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教員紹介

仲尾 周一郎 准教授

仲尾 周一郎 准教授
  • 研究者名(フリガナ) 仲尾 周一郎(ナカオ シュウイチロウ)
  • 職 名准教授
  • 専攻語アラビア語
  • 電子メールs.nakao.hmt[at]osaka-u.ac.jp

■ 外国語学部を目指す受験生の皆さんに

現地で「外国から来たのにアラビア語ができるなんてすごい!」などとは言われなかった。
2009年夏、アラビア語研究のため、はじめてジュバ(現南スーダンの首都)を訪れた私を待ち構えていたのは、なぜか私に「〇×銀行へ行きたいのだが、どう行けばいいか」とアラビア語で訊いてくる現地人や、「アラビア語なんてやめて、アフリカの言語をやったらどうだ」とそそのかしてくる調査協力者、「アラビア語やってたのにアシーダ(ローカルな主食)も知らんの」とおちょくってくる大先輩の人類学者らだった。
ジュバでは、アラビア語は空気のように当たり前で、しかし「我々の大切な言語」として愛されているわけでもなく、私が大学で4年間昼夜学んだ発音・文法・語彙を気持ちよく捨て去った、シンプルでローカルな言語と化していた。
「大学で学んだことが役に立たない!何だかわからないが、大学の知を超えたようだぞ!」と、その日は興奮して寝付けなかったように思う。そんな体験をみなさんにも。

研究分野 言語学
キーワード アラビア語、アフリカ、ピジン・クレオール、ナイル・サハラ語族、フィールド言語学
研究テーマ

記述言語学に軸足をおきつつ、東部アフリカ(南スーダン・ケニア・ウガンダ・エチオピア)のアラビア語接触変種やその基層・傍層としてのアフリカ諸語(ナイル・サハラ諸語、バントゥ系接触言語など)、それらの話される多言語社会とその歴史ついて、フィールドワークをもとに勉強してきました。なかでも南スーダンで19世紀以後に発生したと考えられるアラビア語ピジン・クレオールと呼ばれるような言語(ジュバ・アラビア語、ヌビ語)を扱いつつ、こうした言語を生み出し、維持・発展させてきたアフリカ多言語社会の価値観に関心を寄せています。また、言語学的知見をアラビア語教育にフィードバックする方法についても実践を通じて考えています。

代表的著作、論文等

Nakao, Shuichiro. 2017. A Grammar of Juba Arabic. Doctoral dissertation, Kyoto University.
Nakao, Shuichiro. 2018. Mountains do not meet but men do: Music and sociocultural networks among Arabic creole-speaking communities across East Africa. In Stefano Manfredi & Mauro Tosco (eds.) Arabic in Contact, 275-294. Amsterdam: John Benjamins.
Nakao, Shuichiro. 2021. Convivial Multilingualism as a Modern African Ethos: Cases of East African Non-Arab Arabophone Societies. In Keiko Takemura & Francis B. Nyamnjoh (eds.) Dynamism in African Languages and Literature: Towards Conceptualisation of African Potentials, 19-45. Bamenda: Langaa RPCIG.

所属学会、その他の研究活動等 日本アフリカ学会、日本ナイル・エチオピア学会ほか
担当授業 ●学部 アラビア語3, 4, 13, 14(実習)、アラビア語演習IV、アラブ文化論特別演習、アフロアジア諸語
●研究科目 アジア言語文化資源論V、世界の言語事情、アフロアジア諸語
●全学共通科目 中東の文化と社会を知るB