外国語学部SCHOOL OF FOREIGN STUDIES

わたしの阪大外国語学部

座談会

第3回 学生座談会

学生座談会

橋本知世さん2年生(代表と演出)

赤松真悠子さん2年生(キャスト:リーザ役)

阪大 外国語学部学生座談会

川上小百合さん4年生(発音と演技指導)

小田切洋介さん3年生(キャスト:マルチャーリン役)

外国語学部の名物行事に「語劇祭」があります。毎年春には、新入生も含めて専攻言語ごとの有志によって専攻言語による語劇を秋に上演すれるものです。今年のロシア語の語劇は19世紀ロシアの古典から「智慧の悲しみ」。ある官庁長官の家を舞台に繰り広げられる保守と先進の思想対立を描いた喜劇で、14名の役者と30名の裏方スタッフにより実施されました。そんな、語劇の上演(約1時間)が終わったばかりのメンバー4名に集まってもらい、外国語学部の魅力を語っていただきました。

司会者お疲れ様でした。いかがですか?語劇が終わってみて。

小田切 終わってみれば楽しいですね。ここまでくるのが大変でしたが。

橋本 上演中は真ん中の席でハラハラしながら見てました(笑)

司会者今日の劇はどのようなものなのですか?

橋本 今日のお話しはロシア人なら誰もが知っている古典中の古典で、先生から紹介されて、その中から選んだものです。
 毎年新入生が入ってくると語劇に勧誘して、やりたい人が集まってその年のメンバーが決まります。代表が題目を選んで夏休み前に発表して、そこから、役者をやりたいのか裏方をやりたいのか、何をやりたいかというのを話し合いで決めていきます。

司会者楽しいところとか、大変なところなどを聞かせてください。

橋本 稽古も大詰めになって劇が全部通るようになって来たとき、頑張ってきた分楽しいです。稽古の間、何度も台本を読むのでやっているうちに話に対して思いが入っていきます。思いが深いほど楽しさが大きくなりますね。
 代表として大変なのは、スケジュールの調整ですね。語劇には、40人以上の人が参加していて、それぞれに用事や都合があるので、稽古にいかにみんなに来てもらうかという調整が一番大変でした。そうやって苦労しながら来てもらって、みんなで作ったというのが喜びですね。

小田切 役者としての視点から言いますと、僕は今回で3年目で、今回はそれほど出番が多い役ではなかったのですが、役や演技をしっかり作り込んでお客さんを楽しませていくと、舞台に出たときに、あ、自分を待ってるな(笑)という、そういう感覚が分かってくるところがあります。出番を重ねながら面白いことをしていると、もうお客さんが待っているのが分かるというか、出たときに、あ、こいつ来たなという空気が感じられるのが、演技していてとっても楽しいですね。

司会者元々そういう演劇はお好きだったのですか?

小田切 正直いうと、最初はこういう学生の劇には興味がなかったですね。入ってみてたくさん練習をして、衝突やら和解やらを繰り返すうちに(笑)大好きになってしまったというか。
 しんどいのは、今風に言えば、ブラックだと言うことですかね(笑)
どうしても一部の方に仕事が集中するので、人によっては夜の11時くらいまで学校に残ってひたすら作業をしているという(笑)。それが1月くらい続くと辛いものがあります(笑)。でも、それもまた語劇の味というか、そういう苦労があればあるほど終わってからの喜びは大きいです。

司会者語劇が終わると、みなさんはどうされているんですか?

橋本 語劇が終わると春まで時間が空くので、今回撮った映像をDVDにする作業と、それをみんなで見るというのが、また楽しいんです。

小田切 そうです、何度も何度も見て、みんなで盛り上がります(笑)

川上 私は、今回は発音指導もですが、演技についてこうぶつぶつ言うというか(笑)演技指導をすることが多かったのですが、その時に自分が思っていた動きを提案したときに他の人も共感してくれたり、役者の人も納得してそれでやってくれたりして、それで上手くいくと楽しいですね。
 やはり古典なので、人によってこの役がどういう性格なのかとか、読み方も違ったりするので、そこの方向性があっていくところに楽しさがありますね。しんどいところは・・・・終わると忘れるタイプで(笑)あまり思い出せないんですけど(笑)

司会者川上さんも1年から参加されているんですか?

川上 はい、そうです。

赤松 私はまだ2年目なんですけど、去年も今年もキャストをさせてもらっていて、キャスト以外にも興味はありつつも1回キャストをやると、どうしても、またキャストで面白いコトしたいなって思っちゃうんです。
 理由はやっぱり、演技をみんなで考えている中で、衝突とかもあるのですけど、例えば自分が考えたことを、あ、それいいじゃんって採用されたりとか、ほんとにそれだけのことがうれしかったり、本当に些細なことであっても、ちょっとした動きが演技になって形になることが凄く楽しいです。
 大学生になってこの語劇で初めて演技に関わっているのですけど、ロシア語劇だからこそ好きになって、全然関係なかった演技でも好きになって続けられています。

司会者演技指導なんかは、先輩から受け継がれていくのですか?

橋本&赤松 そうですね〜

橋本 それとロシア人がやっているこの演目をYoutubeなどで見て、本場はこうやるのだなというのを参考にして、それぞれが自分のキャラを考えたりします。 舞台の大道具や衣裳などは、予算がないので、プロのを参考に自分たちで工夫してやります。

司会者お稽古の間も楽しそうですね。それでは、外国語学部の中でもロシア語を専攻された理由を教えてください。

橋本 特にロシアをよく知っていたわけではないのですが、昔から海外のこととかが好きで、なんとなく外国語学部に行きたくて、ぱらぱら見ているうちになんかロシア語に目がとまったというのと、昔見た写真集にロシアの建物があってすごくきれいだなあと思ったりとか、なんか、そういうふわっとした理由で選びました。
 入って勉強しているうちに、ロシアのことが好きになりました。
 文法が難しいなと思うときはあるのですが、難しいからこそ面白いというか、日本語とも英語とも違うし、違うけど単語とかが英語と似ているところがあったりするのも面白いです。
 阪大だと総合大学なので、それも良いなって思って阪大の外国学部にしました。

小田切 僕は最初、1年間早稲田大学の文化放送学部というところに通ったんですが、その時はあまり学業に対して熱意がなく(笑)、第2外国語をとらないといけない時に、ロシア語は単位を取るのが非常に楽だという噂を聞いて、それでとってみたのがロシア語との出会いです。
 それで、実際にやってみたら、思いの外楽しいのですね。だったらもっとロシア語をやりたいと思って、早稲田大学も楽しかったのですが、こちらに入り直しました。
 ロシア語の面白さというのは、全体的に好きというのもありますが、言語学的に言うと、言葉にはいろんな要素があって、例えば「花が落ちている」という場合、この「ている」は、継続と結果という2つの状態を表すことができます。この動作の状態のことをアスペクトと言うのですが、ロシア語は、そのアスペクトを表すカタチが非常に発達していて、そもそも落ちるという動詞が2種類あったりするんです。
 そういう、日本語や英語をやっているだけでは気づけないような言語学的な要素があって、それを知ることでまた、日本語や英語についての理解も深まるという風に、日英露でどんどん理解が深まっていくのが本当に楽しいというか、ロシア語を勉強することで学業全体にも熱が入るようになりました。
 自分から進んで勉強するのがこんなに楽しいものかということに気づけたのが大きいです。

司会者しんどいことってないですか?

小田切 いや〜、阪大に来てからは、楽しいことばかりで、しんどいと思うことはないですね〜(^^)

司会者川上さんは、いかがですか?

川上 発言が賢すぎて、次しゃべりにくい(笑)私は、阪大ということは決めていて、国際関係には興味があったのですが最初は他の学部を見ていました。私は地元が富山なのですが、北方領土のビザなし交流の迎え入れ側で参加したことがあって、その時にちょっとロシア語に触れていたので多少はなじみのある言語でした。

小田切 北方領土から来る方ってロシア人なのですか?結構いろんな国籍の方が住んでいるじゃないですか。

川上 たぶんロシア人です(笑)。ロシア語の面白いところは、いっぱい変化の形があって、読んだときに発音がきれいだなっていうのがあります。ただ、私はアスペクトが余り好きではなかったので(笑)、芸術文化の方を勉強しているのです。ロシアって、バレエをはじめとしていろんなところで力があるので面白いなって思っています。
 ただ、外国語学部に入ってから、自分は外国語が苦手なのだって気がついて(笑)単語とか憶えるのがしんどかったです(笑)。高校までは、英語は好きだったのですが、得意ではなかったです。

赤松 私も特に深い思いがあってロシアを選んだわけではないのですけど、小さいときから中学くらいまでバレエをやっていて、本場のロシアバレエにはぼんやりと憧れみたいなのがあったんです。でも受験のためにバレエをやめてしまって、ロシアへの思いはちょっと遠ざかってしまったんです。受験に際してどこを受けようかと思ったときに、地元が兵庫県なので大学は関西圏にしようと決めていて阪大というのは決めていました。
 その中で外国語学部が面白そうだなあと思って、その時に私も、他の西洋言語よりもロシア語に惹かれて、あ、ロシア、懐かしい響きだなと思って(笑)バレエをやめちゃった心残りや、もともとロシアの芸術や建築とかも好きなので、そういうのがピタッとあいました。
 ロシア語は、西洋の言語よりも堅いイメージがあって、だからこそかっこいいと私は思っていたのですけど、実際入ってみると、響きが堅いと思うときもあるけれど、ネイティブの先生の微細な発音の響きを聞くと、とても美しい言語だなと思います。
 今回の語劇でも発音指導をネイティブの先生にもしてもらったのですが、「ロシア語は詩のような言語でテンポを大事にするから、文章によってはテンポを優先させてアクセントを変えるのだよ」と教えてもらってすごいなと思いました。

司会者小田切さんは、地元の東京からあえて大阪大学を選ばれた理由はどんなことですか?

小田切 僕も橋本さんと同じで、総合大学だからです。言語だけでなく歴史とか経済文化とかもいろんなことを学びたいと思ったからです。阪大は、いろんな学部があって人もいて情報もありますから。授業の中でも歴史経済文化の選択肢があるので視野が広がります。

司会者留学をされたお話しを教えてください。

小田切 僕は、3年生の時にロシアのサンクトペテルブルグという街に行きました。フィンランドの近くです。自分のロシア語を試したいことと、ロシアのあちこちを見てみたいと思ったこと、友人もつくりたかったし、たくさん目的がありました。
行くと空前の日本ブームで、日本食レストランがとても多くてびっくりしました。寿司屋さんがたくさんあって、偽物の寿司なのですけど(笑)・・・揚げた寿司とか(笑)

川上 美味しそう(笑)

小田切 とにかく日本料理屋がたくさんあって、どこも繁盛していて、まずそれに面食らったというか驚きました。それと、劇場がとっても安いのでよく見に行きました。本場のオペラやバレエが300円くらいで立ち見で見れるんです。
 また、街の中心部をウォッカ飲みながら馬に乗ってる女性とか居て、何じゃこりゃという感じでした(笑)。こういうのは、ロシアしか見れないなと思います。これって飲酒運転になるのかな?とか(笑)
 一方で、日本と違ってサービス業の方の愛想のなさには最初面食らいます(笑)。それも慣れたら文化の違いとして楽しめますが(笑)。でも仲良くなったら義理に熱いというか、温かい人ばかりで人間関係には困りませんでした。あと、寒いです(笑)。僕が行ったときは暖冬でしたが、マイナス15度くらいでした(笑)。寒い上に夏は白夜だし、冬は逆に朝の10時半くらいまで太陽が昇らないのです。だから学校へ行くまでは真っ暗。で、14時半くらいにもう暮れちゃうので、下校時はまた真っ暗なんです。

川上 私は、ロシアではなく、ベラルーシ共和国の首都ミンスクに半年くらい居ました。初めての海外だったので驚くことばかりで、劇場も食べ物も交通費も安くてなんて良い国なんだと(笑)
 日本以外の外国を見てみたかったのと自分のロシア語を試したかったんです。いろんな国籍の学生と友だちになったりできました。交換留学ではなかったので、まわりに日本の学生が居なかった事が良かったです。

司会者留学も楽しそうですね。それでは、キャンパスライフの事を教えてください。

橋本 外国語学部は、進級が難しい学科です。だから、一生懸命やらないといけないのですが、楽しいので苦になりません。みんな仲が良いので分からなかったら聞けますし。

小田切 たくさんサークル活動があるので面白いです。キャンパス内の猫を観察するサークルがあります(笑)。僕も入っていて、猫の写真を撮ったり、それを鑑賞したりするだけなのですが(笑)。そこでいろんな学部の学生と友だちになれるのが良いですね。
 それと専門教育優秀賞というのがあって、成績が良いとお金がもらえるのです。良い制度だなぁと思います。励みになりますね。

川上 私は、陸上部のマネージャーをやっていました。私自身も高校まで陸上をやっていたので、いろんな学部からの陸上競技好きが集まってきます。そういう仲間ができるのがとっても楽しかったです。

赤松 私は、基本的には語劇とロシア語の勉強の毎日ですが、しいて言うなら留学や引っ越しなどでいろいろなバイトをしています。

司会者将来の夢などはありますか?

小田切 今は、とりあえず修士まで進みたいと思っています。その後は、国連などの国際機関で働くのも良いなというのもありますが、明確には決めていません。

川上 ロシア語とはあまり関係ない会社へ就職が決まっているので来春からはしばらくロシア語と離れることになりますが、忘れないようにしたいと思っています。

橋本 私もまだ2年生なので、今のところ特にないですが、何らかロシア語と関われるようにしたいと思います。

赤松 私もできれば大学院にいきたいのですが、まだ決まっていません。やっぱり、ロシア語に関われたら良いなと思います。

司会者最後にこれから阪大を受験する受験生にメッセージをお願いします。

橋本 箕面キャンパスは、住宅地の中に隔離されたようにあるのがいいです(笑)、静かだし。キャンパスしかないので、勉強に打ち込めると思います。同じ専攻の友だちが家族のようで、その中で勉強するのが楽しいですよ。私は、箕面キャンパスが好きで、一日中キャンパスに居るので、もう家みたいな感覚になっています(笑)

小田切 ひと言で言えば、めちゃくちゃ楽しいです。もう言えないくらい楽しいことがありすぎるのですけど(笑)、他の学部と違って、外国語の授業は回数が多く、固定メンバーなので、みんなが知り合いになれてとても楽しいです。大学ってバラバラに勉強するので人間関係がつくりにくいと思うのですが、ここは、橋本さんも言ったようにアットホームというか家族的な雰囲気の中で勉強できるというのは大きな魅力だと思います。
 それと25言語ある他の言語の初級授業もとれるので視野を広げることができます。文化や歴史の授業もとれるので。もう良いこと尽くしですね(笑)

川上 私は部活をしているので、そこには理系の人とか全然違う分野の人もいるし、外国語学部での他の専攻語の人もいるしと、部活を通していろんな興味や関心のある人と知り合いになれるのが良いところだなと思います。
 それと、受験も大切ですが、やりたいことを今のうちにやっておいた方がよいです。

赤松 小田切さんや私などは、入る前からロシア語とのふれ合いがあったのでロシア語への関心が高かったのですが、でも、それは必須なものではなくて、必ずしも自分が専攻することに触れなくてもよいと思います。意外と気持ちは後からついてくるので、安心して目指して欲しいと思います。
 自分たちが毎日必死で勉強しているものを好きにならないワケがないというかね。だからロシア語をちょっとは勉強しないといけないかとか、全然知らないのにやっていいのかとか、そういうことは全然思わなくて良いと思います。

司会者みなさん、毎日とても充実したキャンパスライフを送られているようですね。今日はどうもありがとうございました。

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