2種類の生活で得たもの


金山芽生(留学時4年生)

【留学先】
・workawayerとして3カ月ホームステイ
・Grundtvigs højskole(2023年8月~12月)

私は、3年を終えた後休学をし、約7カ月間デンマークに留学しました。デンマークでは2つの滞在先で全く異なる生活をすることができたので、そのことについてご紹介しようと思います。前半の3カ月間は、workawayという形でデンマーク人家庭にホームステイし、後半はフォルケホイスコーレに滞在しました。

 Workawayというのは、ホストファミリーのお手伝いをする代わりにその家庭で無料で滞在させてもらうというものです。私は2人の小さな子供のいる家庭でホームステイをし、主に晩ご飯の用意、ペットのお世話、庭仕事のお手伝いをしました。その家庭で具体的にどんなことをするかは、家庭ごとに当然異なるので一概には言えませんが、滞在先探しをする際に自分が興味のあること、話したい言語など自分の希望を前もって伝えておくことで希望に合う滞在先を見つけることができました。私はデンマーク語話者であること、子供のいる家庭であること、などを条件に探しました。workawayをしてもっともよかったと思ったことは、その家庭の人たちと生活を共にする分とても親密な関係を気づくことができたことと、デンマークの日常生活を実際に見て感じることができたことです。ホストマザーと一緒にデンマーク料理やデンマーク人が大好きなケーキを実際に作ったことは、私にとってとてもワクワクする経験でした。そうした日常の出来事からデンマークを学ぶことは、やはりホームステイならではのものではないかと思います。後半のフォルケホイスコーレの滞在がクリスマスの前に終了だったので、日本に帰る前にこの家庭に里帰りしてクリスマスを一緒に祝うという素敵な体験もできました。今ではデンマークにもう一つの家族があるという気持ちになり、帰国後も連絡を取り合っています。



<ホームステイ中に食べたデンマークのバースデーケーキ
国旗をたくさん使うところがデンマークらしくて素敵>


<ホストファミリーに作った和食 お味噌汁、高野豆腐、わかめときゅうりの酢の物
和食にあう小さめの食器がなくて苦労しました>


 後半は、HillerødにあるGrundtvigs højskoleに滞在しました。ここには合計120人の生徒がいて、留学生は私と3人のノルウェー人、5人のアイスランド人だけでした。前半の生活と一変して、大勢のデンマーク人の中に入っての共同生活が始まり、前半の家庭に戻りたいホームシックに襲われました。ですが日本という遠い遠い国から来た私のことを他の子たちは初日からすぐに認識して、たくさん話しかけてくれたり、先生の説明が分かったかどうか確認して助けてくれようとしてくれたりして、そこでの滞在も徐々にリラックスして楽しめるようになっていきました。ここに留学していた間、写真や洋裁、陶芸などを選択し、存分にクリエイティブなことを体験することができました。また、毎週末に行われたパーティーでデンマークの若者文化にも触れ、そうしたものを通してたくさんの良い友人を得ました。スカンディナビア以外から来たのが私だけだったので、日本やアジアについてたくさんのことを聞かれ、自分の国の社会や文化についてデンマーク語でたくさん説明できるようにもなりました。私自身もデンマークやノルウェー、アイスランドについて彼らにたくさんのことを教えてもらい、以外にも似ているところが見つかったり、あまりにも違っていることがあったりしてとても面白かったです。育ってきた環境がこんなにも違ってもお互いのことを大切に思い合ったり、理解したりできるということ、言葉を完全には使えなくても尊重し合ったり一緒に笑い合ったりできるということをここで身をもって体験しました。これは一日中同じ環境で寝起きして、ご飯を食べて一緒に学ぶというフォルケだからこそできたことだと思います。

 留学生活は楽しいだけではなくて、たくさんの大変なこと、悔しいことがありました。でも渡航後は、「ここまでもう来てしまったのだから仕方ない」と考えて、なんとかその場でできることを見つけてやり遂げる、そんなことの繰り返しでした。留学生活を終えた今も、大変だった時の気持ちはしっかり覚えていますが、それでも行かなければよかったと思ったことは一度もありません。留学中も来なければよかったと思うことはありませんでした。なぜなら大変なことを打ち消して超えてしまうほどの喜びと楽しみ、発見が留学生活にはつきものだからです。みなさんがもし、留学をしてみたいと思う気持ちが少しでもあるなら、ためらう理由は何もないと思います。その気持ちを大切にして、ぜひやってみることを応援します。私は2つの滞在先でそれぞれかけがえのない出会いがあり、忘れられない体験をしました。これは私の人生の宝物です。これから留学するみなさんにも、そんな素敵な体験が訪れることを願っています。



<フォルケでのパーティーがある日のディナーの様子>



<学校の友達に実家から送ってもらった日本のお菓子(せんべい、ポッキー、キットカット、グミ)などを紹介したときの様子。せんべいはお菓子(slik)じゃなくてごはん(mad)だと言われてしまいました>