日付The News International紙電子版午後3時更新)


○ペシャーワル、マーンセヘラー地区での死者が少なくとも500人に
警察当局は、8日に発生した地震のため、北西辺境州のマーンセヘラー地区で少なくとも500人が死亡し、1700人以上が負傷したと発表した。アーザード・ジャンムー・カシュミールでの死者数については正確な報告がないが、いくつかの村は完全に壊滅したといわれている。(10月8日付DAWN紙電子版速報)

○インドの首相がムシャッラフ大統領に地震の支援を申し出
 マンモーハン・シン印首相が、8日の地震を受け、パキスタンに対し救援・救助を申し出た。「インドの一部でもこの不測の自然災害により被害が出たので、我々はパキスタンが適切と考えるいかなる支援や救助を行う用意がある」とムシャッラフ大統領に宛てたメッセージの中で述べている。シン首相は、8日夜にムシャッラフ大統領に電話をかけ、パキスタンの地震被災者に対する、インドの国民および政府からの遺憾と哀悼の意を伝えた。ムシャッラフ大統領はシン首相に感謝の意を伝え、同時にインド側の被災者に対して哀悼の意を表明した。(10月8日付DAWN紙電子版速報)

○イスラーマーバードおよび隣接地域で新たな余震
8日、マグニチュード6.0を記録した1回を含め、強い余震がイスラーマーバードおよび隣接地域では続いている。この日マグニチュード7.6の揺れを記録して以降、少なくとも14回の余震があり、今後48時間は継続すると、カマルッ・ザマーン・パキスタン気象庁長官が述べた。最初の揺れがあってから7時間後に起きた最大の余震に関し、「非常に強い揺れで、マグニチュード6.0以上はあったように思われる」と述べている。また余震の震源地について、北から北東、つまりカシュミール地方へと移りつつあるようだとの見解を述べた。(DAWN紙 10月8日午後5時35分更新)

○大規模地震がバンヌー地区を襲う
 土曜日の朝8時51分ごろ、大規模地震がバンヌー地区を襲った。揺れは1分ほど続いた。政府によると、現時点でバンヌー地区からは犠牲者や建物の被害の情報は入っていない。(10月8日付DAWN紙電子版速報)

○パキスタン地震における推定犠牲者数
(イスラーマーバード) イスラーマーバードにおいての推定犠牲者は、倒壊した2つのマンションでの犠牲者である。テレビ局の番組では建物や救助隊ががれきに登っているところを映し出している。当局者によると高層マンションの世帯数は75世帯にもなる。したがって100人の犠牲者がいることは確実であるということだ。イスラーマーバードの民家からは、一分間ほど続いた地震の最中、悲鳴が聞こえてきた。
マグニチュード5.9の地震の揺れがイスラーマーバードを襲った一時間後、混乱はより大きくなった。ラホールでは事務所の屋根の下敷きになった軍人を含む、少なくとも9人が犠牲になった。デリーではゆれ始めるとともに人々が悲鳴を上げながらアパートから飛び出してきた。
 インドのシバル科学技術相は、最初の報告ではインドにおいて死者は出ていないと語った。また、テレビのインタビューに『もし何らかの被害が起きているとすれば、それはパキスタン側で起こっているだろう』と語っている。しかし、占領カシミールの政府関係者によると北管区のウリ、バーラムーラとクプワーラで何棟かの建物が被害を受けている。また大きなゆれによって地滑りが起こり、ジャンムーとシュリーナガルをつなぐ300kmの高速道路を始めいくつかの道が寸断されている。
また、パキスタン国境付近のジャンムー・カシュミール州では数件の民家が被害を受けている。テレビのニュースによると、バーラムーラ管区では1人が死亡し、50人が怪我をしている。(10月8日付DAWN紙電子版速報)


○アーザード・カシュミールで死者1000人、インド側カシュミールでも300人が死亡
(イスラーマーバード) 8日、海外から来た支援団体が『アーザード・カシュミールは最も被害を受けた地域だ。これから冬に向かうこの地では迅速な救助が必要とされている』と語った。『7管区中5管区が被害を受けたアーザード・カシュミールがもっとも大きな被害を受けた地区であるということが徐々に明らかになってきている』とイスラーマーバードにいるOxfamの関係者ラファエル氏は声明を出した。また、関係者によるとアーザード・カシュミールだけで1000人以上の人が亡くなったようである。『カシミールでの死者は確実に1000人以上に上る。』と軍救援隊がムザッファラーバードから報告している。また、『300人近い人々がインド側カシュミールで死亡した』とジャイパル・レッディー印情報相は閣僚会議の後で語った。死者の中には軍人や国境警備隊とならび市民が含まれている。また、マンモーハン・シン印首相が議長を勤めた緊急会議で10万ルピー(約220万ドル)の援助をパキスタン側カシュミール政府に拠出することを決定した。州政府によると、500軒の民家や建物が地震により被害を受けている。インド軍の報道官によると実効支配線に駐留していた36名のインド軍兵士が地震により死亡した模様である。(The News International紙電子版午後10時45分更新)

○約400人の児童が地震により死亡
(ペシャーワル) 約400人の児童が北西辺境州で亡くなった。土曜日の地震により学校が倒壊したためであると警察当局者は述べている。『マーンセヘラーでは350人の児童が死亡し、また同じ地区のほかの学校では50人が死亡した』『状況は深刻だ。北西辺境州では死者の数が 1000人にもなりそうだ。』と地元警察当局が発表した。(The News Internatiaonl紙電子版午後10時5分更新)

○200人のパキスタン軍関係者が地震により死亡
(イスラーマーバード) 軍報道官によると約200人のパキスタン軍兵士が、土曜日にパキスタンを襲った巨大地震によって死亡した。軍報道官のショウカト・スルターン少佐も地元メディア対し確認した。多くの兵士はアーザード・カシュミールの実効支配線付近で死亡したと思われる。(The News Internatiaonal紙電子版午後10時50分更新)

○82人が倒壊したイスラーマーバードの高層ビルの瓦礫から救出
(イスラーマーバード) イスラーマーバードでは、倒壊した高層マンションの瓦礫の中から82人の人々が生きて救出された。しかし、政府当局者の話によると7人のパキスタン人、そして1人のエジプト人と二歳の子供を含む2人の日本人、計10人の遺体が発見された。(The News International紙電子版午後11時35分更新)

○確定した死者数が1万8000人をこえる:パキスタン政府
(イスラーマーバード)土曜日にインド、パキスタン、アフガニスタンを襲った巨大地震の死者数が1万8000人を超えたと公式に発表された。『死者数は北西辺境州で550から600人にのぼり、これからも増加する見込みだ』と州警察の長官は語る。州政府の発表によるとムザッファラーバードでは250人の死者、数千人が負傷している。また、市内はひどい状況であるとも付け加えている。『村々が壊滅的な被害を受けている』とアーザード・カシュミールの軍救援部隊関係者が述べている。『村々が川の中に飲み込まれニーラム川の流れはせき止められてしまっている。』ともコメントしている。(The News International紙電子版午後8時35分更新)

○中国が50人の救援隊をパキスタンへ派遣(午後11時10分更新)
パキスタン地震の被害地域で、調査及び救援活動を援助するため、中国は50人からなる調査団及び救助隊をパキスタンへ送った。救助隊は医療補助員も含み、救助活動に必要な最新の器具を運び込んでいる。

○英国の地震探知機が日曜(9日)早く、パキスタンに到着(午後8時40分更新)
イギリス政府が、パキスタンにおける救援、及び救助作業を援助するため、地震及び熱探知機を送ったと、8日政府関係筋が述べた。専門家チームも瓦礫に生き埋めになっている人々を探知するために使う機材とともに派遣されている。

○アイルランドがパキスタンに地震援助のため100万ユーロ拠出を約束(午後8時39分更新)
アイルランド政府は8日、パキスタン北部の余震に対する早急の援助のため、初めに100万ユーロ(120万ドル)の援助を約束した。最初の援助金は、赤十字および医療関係のために使われる。

○パキスタン国内各地の地震直後の状況(出所:The News International電子版)
ムルターン、ヴェハーリーを襲う大規模な地震(午前11時5分更新)
   土曜日の午前8時54分、1分ほど震動は続いた。しかし現在まで同市から被害や死亡の報告はどこからもない。

 ラーホールを揺らす地震(午前11時8分更新)
   土曜日の午前8時51分、州都で強い揺れの地震があり、1分ほど続いた。
強い地震だったため、人々は家や建物から出られなかった。建物の被害がいくつか報告されているものの、詳細は不明のまま。政府は全機関に緊急事態に備えるよう指示を発出した。

 ジョウハラーバードを揺らす地震(午前11時10分更新)
   土曜日の午前8時52分、ジョウハラーバード市とその周辺地域で強い震度の地震が発生した。揺れは1分ほど続いたものの、今までのところ、死者や建物の倒壊の報告はない。

 サルゴーダ市を揺さぶる地震(午前11時10分更新)
   土曜日の午前9時ごろ、サルゴーダ市街とその周辺地域を強い震度の地震が襲った。報告によると、震動は2分ほど続いたが、今のところどこからも被害者の報告は出ていない。

 子どもが学校で死亡 住宅は崩壊(午前11時50分更新)
   地震がパキスタン北部で起こった後、ラーワルピンディーでは校舎が壊れ、一人の子どもが死亡した。 また、校舎の崩壊で鏡が割れ、6人の子どもが怪我をした。情報省当局によると、詳細はすぐには得られておらず、家や建物の崩壊は他の街や北方地域でも報告されている。また軍当局は、アーザード・ジャンムー・カシュミール地方の全ての村が壊滅的だと報告した。

 バローチスターンでは地震の影響なし(午後2時更新)    土曜日の朝、バローチスターンでは揺れは感じられなかったと、APP通信が報告した。


○パキスタン高等弁務官事務所 ヒースロウ及びマンチェスター空港に緊急の査証担当事務所を設置
(ロンドン) 在英パキスタン高等弁務官事務所は、土曜早朝にパキスタンを襲った恐ろしい地震をうけてパキスタン入りしたいと願うイギリス国籍を持つパキスタン人の入国を容易にするため、ヒースロウとマンチェスターの両空港に緊急の査証担当事務所を設置した。マンチェスター、バーミンガム、グラスゴウ、ブラッドフォードの四つの領事館は非常時につき、査証業務を24時間体制で行うことを命ぜられた。(10月8日付 DAWN紙電子版速報)

○パンジャーブ州ファイサラーバードとその周辺の状況
 ファイサラーバード郊外の街キルヤーナワーラーとその周辺で、地震によるひどい揺れにより、縫製工場ではあわてて逃げた女性12人が気を失ってしまった。彼女たちは同市内の病院に搬送されたが、うち1人の状態は思わしくない。街には恐怖と混乱で人々が家の外に出、広場に座っている。 (Daily Jang紙 10時55分更新)

○北方地域とアーザード・ジャンムー・カシュミールで甚大な被害が発生:三軍統合広報局
(イスラーマーバード) ラシード・アフマド情報相によると、ラーワルピンディー市内で学校の建物が倒壊し、6人の女子学生が負傷している。GEOテレビに対し、同情報相は、ラーワルピンディー市内ではすでに救援活動が始まっていると述べている。5回の余震が起きているほか、内相がイスラーマーバード市内F-10地区で倒壊したマールガッラー・タワーの現場を訪問した。 (The News International紙 11時00分更新)

○アーザード・ジャンムー・カシュミールのラーワラーコートでは、土でできた家が倒壊
(イスラーマーバード)アーザード・ジャンムー・カシュミールのラーワラーコート市内では、大規模な家屋倒壊が起き、バーグ(Bagh)では、村全体が消滅したと見られる。学校をはじめとする多くの建物が倒壊してしまっている。
ギルギットとチトラールを結ぶ道路は閉鎖され、地震による地滑りが発生している。コーヒスターンやバッタグラーム地区では家が倒壊し、負傷者が病院に運ばれている。
ミールプールではモスクの尖塔が倒壊し、タキシラでも学校が倒壊したとの情報がある。(The News International紙 10時50分更新)


○強い地震によりイスラーマーバードとラーホールでビル倒壊
(ラーホール) イスラーマーバードでアパートの2棟が倒壊、強い地震による犠牲者の数は計り知れないと目撃者は語っている。恐怖におびえた数百人が、人々がマールガッラー・タワーに急行した救急車や人々が中に閉じこめられた人々を救助する様子を目撃した。
 北方地域でも家屋や建物が倒壊したという情報がある。 リヒター・スケールで震度7.6と推定される地震は、土曜日の早朝にパキスタンを襲った。被害は広範におよぶと当局と目撃者は語っている。
「地震はリヒター・スケールで推定震度7.6、震源はイスラーマーバードの北100km(62マイル)である」と気象庁のムハンマド・イクバール氏は外国の報道陣に伝えた。
最初の地震は午前8時55分頃全国で発生し、その後数分間続いた。
シャー・アーラミー市場では複数の店舗が倒壊し、ゴーラー・プル地区に近い市場では強い揺れが続いた。(The News International紙 10時20分更新)


○地震、ペシャーワルを直撃
(ペシャーワル) 強い地震はイスラーマーバードとラーワルピンディーに続き、ペシャーワルも襲った。GEOテレビのペシャーワル特派員によると、強い地震は土曜日の朝、8時45分と9時5分にペシャーワルを襲った。ポートハール地方、カシュミールとアフガニスタンも2分間地震の影響を受けた。 (The News International紙 9時55分更新)

○リヒタースケールで7.6を記録
(イスラーマーバード) 今朝、国内各地でリヒタースケールで7.6の地震が観測された。ラーホール市内のシャー・アーラミー市場でも被害がでているとの情報があるが、現時点ではほとんど情報が入ってきていない状況。 (Daily Jang紙 9時55分更新)

○イスラーマーバードを含む一部地域で地震発生
(イスラーマーバード) 強度の地震がイスラーマーバード、ラーワルピンディー、ラーホール、ペシャーワル、クエッタやパキスタンのその他の地域で発生した。犠牲者に関する情報は入ってきていない。 地震は、午前8時53分にイスラーマーバードとラーワルピンディーで発生、続いて余震が23秒間続いた。当局は情報を収集している。震度は7.6(リヒター・スケール)と推測される。報告によると、人々は混乱して自宅の外へ飛び出したという。(The News International紙 9時30分更新)


独自取材
地震発生後、本学学生らが、在留邦人やパキスタン在住の友人らに連絡を取ったところ、以下のような話を聞くことができた。

◎ラーホール在住のパキスタン人の大学生に話を聞いたところ、現地で最も必要とされているのは毛布、食料品、薬品であるとの話だった。

◎パキスタンの国民の9割以上がムスリム(イスラーム教徒)で、10月5日から1ヶ月間、ラマザーン(断食月)に入っているが、断食明けの祭り(小イード)を祝える気分にないという声が挙がっている。一方で、首都イスラーマーバードの高級ホテルでは、毎夜断食明けのパーティーが開催されているのも実情である。

◎日本国内のパキスタン人社会でも義捐金を集めようという声が挙がっている。在テント、食料であるとのことだった。京パキスタン大使館関係者も日本国内各地のパキスタン人コミュニティに対し支援を呼びかけている。

◎今回の地震により、ラーホール市(パンジャーブ州の州都。震源の南南東約300km)にあるパンジャーブ大学オールド・キャンパスの建物の一部が損壊した。損壊した建物は、築後約100年を経過した、レンガ造りのもの。

◎ラーホール市内では、19世紀末に建造された中央郵便局やYMCAビルなどのみならず、築後約30年の電信電話局や、2年前に新築されたラーホール空港にもひび割れが生じた。

◎イスラーマーバード在住の邦人は、今回の地震の大きさについて、「震度5程度に感じた」と連絡してきた。また、同市内で倒壊したのはマールガッラー・タワーのみであることから、人災の可能性が高いのではないかという話が出ている。

◎本学学生が9月初めにイスラーマーバードの倒壊したマンションに隣接する同じ形のビルに行ったが、そのビルの1階部分は部屋がなく、柱のみで造られていた。



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